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【近藤康男・TPPから見える風景】唯一の譲歩国、カラ手形を得ただけの日本2018年2月1日

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【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

 本年1月23日、日本政府は6月通常国会でのCPTPP(所謂TPP11)国内手続きに間に合わせようと、急ぎ足で残る課題(カナダとベトナムの要求)を決着させ、3月8日にチリで合意署名を行うことを決めた。日EU・EPAも、先送りしている2つの課題が残っているため、CPTPPと日EU・EPAが秋の臨時国会で鉢合わせしないようにとのためでもあり、チリの現政権が、3月11日に新政権と交代する前に実績を作っておきたいとの意向もあったとも言われている。
 さて、日本政府は“まとめる”こと以外に何を勝ち取ったのか?悪役呼ばわりをされたかのようなカナダの要求はどうなったのか?

◆日本がカナダに譲ったもの?

 2月1日現在、所管部署の「TPP等政府対策本部」のウェッブサイトには11月11日に掲載されたダナンでの合意内容と、1月25日に掲載された首席交渉官会合の結果概要が掲載されているだけだ。CPTPPの第6条を除き、"何が決まったのか?"よく分からず、実質的な内容は凍結項目などの掲載だけでしかない。
 TPP首脳会合等

 ベトナムの要求とカナダの要求については、原協定は変えずに各国と当該2ヶ国とがそれぞれ"サイドレタ-"を結び、その内容は合意署名まで公表しない、とされている。カナダ政府の"文化例外"や一部報道された"自動車での要求"などは勿論掲載されていない。
 カナダ政府のウェッブサイトを見ると、カナダは独自の文化保護の権利を守ったことに加えて、日本との間でTPP原協定において(side letter)、日本が米国とカナダに約束した自動車の基準や規制、最恵国待遇について、【米国の離脱により事実上無効となったが、CPTPPで取り戻した、】(他の国からも回復した条項がある)とされている。
 Comprehensive and Progressive Partnership for Trans-Pacific Partnership (CPTPP) - Backgrounder

 

◆NZ新首相が引っ込めた? ISDSは?

 NZ(ニュージーランド)政府もカナダ政府同様にウェッブサイトでCPTPPについて丁寧な説明をしている。その中で、「NZ政府は、海外からの投資の80%についてISDS提訴から免れることを獲得した」と説明している(政府の言い訳でもあるだろう)。
 Explaining CPTPP | New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade


 その裏付けは、TPP原協定がNZで合意署名された直後の16年2月6日付でNZ政府と豪州の間で結んだ「互いにISDSを適用しない」という"side letter"だ。"80%"という数字は両国の近しい関係故でもあるのは事実だ。以下は"side letter"のリンク。
 New Zealand-Australia Side Letter Relationship between TPP and Other Agreements.pdf

 しかし、CPTPPの凍結項目でもISDSの適用範囲を狭めている。そしてNAFTA再交渉で米国はISDSはいらないと言い、日EU・EPAでもEUはISDS反対、更にCPTPP関係国の大半はISDSには消極的だ。そろそろ日本もISDSを見直してしかるべきだろう。

 

◆日本は何を得たのか? カラ手形だけだ

 TPPにおいては、米国の実績数量を加味した、乳製品の低関税枠と牛肉のセ-フガ-ド発動基準数量が設定された。米国が離脱すれば、その分に相当する数量を"米国を想定した数量"として差し引かなければ、締約国10ヶ国に対して【TPP原協定以上の輸入枠を提供】したことになる。加えて2国間の交渉になれば、米国が最低でもTPPの原協定での米国の"実績相当見合い"≒追加的市場開放を求めることは必至である。
 このことを防ぐための、どのような担保措置が確保されたのか? 以下の文章の何処にも具体的な担保措置は記載されていないし、逆に他の締約国には日本の見直し提案に対して反対の提案が出来る余地さえ与えているのではないか?
 日本政府は、以下の2点を持って、"要求が確保された"としているが、日本の担当閣僚・交渉官も、また他の国の関係者もその内にいなくなり、【心情的担保など消滅】することは必至である。
 ・協定6条は、「TPP12協定の発効が見込まれる場合又は見込まれない場合に、いずれかの締約国の要請があった時は、TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見
直しを行う」という内容だ。以下リンク。
 TPP11協定の合意内容について-内閣官房
   
 ・閣僚声明では6条について、「閣僚は、見直しの範囲が、TPPの現状に関する状況を反映するためのCPTPP改正の提案に及ぶ可能性がある、との見解を共有した」とある。以下リンク。
 環太平洋パートナーシップ閣僚声明(仮訳)-内閣官房

 
 今回紹介したNZ政府とカナダ政府のリンクを覗いていただきたい。英語を読まなくともボリュ-ムを感じるだけで、日本の、情報開示だけに止まらない、交渉のいい加減さも感じていただけると思う。

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人のコラム【TPPから見える風景】

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