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【小松泰信・地方の眼力】不実愚曲の輩に言っておく2017年10月11日

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【小松 泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 「誠実に愚直に政策を訴えていきたい」とは、安倍首相の街頭演説の言である(日本農業新聞、10月4日)。「誠実に愚直に」とはちゃんちゃらおかしい。多くの国民から信頼されていない為政者が使えば使うほど、この言葉は穢れていく。誠実とは真逆の不実。愚直ではなく愚曲。愚かなうえにねじ曲がっているだけに救いようがない。

◆何度でも言います。安倍内閣への評価は極めて低い

 日本農業新聞(9日)には、同紙農政モニターを対象に実施した直近の衆院選に関する緊急意識調査の結果を掲載されている。回答者は700人。9月26日から10月4日にかけて実施されたもので、立憲民主党は調査対象となっていない点に留意しておかねばならない。概要は次のように整理される。
 (1)安倍内閣については、「支持しない」と回答したのが65.0%。前回の当コラムで紹介した調査結果の59.9%を5.1ポイントも上回っている。なお、「支持する」との回答は34.0%
 (2)支持する政党については、自民党44.0%、希望の党10.1%、民進党4.9%、共産党4.7%の順で続いている。支持政党がないのは28.0%である。(1)で安倍内閣を支持すると回答した人全員が自民党支持者だと仮定すると、自民党支持者でも22.7%(=(44.0-34.0)÷44.0×100)が安倍内閣を支持していないことがわかる。
 (3)選挙区での投票予定政党については、自民党43.3%、希望の党14.9%、共産党5.4%、民進党4.7%の順で続いている。決めていないのは25.1%。希望の党と共産党が、支持者以外にも浸透していることがわかる。自民党もほとんど取りこぼしはない。
 (4)比例区での投票予定政党については、自民党34.1%、希望の党18.4%、共産党7.4%の順で続いている。決めていないのは25.4%。自民党が支持者の22.5%(=(44.0-34.1)÷44.0×100)を取りこぼし、その受け皿に希望の党がなっていることがうかがえる。また、自民党とする割合(34.1%)が内閣支持者の割合(34.0%)とほぼ同じである点も興味深い。
 (5)この時期の解散総選挙については、76.7%が「違和感がある」としている。
 安倍1強とも相通じる〝緑の小池〟の傲慢な言動により、希望の党は失速気味。代わって〝枝野コール〟に象徴される判官贔屓の後押しもあり、立憲民主党への新たな風が吹き始めている。このような激しい動きが、この調査結果への単純な解釈を躊躇わせる。ただこれまでのアンケート結果と同様に、農業に関わる人々の安倍内閣に対する評価は引き続き低下傾向にある。このことから、安倍農政への極めて低い評価も回復していないことが推察される。
 
◆自民・公明・希望・維新VS.共産・立憲民主・社会民主

 前回の当コラムで、「公開質問への主要政党の回答は、農政連の判断材料であるとともに、農業・JA関係者の貴重な判断材料でもある。一日も早い公開が待たれるところである」としたが、その回答が9日の日本農業新聞に掲載された。公約的な側面もあるため、すべてを真に受けるわけにはいかないが、政権与党(自民党と公明党)の食料・農業・農村政策と希望の党および日本維新の会のそれは親和性が強い。局面によっては、希望・維新が与党以上に新自由主義的な姿勢を示しており要注意である。日本共産党と社会民主党の政策は安倍農政とは大きく異なっている。立憲民主党の政策も共産と社民の政策と親和性が高いことが想定される。とすれば、当該政策の対立構図は決して三極ではない。自民・公明・希望・維新と共産・立憲民主・社会民主の二極である。
 
◆推薦すれども投票せず? いいとも!

 さらに同紙(8日)は「...政権批判の受け皿を狙う野党側は官邸主導で構造改革を進める安倍農政を徹底批判する。迎え撃つ自民にはこれまでにない危機感がにじみ、農協など組織票固めを急いでいる」として、佐賀2区などの動きを紹介している。
 同区においては、「...安倍農政のつけが表面化しつつある。6日に県農政協は役員・支部長合同会議で衆院選の推薦議員を協議したが意見がまとまらず、9日に再度会議を開く。農協改革を進める安倍政権への不信感が募り、今回は各支部が自主投票を推す声が強い」とのこと。結局、1区とともに2区も自主投票。九州では唯一とのこと。
 安倍農政の4年10ヶ月を振り返れば、少なくと「政権与党と連携して政策要求の実現をめざす」というかけ声は、ただただ空しく響くのみ。ところが空しく響かない地域がいかに多いかを、全国農政連の推薦候補者リストが教えてくれている。10日の時点で212人を推薦候補者としたが、玄葉光一郎(無所属)以外は政権与党だらけである。
 「推薦候補者全員を国政に送り出すために全力を挙げるとともに、地方の声が具体的な政策に結実するよう、議員との対話を重ねていく」(同紙6日)とのこと。しかし、これまでも全力で協力して当選させてきたはず。その結果が現場と乖離した農業・農協改革など悪政の限り。学習しない組織に未来はない。『各政党に聞く農政課題 どうする食料・農業・農村政策』と大書された公開質問への回答一覧表をちゃんと読めば、どの党が信頼できる政策を提示しているか分かるはず。それとも農業・JA関係者に最終判断を委ねた〝推薦すれども投票せず〟の面従腹背戦略をお勧めなのか。まぁ、ギリギリそれもありか。

◆「これからの日本の農業」は何を広告しているのか

 驚いたのは毎日新聞(8日)の「これからの日本の農業」と題された広告。リード文には、「『農協改革の完遂』を目指す『中家JA』はどのような方向で改革を進めていくのか。同郷の自民党幹事長の二階俊博さん、政治評論家で農業にも精通した森田実さんの3人に『これからの日本の農業』について語ってもらいました」と記されている。〝未来へ覚悟のJA改革〟〝一丸となって難局打破 中家氏〟〝オールニッポンで支え 二階氏〟〝世界に誇れる農作物 森田氏〟との見出しを見れば、読まずとも大筋は伝わる。伝わりにくいのは、この広告の意図。政治評論家をかませようが、同郷のよしみであろうが、公示間近にJA全中会長と自民党幹事長の農業・農協談義が、JAグループと自民党の懇ろな関係と、それゆえの総選挙に関するあるシグナルを世に広告することは否定できない。
 全国農政連の推薦実態と考え合わせる時、やはり今回も等距離外交ができないんですね、何のための公開質問だったのですか、まだ懲りないのですか、現場の農業・JA関係者の考えとは違いますよ、等々のツッコミを入れるのは当コラムだけではないはず。

◆誠実で愚直な抵抗者へ

 決起集会の締めの定番〝頑張ろう!〟をしている写真が某新聞の一面に載っていた。よく見ると、最前列で一人だけが腕組みをしていた。彼なりの抵抗であることが伝わってきたが、何に対する抵抗かまでは分からない。しかし、主催者の面前でのその姿には、苦悩、葛藤、そして〝抵抗〟への強い意思がみなぎっていた。
 誠実で愚直な抵抗者たちへ。孤独を恐れることなく愉しむこと。さすれば孤立は避けられる。不実愚曲の輩に言っておく。
 「地方の眼力」なめんなよ

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