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(064)(協同)組合組織の全体像を少しだけ考える2018年1月5日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 2018年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 さて、今年最初のコラムでは、日本における(協同)組合組織の全体像を、少しだけ考えてみたい。農業に関係する人の多くは(協同)組合組織というと、農業協同組合(以下、JA)や生活協同組合(生協)のことを考える。しかしながら、現代日本にはJAや生協よりはるかに多くの(協同)組合組織が存在する。協同組合の数で言えば、JAは超マイノリティである。

 『JA全農リポート2017』(注1) によれば、(協同)組合組織は全国で約3万3000、6500万人が関わっているという。JA全中は2017年10月1日時点の全国のJA数を652としているため、仮に3万3000を分母とすれば(協同)組合組織に占めるJAの数は全体の2%にも満たない。これが超マイノリティの根拠である。以下、前出のレポートに基づき組合数の多い順番に列記してみると以下のとおりとなる。

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 ここで圧倒的な数を占めているのが「事業協同組合」である。事業協同組合(組合数28,970、以下同じ)とは中小企業協同組合法を根拠法とする協同組合である。詳細は『平成27年度中小企業施策総覧』(注2) 231-241頁が詳しいため、御関心ある方はご覧頂きたい。
 昭和24(1949)年に制定されたこの法律は、事業協同組合の他にも、事業協同小組合(4)、火災共済協同組合(6)、信用協同組合(153)、協同組合連合会(637)、企業組合(1,806)の設立根拠法である。前出の『全農レポート2017』の中には、斜体字の組合は含まれていないように推定されるが正確なところは筆者にはよくわからない。
 中小企業協同組合法は、中小企業庁所管の法律だが、似たような名称の法律に「中小企業団体の組織に関する法律」がある。こちらは、協業組合(784)、商工組合(1,174)、商工組合連合会(50)の根拠法である。また、「商店街振興組合法」という法律があり、こちらは商店街振興組合(2,504)、商店街振興組合連合会(114)の根拠法である。さらに、「生活衛生関係営業の運営の適性化に関する法律」(注3) は、生活衛生同業組合(572)、生活衛生同業組合連合会(16)、生活衛生同業小組合(3)の根拠法である。

※  ※  ※

 各種の(協同)組合法制に関し、筆者はここで大上段に構えてモノを言える程の知見はないが、時間の経過とともに、かなり多くの(協同)組合組織が出来ているようだ。個別の組織の全国団体ホームページを見ると、組織数で『全農レポート2017』のものよりも多いものもあるし、記されていない(協同)組合組織の数も多い。
 これらを合計すれば、組織数でも3万5000をはるかに超えるし、組合員数でもより多くなることは容易に推定できる。もっとも、JA全農は経済事業を行う組織である以上、(協同)組合組織でも経済事業を実施していないものは対象から除外したのかもしれない。いずれにせよ、(協同)組合組織そのものはJA関係者が通常理解しているよりはるかに多く、国民生活に密接に関係しているという現実をよく理解しておく必要がある。 
 協同組合が「古い」とか「時代遅れ」というのは一面的な幻想に過ぎないということだ。仮にそうであったとしても、それは(協同)組合組織という形ではなく、現場でのマネジメント・レベルの実践策の問題と考えられる。そうであれば容易に修正は可能なはずだ。

※  ※  ※

 さて、残念なことに、これらの組織は複数の個別法制により「分割統治」されているようで、お互いがお互いのことを何となくは知りつつも、組織間の距離は近いとも遠いとも言いきれない微妙な状況にいるのかもしれない。筆者がJA全農に勤務していたのははるか昔であるが、内部で事業協同組合との比較や連携、仕組について議論をした記憶はほとんどなく、協同組合か株式会社かという二者択一の議論になりがちであったことが多い。
 昨今の経過を見るに、議論は農業改革から農協改革にシフトしただけでなく、今では水産や林業の分野にも飛び火しているようだ。(協同)組合各組織の全国団体は、各々の組織の立場と目の前の現実を踏まえた上で、一度、じっくりと(協同)組合組織全体を俯瞰し、今後について考え、将来の展望と構想を議論する機会を共有してみたらどうであろう。それは全国レベルの連合会の重要な責務ではないかと思う。

注1:全国農業協同組合連合会(JA全農)『全農リポート2017』、2017年11月、7頁。
注2: 中小企業庁『平成27年度中小企業事業総覧』、231-241頁。本文中の数字もここからのもの。
注3:この法律の適用は、飲食店・喫茶店、食肉や氷雪販売業、理容業、美容業、興行場営業(映画、演劇・演芸)、旅館業、浴場業、クリーニング業などであり、食品衛生法上の許可を得た飲食店等が対象となるため、農業・食品関連産業とも関わりがある。

 

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