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貿易交渉と北海道酪農の影響2017年12月7日

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【高橋勇・浜中町農業協同組合参事】

 今年も残すところわずか。北海道には本格的に冬が到来した。来春まで5か月ほど雪との戦いが始まろうとしている。

 今年は、1月早々から貿易交渉や制度に関する動きが激しかった。米国トランプ大統領は就任3日目で5年間も関係12か国で議論し、大筋合意までこぎつけたTPPには参加しないと宣言してしまった。日本の国会ではいち早く批准手続きを行っていたにもかかわらず意に介せずと言った状況であった。酪農家をはじめとする関係者は、TPPについては半ばあきらめ状態から息を吹き返したことになるが、どうもすっきりしないのは、私だけではないだろう。
 政府も文科省がらみの対応でしばらく動きがなかったかと思いきや、突然6月下旬にEUとの経済連携協定(EPA)の大枠合意が目前と報道され、数日のうちに合意したと発表された。一番影響を受けるのは、チーズ向け生乳を生産している北海道の酪農家と言われている。偶然とはいえ、その北海道の酪農家が冬期の飼料確保のため、牧草収穫で一年の中で一番忙しい時期を狙って、虚を突いたようなタイミングであった。その内容はチーズに課せられている29.8%の関税を16年間で撤廃することである。数量も生乳換算で約30万tとも言われ、現在北海道でチーズ向けとなっている生乳の6割ほどに相当する。
 国内ではこの10年食文化の多様性に対応するため、大手乳業をはじめチーズ生産に力を入れてきた。酪農家自身も6次化の推進などもあり、自家産生乳を活用したチーズ工房が各地に出現していた。当JA管内でも個人の酪農家で今までチーズ工房を開始した方は、4件あり、そのうち3件は新規就農者である。折角の新しい文化の目が、貿易の影響を受けその芽を摘み取られなければ良いがと危惧している。
 また、5月には改正畜産経営安定法が可決され、50年間続いていた加工原料乳生産者補給金制度が次年度から様変わりすることとなった。10月には政省令が公布されたが、多くの酪農家にとって従来の制度との改正がどこなのか、理解できる内容では無さそうである。しかも酪農家にとって大きな関心ごとの需給調整機能を、誰が責任を持って担うのか曖昧なままである。当面は発生しないと予想されるが、減産体制を強いられた場合は大きな混乱の基となる。どのようにすれば酪農家が安心して生乳生産に取り組めるのか、関係者の方にはもっと知恵を絞っていただきたい。
 TPPは、米国の離脱で漂流する可能性もあったが、11月に入り米国抜きのTPP11という形で、閣僚会合が開催され大筋合意が発表となった。乳製品や牛肉など生産物が競合する相手国としてオーストラリアやニュージーランドがあり、米国抜きでも北海道酪農には将来間違いなく影響があるだろう。
 さらに一番の懸案はトランプ大統領ではないか。11月に来日した折には報道されなかったが、日米FTAを視野に入れて何らかの話があったのではないかと勘繰りたくなる。しかもトランプ大統領は常に米国ファーストを前面に打ち出して発言しており、2国間の貿易交渉となると一方的となり、そのツケは酪農家に向けられる可能性が大きいだろう。
 いずれにしても北海道酪農にとって2017年は外圧、国内事情とも大きな転換期であったが、その中で一番大切な酪農家抜きで、いつの間にか意に反する方向に物事が進んでいる気がしてならない。

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