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【目明き千人】「お上の逆をやるのが農民の知恵」2017年3月24日

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【原田 康】

 「お上の云っていることの逆をやれば間違いがない」が昔からの農民の知恵である。 
 これを絵にかいたような、誰にでもわかるお上の方針が出た。安倍内閣の規制改革推進会議農業ワーキング・グループの金丸氏と自民党農林部会長小泉進次郎氏の提言だ。
 5つの項目の提言であるが、これらがいずれも見当はずれであることの例を挙げよう。
 アジアから日本へ観光に来た人たちが帰りにたくさんの粉ミルクを買っていくのが話題となった。子供に飲ませるミルクは間違いのない本物が欲しいと大きな荷物になっても抱えて帰られた。日本の粉ミルクが安いからではない。
 生産資材の農薬や肥料が韓国よりも高い。輸入をすれば農産物生産のコストが下がり、日本の農産物は国際競争に負けない強い農業となる。農協は価格が高い方が手数料が増えるので国産の高いものしか農家に売らないという認識だ。
 肥料や農薬はたとえ効きが悪くてもその程度で済めば被害は少ないが、副作用が出て食品に使ってはならない薬品が残留をしていることが小売段階で判明したら、出荷した生産者だけではなく、その地域全体が出荷の停止、場合によってはその県からの農産物が風評被害を受けるという事故になる。
 肥料、農薬をはじめ生産資材は農家にとってこのようなリスクを伴うものであるから、メーカーも農協も間違いのない品質のものを農家に提供をする仕組みをつくっている。日本の農家はこの程度の知識は常識として理解をしている。
 生産資材をとってもこの程度のことしか判らない人が、日本の農業を論じ、農協が諸悪の根源だとして改革の提言をしている。このような提言をしている人は副作用が出ても責任の取りようがない人たちだ。
 「お上の云うことの逆をやれば間違いがない」の分かりやすい例だ。

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