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【小松泰信・地方の眼力】農業競争力強化支援法案を廃案へ2017年4月5日

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【小松 泰信 (岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 政府が、農業競争力強化プログラム関連8法案のなかでも最重要と位置づけている、農業競争力強化支援法(以下、強化支援法)案に関し、6日に予定されている衆議院農林水産委員会において、参考人として意見を陳述する。関連資料等を読めば読むほど、その問題点が明らかになってくる。

◆強化支援法の出自と見当たらぬ「農業所得の向上」

 同法案は、昨年11月に政府・与党が取りまとめた「農業競争力強化プログラム」の、「生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し」と「生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立」に係るものである。
 法案提出の理由は、「農業者による農業の競争力の強化の取組を支援するため、良質かつ低廉な農業資材の供給又は農産物流通等の合理化の実現に関し、国の責務及び国が講ずべき施策等を定め、農業生産に関連する事業の再編又は当該事業への参入を促進するための措置を講ずる等の必要がある」と、記されている。
 競争力強化、良質かつ低廉な資材供給、農産物流通等の合理化、事業の再編と参入促進、がキーフレーズ。しきりに言われてきた「農業所得の向上」という文言は見当たらない。農業所得の向上を出汁にした、規制緩和による事業の再編と参入が本当の狙い、という見立ても可能だ。

◆外資企業にも門戸開放

 というのも、3月23日衆議院本会議において、畠山議員(日本共産党)が事業再編と参入促進に関する実施指針において、国籍などの要件がないことから、外資の参入の可能性を問うたところ、農相は「事業者の国籍に関係はありません。外資企業が支援措置を活用することも可能」と、答弁したからである。見立て違いの可能性は少ないようだ。
 その農業資材に関する条文で、しきりに繰り返されるのが「良質かつ低廉」という枕詞である。これを見た瞬間思い出したのが、〝ええもん高いのは当たり前! ええもん安いのが.........〟という、若いころよく利用していた関西圏にある某スーパーのBGMである。これは、良質かつ低廉な商品を提供することが、いかに難しいかを示唆している。加えて、質や価格に関する消費者の判断は、使用する目的や状況で異なるもの。それを条文で示さねばならないものなのか、理解に苦しむところである。
 おそらく、できない約束を全農はじめ生産資材に関わる農業生産関連事業者に突きつけ、全農さらにはJAグループの解体を目指しているのではないか、という職業病的妄想が広がるところである。

◆「良質で低廉」要求の先にあるもの

 4月3日の日本農業新聞に、昨年8月下旬から9月上旬に農水省が農業者を対象に実施(回答者数1149人)した、〝農協に対する農業者の意向調査〟の結果の一部が紹介されている。
 資材の供給価格については、「満足していない」が52%、「どちらともいえない」が33%、「満足している」が8%。期待することを2つまでとの問いには、「価格の引き下げ」が82%と最多。次点の「品ぞろえの充実」が28%であるから、低価格化要求がいかに強いかがわかる。
 農協の農畜産物の販売価格についても、「満足していない」が35%、「どちらともいえない」が41%、「満足している」が10%。期待することを2つまでとの問いには、「販売力の強化」が77%。次点の「消費者ニーズの把握と生産現場への情報提供」が27%である。高値を求めた販売力強化要求の強さがわかる。
 これらから、「農協が供給する生産資材価格や農畜産物の販売価格に満足している農業者は少なく、資材価格の引き下げや農畜産物の高値販売に期待する声が大きいことが改めて浮き彫りになった」と、記事には記されている。
 しかし、このデータから、「だからJAの経済事業は駄目。全農改革も自己改革も進んでいない」と、結論づけるのは早計である。いかなる経済主体にとっても、買うものはできるだけ安く、売るものはできるだけ高く、というのが一般常識であり、永遠の願望だからだ。
 これが農水省や政府・与党がしきりに言う点検でありフォローアップだとすれば、JAグループが、彼らにその役割を奪われた瞬間に勝負あり。JAグループが解体するまで、彼らは執拗に攻め続けてくる。もちろん解体したあとはハゲタカたちが利権を狙って国の内外から飛来する。ハゲタカたちが、全農やJAグループ以上に「良質で低廉」な資材を供給する保障はない。
 
◆本法案は廃案が適当

 同法第13条には、「国は、農産物流通等の合理化を実現するため、農業者又は農業者団体による農産物の消費者への直接の販売を促進するための措置を講ずるものとする。」として、農産物の直接販売を促進することが示されている。直接販売のメリットやデメリットの精査以前に、卸売業者をはじめとする既存の中間業者に対する〝非利用のすすめ〟という性格が感じられる。だとすれば、法が特定の業界や業者の非利用促進をうたうことは極めて問題といえる。
 すでに本紙において、田代洋一氏が〝努力規定〟や〝市場経済への過剰介入〟等々の問題点を指摘し、バッサリと斬り捨てている。当コラムもまったく同感。よって本法案は廃案とすべし。
 「地方の眼力」なめんなよ

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