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中・長期視点で農協の役割発揮を~2017年2月7日

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【前田憲成 JA兵庫六甲常務理事】

 最近、単位農協あたりでは、「農協改革集中推進期間」なるものの最終年が、平成31年5月であるという情報が、「ああ、そうなのか」程度に伝わった。
 平成28年4月の改正農協法施行後、准組合員制度をどうするのかという判断期間が、改正法施行後5年の平成33年度としてあることとは、別モノということらしい。

 何が何でも、准組合員利用規制の導入、信用事業の総合農協からの分離、総合農協の解体を実現するためには、平成31年で農協改革の成果が上がっていないとの烙印を押して、平成33年には農協法の再改正とのスケジューリングはできあがっている。
 農協の現場では、自己改革の成果をだして、つまり、認定農業者ら担い手から「良くやっている」との評価を得て、さらに准組合員を応援団化することにより、なんとかなるのではないかという、漠然とした希望的観測が蔓延しているのが現実ではないか。
 最近の識者の意見などを拝見していると、「そのような甘い認識ではどうしようもない。戦う意思を持て」との声が多くあるが、単位農協においては、「さもありなん」との意見もあり、「日和見あり」というところであろう。

  ※  ※  ※

 今日、明日の事業に精一杯の現場において、遠い先を見る余裕もないのが現実とはいえ、農水省が進める「認定農業者等へのアンケート」の1年目の結果が気になる。
 このアンケートは、農協の自己改革取り組み状況を認定農業者や法人経営者に聞いたもので、1)担い手との話し合いが進んでいるか、2)農協販売事業の見直しは進んでいるか、3)生産購買事業も同様に、さらには、4)理事選出方法、5)担い手の理事登用への見直しが進んでいるか、との内容であったと記憶する。
 これが、昨年の9月前後に実施された所が多かったと聞くから、農協の現場では、これら項目へのメリハリある対応には準備不足の感があった時期ではなかったか。結果として予想するに、総じて悪い評価に傾いているものと推察される。
 また、「1年目の評価が5年後には相当良くなった」との結果をだすには、1年目のアンケート対象者が5年間継続してこそ結果の「出しがい」もあるというモノだが、農協には、どこの誰にアンケートが発してあるのかさえ知らされていない。

  ※  ※  ※

 先にもふれた、「農協改革集中推進期間」は平成31年5月までであるから、実質は、平成29年度で成果が出せるかどうかにかかっているといえよう。
 そして、政府の評価基準は、1)全農の購買事業の見直しに成果があったか、2)単位農協と全農による販売力の強化により担い手の評価が上がったか、となるが、だめ押しは、政府による全農の自己改革取り組みに対するフォローアップである。
 一民間企業(組織)グループの事業改革を政府と与党が進捗管理するというものであるから、なかなか例をみない話ではある。

  ※  ※  ※

 そして、政府と農水省は、先の「アンケート」や様々なモニタリング結果で、全農と農協の自己改革を評価しようとする。果たして1―2年で「成果があった。良くやっている」と国民世論(まずは、世論を代表するとされる大新聞の論調)が転換するであろうか。
 そのためには、まず正組合員はもとより准組合員併せ1000万人を超える組合員世論が、上滑りではない強固なものとして、「農協はなくてはならないものだ」と、一致団結して声を挙げるところまで行けるかどうかにかかっている。
 だとすれば、短期的視点で「対処」だけを考えるのではなく、中・長期的に国民経済、地域社会、農村、さらには農業を基礎とする産業の中で、農協の「果たすべき役割」を再確認し、その実現のためには、「(環境変化により良く適応することを前提に)総合農協とその連合会」という形態が最も相応しいことを証明して、前に進むしかないのではないか。
 既に、その方向性は「JA綱領」に明示されている。

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