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超高齢社会を「先生」として生きる2018年3月6日

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【JC総研客員研究員 伊藤澄一】

 JA女性参画の会合での講演が続く。JAを挙げての男女共同参画推進大会、県の女性組織協議会総会、さらにはJA女性総代研修会などだ。話はJA自己改革と女性参画、ミドルとエルダーが多い女性部員たちのこれからの生き方がテーマだ。この二つに共通しているのは、超高齢社会での「わたし自身の生き方」と家族や地域との関わりである。

◆学びたいと思う気持

 早く起きて家事を片付け、家族の世話をしている方は以前からその日の対応を手当てして、足を確保して、1時間なかには2時間あまりをかけて会場に着く。同じブロックの参加者との久々の情報交換、親しい仲間とはお互いの近況と、心配ごとの一端をやさしい言葉に包んでの挨拶。講師の話に期待を持ちつつも、期待外れの経験もしてきたので、今日はどんなものかとささやき合う。
 心にしみる、笑える、元気になれるような話を聴きたい。地域やブロックの役員だから動員による参加の面もあるが、参加した以上は何かをつかんで地域に帰り、仲間に報告したい。
 JA女性部員の場合は、農業問題もさることながら、まず自分自身の生き方、そのひとつとして家族のなかでのポジション、地域とのつながりを意識している。家に閉じこもってはいけない、仲間との語らい、手仕事などでからだを動かし、誰かのちょっとした世話を焼くなどして、孤独にならないことが一番だとわかっている。
 畑での農作業などで作物に手をかけて自然とのつながりを感じて、少しの汗を流す。料理・調理をすることで身体を動かし、思考をめぐらし工夫する。一方で家族の介護をしつつ、自らの健康も含め心配ごとは尽きない。そんな日々のたまさかの一日に、女性参画の話や地域の農業の話、JAの自己改革を学ぶのだ。

 

◆健康寿命を創りだす

 私たちの自己改革は、長命の時代にからだとこころの健康を維持して、いかにして自分らしい生き方を我がものとしていくか、そのことに尽きる。男女で見れば、70歳を過ぎて8割が緩やかに機能低下していき、80歳で要支援、85歳で要介護、90歳前後でピリオドとなる一般的なデータがある。確かにそれを生きるのだ。
 JAの「健康寿命100歳PT」は食事・運動・健診を重視する。講演ではこれにプラスして、地域社会と自然との交流をお勧めする。5点セットだ。家から外に出て人々と会話する、万物のあるがままのいのちと出会う、そのことによって、こころとからだに「変化」を取り込むのだ。
 高齢者となって、思いどおりにならずどこかに不自由をかかえるようになっても、それでもこころもからだも何とかなだめてコントロールしようと努めている姿、その日々が自己改革なのだ。そのような自分をもう一人の自分が見守り励ます。そんなさっぱりとした大人の生き方をしたい。昨年4月3日の日本農業新聞「読者文芸」欄に『腰ちぢみ起居に歩みによろめくも排泄なめらか大気春めく』(尾道市・藤田久美)という短歌が載った。これだ。
 長命を自らの意志を超えて生きなければならない時代。心身が少しずつ変化して、ラストでは認知力が低下する自分とも出会う。「ああ来たな」という感覚だ。それをも取り込んで、今日一日のわたしを生きていく。
 舅・姑、自らの父母を見送り、さらには夫を見送って一人となる、あるいはいつの間にか嫁いだ家の生き証人のような存在になって、次世代の家族のなかに身を置くようになる。家族ばかりか若手の女性部員や地域の人々からも頼られて、よく笑い、よく喋り、そして耳を傾ける。そんな姿を見せていく「先生」となるのだ。
 私たち一人ひとりが日々「元気」を務めることが、そのまま地域の活力になる。それをともに分かち合うようなJAでありたい。それがJAの自己改革の大切なプログラムだ。全国の女性たちに、「JAにつどい地域の先生として生きよう」、そのように呼びかける日々である。

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