【小松泰信・地方の眼力】絶望の淵にたたずむな2017年10月4日
「落選させたい議員は誰ですか?」という興味深いタイトルで、『週刊文春』(10月5日号)が読者アンケート結果(総回答数1,216票)を掲載している。
◆アベヤメロは世間の願いか
「並み居るスキャンダル議員を抑えて、圧倒的な一位となったのは、意外にも安倍晋三首相だ。その理由としては、森友学園や加計学園をめぐる問題に対する説明不足を挙げる声が大半だ」とのこと。「スキャンダルで民進党が自滅した途端に解散を言い出して、やりかたが汚すぎる。公約も守らないし、国民をバカにし過ぎです」(42歳・女性)という声も伝えている。いわゆる「国難突破解散」への批判も多数見られたようだ。また、「個人やメディアを通じての〝落選運動〟は、『誰かに投票して下さい』という選挙運動とは違うので、公職選挙法にも抵触しません」(上脇博之・神戸学院大学教授)とのこと。微妙な表現が売りの当コラム、参考にしたい。
〝デタラメシンゾウにサヨウナラ〟という前回のタイトルは世間の常識。選挙区の農業・JA関係者が世間の常識と違わぬ審判をされることに期待する。
◆安倍農政への評価は惨憺たるもの
日本農業新聞(9月28日)は、農政モニター1,065人を対象に実施し721人から回答を得た直近の調査結果を掲載している。その概要は次のように整理される。
(1)安倍内閣については、「支持しない」と回答したのが59.9%。その理由で一番多かったのが「安倍首相を信頼できない」の23.2%。これに僅差で続くのが「食料・農業重視の姿勢がみられない」の22.1%である。
(2)安倍農政については、「大いに評価する」「どちらかといえば評価する」の合計が25.4%、「どちらかといえば評価しない」「まったく評価しない」の合計が68.2%。
(3)安倍農政の一連の農政改革については、「大いに評価する」「どちらかといえば評価する」の合計が30.3%、「どちらかといえば評価しない」「まったく評価しない」の合計が63.3%。
(4)単位JAについての改革は、「大いに評価する」「どちらかといえば評価する」の合計が36.3%、「どちらかといえば評価しない」「まったく評価しない」の合計が56.2%。
(5)官邸主導の政策決定のあり方については、「農家や生産現場の声よりも経済界の意見を重視し、評価できない」が78.9%。
以上のように、農業者の7割に評価されない安倍農政。8割が官邸主導という政策決定過程に不満を抱いている。そもそも、人として信頼されていない為政者。人としても、政策としても、農業の世界には受け入れられていないことを示す、惨憺たる調査結果である。それは、農水省の姿勢に対する痛烈な批判でもある。
◆卑怯な手口〝公約なき改革〟
翌29日の同紙は、「生産調整の見直し」や「農協改革」について、関連する時期の選挙公約には一切言及されていなかったことから、安倍農政の最大の特徴を「公約なき改革」と批判する。
そして〝地方・農村こそ主戦場〟というタイトルの論説では、「今回ほど農村票の動向が注目される選挙はない」「農政に対する農業関係者の強い不満や憤りがたまる中で迎える衆院選は、過去にないのではないか。選挙結果や地方票の出方は、今後の農政のありようや方向性を変え得る」と、その重要性を強調する。また、「約5年の間に環太平洋連携協定(TPP)交渉の締結から農政・農協、諸規制の『改革』まで、急ぎ足で進めてきた」ことなどを審判の材料とし、「国民にその是非を問うてみるのには、いいタイミング」とする。
さらに、「安倍農政の本質は官邸主導である。...『官邸のご意向』を後ろ盾に一方的に農政・農協改革を進めてきた。生産現場の声は排除か軽視される。...かつての自民党が持っていた『権力は抑制的に使う』という良識が農政で大きく後退した。この点も問われている」とすれば、審判の行方は自ずと見えてくる。
◆興味深い農政連の推薦候補者決定と公開質問への回答
野上忠興(政治ジャーナリスト)は同紙面において「農村地帯の不満は蓄積しており、農業団体の判断が注目されることになる」と、コメントしている。その農業団体における直近の判断については、28日の同紙が〝衆院選で推薦基準 全国農政連〟というタイトルで紹介している。候補者の推薦基準は、(1)自己改革の後押し、(2)2018年産以降の米政策や貿易交渉への万全な措置、に取り組むことを重視するとのこと。(2)に注目すれば、先のTPPの国会承認において賛成票を投じた連中の推薦はかなり厳しいはず。これも世間の常識だが、いかがであろうか。あったことをなかったことにはできないよネ!
また、「都道府県の農政運動組織は、各候補者に、農政課題に関する政策協定の締結や公開質問を行った上で推薦するかどうかを決める。全国農政連は、比例代表選挙区の判断材料とするため、主要政党に農政課題についての公開質問を行う」とのこと。公開質問への主要政党の回答は、農政連の判断材料であるとともに、農業・JA関係者の貴重な判断材料でもある。一日も早い公開が待たれるところである。
◆地方紙の悲しき願いか
河北新報(10月1日)の社説は、「...大方の国民、特に地方にあって生活実感として景気が良くなったとは思えない。...『所得が増えた』『豊かになった』と国民が実感できない経済政策を今後も継続すべきなのかどうか。衆院選の争点の一つに違いない」「経済を成長させるのは、国民の暮らしを豊かにするためである。そのことを与野党は肝に銘ずべきだ。与党は『この道』を練り直す必要がある。野党は選択肢たり得る説得力ある対案をまとめたい」としている。
新潟日報(9月30日)の社説は、「安倍政権の『地方創生』は色あせつつある。衆院選を『政権選択選挙』と位置付ける小池氏が、地方のための政策をどう準備するのかも見つめたい。小池氏は現職の都知事とはいえ就任からまだ1年余りである。そもそも人口一極集中が続く都政と人口減が進む地方の行政には、大きな違いがある。...『劇場』や耳になじみのよい言葉に惑わされず、地方や新潟の視点を大切にしながら、きちんと目を凝らしたい」としている。
両紙とも、地方の視点から真っ当な論旨を展開している。であるが故になおさら、政界に生息する穢らわしき魑魅魍魎どもの言動には怒りを覚える。〝希望〟という言葉に耳目が刺激されるたびに、〝絶望〟の二文字が浮かび上がってくる。しかし63年間、平和な人生を送ってきた者が〝絶望〟の淵にたたずんでいるわけにはいかない。こんな世の中、孫子に渡してなるものか。
「地方の眼力」なめんなよ
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