「農協に必要なのは "経営実務のできる人"」2018年4月30日
農協の自己改革には、先ず経営実務の出来る人材の育成である。総合農協がやっているどの事業も、これに関係する業界は厳しい競争の中で改革を進めている。
信用、共済の金融関連の事業は日銀のゼロ金利政策のあおりを受けて地方銀行を先頭に業界全体が再編の時代に入っている。農協組織の金融事業も対岸の火事ではなくなった。経済事業の販売は、コメ、野菜、果実、花卉、畜産を一口に販売事業とくくっているが、それぞれマーケットの構造が異なるので分野毎の専門的な対応が必要である。購買事業も肥料、農薬、飼料、農機、生活のどの分野も大手のメーカー、総合商社から大小の業者までがしのぎを削った競争をしている。
株式会社であれば利益を出すことを第一に掲げて合理化に徹した経営をすればよいが、農業協同組合は組合員農家の生活の向上を達成するための組合組織であるのでまず「理念」を基本にして、しかも事業を継続発展するためには赤字経営は許されず必要な利益を上げる経営が求められる。経営の責任にある人は株式会社よりも難しい経営手腕が求められている。
農協合併で大型になり、一県一農協も出来ている。同じ県内でも作物は地域によって特徴が出る。同じ品種を同じ栽培技術で育ててもコメは水系によって品質に差が出る。果実は山の南斜面と北側では違ったものとなる。共選場では同じ規格に区分をされても実際の取引では品質差を見て旧農協のブランドで行われる。これがビジネスの現場である。
合併をしても、事業によっては旧農協の地区本部が実際の実務をカバーして本部は対外的な窓口を分担するという工夫がなされているのではないか。
大型農協になるとどの分野の事業も県内ではトップの規模となり、事業によっては現場部門を別会社にしている。それらを総合した大規模の事業体となる。従業員も1000人位となり、一県一農協では県の全域が対象となり3000人を超えるところもある。これだけの規模の総合事業を経営するためにはプロの経営陣とスタッフが必須事項であり、さらに連合会のサポートが不可欠である。
農協には評論と政治の好きな人はたくさんいるのでそちらは任せて、経営実務の出来る人材、体制が当面の課題である。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(103) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(13)-2024年7月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(19)【防除学習帖】 第258回2024年7月20日
-
土壌診断の基礎知識(29)【今さら聞けない営農情報】第259回2024年7月20日
-
コメの先物取引は間違い【原田 康・目明き千人】2024年7月20日
-
(393)2100年の世界【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月19日
-
【'24新組合長に聞く】JA鹿児島きもつき(鹿児島) 中野正治組合長 「10年ビジョン」へ挑戦(5/30就任)2024年7月19日
-
冷蔵庫が故障で反省【消費者の目・花ちゃん】2024年7月19日
-
農業用ドローン「Nile-JZ」背の高いとうもろこしへの防除も可能に ナイルワークス2024年7月19日
-
全国道の駅グランプリ2024 1位は宮城県「あ・ら・伊達な道の駅」が獲得 じゃらん2024年7月19日
-
泉大津市と旭川市が農業連携 全国初「オーガニックビレッジ宣言」2024年7月19日
-
生産者と施工会社をつなぐプラットフォーム「MEGADERU」リリース タカミヤ2024年7月19日
-
水稲の葉が対象のDNA検査 期間限定特別価格で提供 ビジョンバイオ2024年7月19日
-
肩掛けせず押すだけで草刈り「キャリー式草刈機」販売開始 工進2024年7月19日
-
サラダクラブ三原工場 太陽光パネルの稼働を開始2024年7月19日
-
「産直アウル」旬の桃特集 生産者が丹精込めて育てた桃が勢揃い2024年7月19日
-
「国産ももフェア」直営飲食7店舗で25日から開催 JA全農2024年7月19日
-
「くまもと夏野菜フェア」熊本・博多の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年7月19日
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(1)地域住民とともに資源循環 生ごみで発電、液肥化2024年7月18日
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(2)大坪康志組合長に聞く 「農業元気に」モットー2024年7月18日
-
【注意報】野菜・花き類にオオタバコガ 栽培地域全域で多発のおそれ 既に食害被害の作物も 群馬県2024年7月18日