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南アフリカの旅で"Divide分断"を考える2017年4月20日

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【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

◆南アフリカで考えたDivideとは?

 今回日本の「農政ジャ-ナリストの会」が加わっている「国際農業ジャ-ナリスト連盟」の年次総会に参加し、主催国南アフリカの農場・ワイナリ-その他の施設を見学した。
 そして、TPP反対で一致したNZのジャ-ナリストと、「黒人が主人公として働いていたり、街を歩く姿が見えない」「何故か違う2つの世界が別々にあるとしか思えない」等々。
 黒人居住区も訪ねたが、教会に集う人々の真っ直ぐな目線、「ズマ大統領は止めろ!」の連日の全国的抗議には触れたものの、自立に向けた動きを感じることは無かった。これまで訪ねたサブ・サハラの国々、総会後旅したナミビアとも違っていた。
 南アには多くの人種差別制度が早くからあったが、アパルトヘイト法自体は48年制定、94年廃止だ。米国の奴隷制度は、始まりも法的廃止ももっと長い歴史がある。それでも今の"分断"だ。日本における朝鮮・韓国人への言われない差別も未だ残っている。肌の違いによる差別、そうでない差別もあるが、多分多くは政治的に人間を煽り、法制化することによるものだろう。
 悲しいことだが、人の分断・差別の解消には思った以上に時間を要するのだろう。しかしいずれも権力の独占、その果実の独占がつきまとう。
 安倍政権とどこが違う? 立法権力を野党だけでなく国会からも奪い、充分な議論もせずに好きな法案を通す。不信任されずとも解散権を乱発する。そしてこれが言論と政治の退化を招き、党議拘束と小選挙区制による従属が続く。その道があまり長い道のりでないことを願いたい。

◆安倍首相、世耕経産相による日米対話には深刻すぎる危惧を抱く

 少々このコラムに相応しくないことを書かせていただきたい。安倍首相も"一強多弱"政治が続くにつれその表情に、自信・余裕以外に奢り・傲慢さが勝つようになってきている。
 しかし世耕経産相、98年NTT報道担当課長を最後に伯父の後を継いで政界に転身している。その後役職は異なるがほぼ党のメディア戦略、首相補佐官として内外のメディア対応を担ってきた。党内にもその巧みさを批判する人がいるほどに、にこやかな表情と共に彼の広報・メディア戦略は従来の自民党を超えていたという、印象を持った。
 しかし彼には全く経済についての見識が見られず、経験もないまま経産相となり、私は彼の表情に、裏付けを欠いたカラ威張りのような、下品とも言いたいものを感じるようになった。3月8日「日米でなければ出来ない高水準の議論を進める」・「(ロス氏は)多国間の枠組みの重要性を理解している」、3月10日「(農産物・車については)首脳間で合意した枠組みで協議する」、3月16日ロス商務長官とのたった30分の初会談後の「意見に大きな乖離は無かった」などのとぼけた発言は通商外交音痴そのものだ。
 彼にだけは、貿易・投資交渉をやって欲しくない。
第一回日米経済対話の内容は、北朝鮮問題を含め、年初既に分かり切っていた筈だ
 多分官僚の多くもそう思っているだろう。
 2月マティス国防長官来日時に、既に稲田防衛相は会談後「日本は質量共に防衛上の役割を拡大する」と約束し、安倍首相は当然、NATOの合意以上に防衛予算増額に熱心だ。
 2月の最初の日米首脳会談については、2月23日のこのコラムで、
 「米国の本音は2国間FTAで経済的果実を獲得すること、日本は防衛協力での米国の関与を担保する重しを期待するという筋書きだろう。その代償として農産物市場開放などのTPP水準のメリットを、米国に対してTPPによるコスト負担ゼロで提供する可能性が想定される。既に安倍首相は手の内を明かしてしまっている。これが安倍首相の"ウィンウィン"なのだろう。農業に限らず経済対話では、ほとんど日本の"ウィン"は期待出来ない。」、と書いた。
 これに一つ加えるとすれば、4月18日にトランプ氏が署名をした"大統領令"の「調達におけるバイ・アメリカン適用の厳格化とそのためのWTO、FTAの再交渉」だろう。このためにはWTO協定参加の45ヶ国と米とのFTA参加14ヶ国への例外措置放棄の通告が必要だが、安倍首相はトランプ氏のインフラ投資で日本企業にも大きなチャンスが生まれるとも吹いた。しかし相当割引が必要だろう。

  ×  ×  ×

 安倍首相は「TPP批准こそ2国間FTA拒否への道」と見通しを誤り、日米経済対話でも慎重さの欠片も無く、与党は「ここまでの譲歩が最後の一線」と言いながら、経済連携交渉で譲歩の連鎖を続けてきた。まだ続くのか?!

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