オレファーストの醜い面々2018年1月22日
オレファーストの政治が蔓延している。俺の政治的地位や政治信念に執着する政治家が、日本の政治を劣化させている。
アメリカファーストや都民ファーストは、それなりに評価できる。他人に迷惑をかけない自己主義なら見逃せる。しかし、多くの国民に迷惑をかける政治のオレファーストは、全く評価できない。
この考えは「1人は万人のために・・・・・・」という崇高な協同組合の考えと真っ向から対立する。
先週は、野党間の協力関係についての協議が行われた。しかし、オレファーストの考えを丸出しにした醜い争いの結果、協議は成立しなかった。そうして、野党協力による自民1強政治の終焉を願う、多くの国民を落胆させた。
先週は、民進党と希望の党との間で、統一会派を作るという協議が、それぞれの幹部の間で合意された。しかし、議員総会などで議論した末に却下された。
いったい、統一会派を作って、どんな政治をしようとしたのかが分からない。そうして、「あの党とは、基本政策が違うからだめだ」などという議論をしたようだ。そして、それならまだしも、「あの党の幹部は気に入らない」とか、「以前、コケにされたからだめだ」という低次元の議論に終始したようだ。とうてい政治家の政策議論とは思えない低俗な議論だったようだ。
ここには、オレの政治信念に固執するとか、オレの政治的地位に執着する、というオレファーストが横行していたように見える。
◇
政治家の集まりなら、どんな具体的な政策をいっしょになって作り上げるか、を議論すべきだったろう。しかし、そうではなかった。憲法感が違うとか、安保政策が違うとか、政治理念の違いを、雲の上で議論していた。
それでは、統一会派は作れない。それぞれの政党には、それぞれの政治理念がある。それは党内で議論すべきことである。政党間で議論することを否定するつもりはないが、しかし、これから統一会派を作ろうとする協議の場で議論すべきことではない。
協議の場で議論すべきことは、各党の政治理念ではなく、具体的な政策で、どこが共通していて、どんな具体的な協力ができるかである。そうして、その具体的な政策を実現することである。
◇
問題が具体的になれば、その問題に、日常的に、実際に向き合っている国民の中に入って、国民といっしょになって、解決するための政策を考えねばならない。そうなれば、中央幹部だけの議論だけではすまなくなる。問題の現場にいる党員や協力者を巻き込んだ議論に必然的になるだろう。その結果、中央幹部のオレファーストは消え去るだろう。
こんどの統一会派結成の協議では、この点が無視されていた。だから、現場からの盛り上がりがなかった。ここにも成立しなかった大きな原因がある。
◇
いま、現場には、格差問題が現実問題として吹き荒れている。それは、市場原理主義の嵐である。これにどう対抗するか。99%の経済的弱者のための統一会派か、それとも、1%の経済的強者の立場に立って、市場原理主義をもっと強め、格差問題をもっと深刻化するための統一会派か。
もちろん弱者のための統一会派だろう。オレファーストをやめて、それさえ明確にしておけばいい。そうすれば、協議は進む。しかし、ここを曖昧にしておいたのでは、混乱を招くだけだ。
◇
ややこしいのは、だれしもが弱者の立場に立っている、と言っていることである。自民党でさえ、ほとんど全員が弱者のための政治を行っている、と言っている。強者のための政治を行っている、と明言する政治家はほとんどいない。
ここで、混乱の大元になるのは、強者を富ませれば、その結果、しぜんに弱者も富む、という「理論」つまり、トリクルダウンの理論である。これは市場原理主義と一体のものである。これを認めるか否か、という点が政治家を見分ける明確な境い目である。
オールフォーオールなどというのは、市場原理主義の亜流である。だから見分け易い。野党が、まして野党の党首が、そんなこと言っていたのでは混乱を深めるだけだ。
◇
こんど協議した2つの政党は、党員の大部分が弱者の立場に立って、トリクルダウンを否定しているし、市場原理主義を否定している。立憲党や共産党、自由党、社民党も、この点は同じで、それぞれが弱者の立場に立っている。この現実的な基本点が同じだから、そこを中心にして協力しあう場面は多い。そこを基礎にして、この6野党が自民党に対抗すれば、強力な野党連合が出来上がる。
そうして、農政分野でいえば、いま政府が企んでいる、米政策の解体による食糧安保政策の放棄や、市場原理主義による畜産政策の改悪を阻止する強い力になるだろう。
弱者である農業者をはじめ、国民の99%を占める弱者は、野党が協力しあい、自民党に対して市場原理主義に基づく具体的な政策の撤回を迫り、そのために強固な協力体制を築き上げることを期待している。
(2018.01.22)
(前回 自民1強政治への怒りは続く)
(前々回 お年寄りへの賛歌)
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