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保守2大政党制を排す2018年5月14日

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【森島 賢】

 野党第1党の立憲民主党は、党首の枝野幸男氏が、「私は保守だ」と公言している。つまり、保守2大政党制を目ざしている。
 野党第2党の国民民主党は、綱領で「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役…」といっている。穏健という意味不明の修飾語をつけてはいるが、保守であることに変わりはない。つまり、保守2大政党制を目ざしている。
 与党も保守。野党も保守。こうなると、日本の政治は保守一色に塗りつぶされてしまう。
 いま、自民党の保守政治に痛めつけられている農業者などの経済的弱者は、どの政党を支持すればいいのだろうか。

 いったい、保守とは何か。
 古き良き文化と伝統を守るのが保守だ、というのが多数意見のようだ。しかし、良いものも捨ててしまえ、などいう乱暴な政治理念が、どこにあるのだろうか。こんな、あやふやな定義では、誰もが戸惑ってしまう。これでは、政治理念にならない。
 では、保守とは何を意味するのか。
 いまの経済体制と、それを支える政治体制を維持するのが保守である。つまり、いまの資本主義体制をそのまま維持し、そのために、いまの市場原理主義政治を押し進めるのが保守である。だから「自民」は保守政党なのである。

 「立憲」や「国民」も、この意味で保守を目指すのか。そうではないだろう。「自民」政治の中心部にある市場原理主義政治に痛めつけられている農業者、労働者、中小企業者などの、経済的弱者の側に立つ政党を目指しているのではないのか。
 両野党が保守を名乗っているのは、保守の本拠である財界に睨まれないように考えているからではないか。
 しかし、それは無理だ。弱者の味方になるか、それとも「自民」のあと釜を狙って財界の忠実な代弁者になるか、その2つのどちらかしかないのだ。

 「立憲」や「国民」が、もしも弱者の代弁者を目指すのなら、保守政党だ、などと言ってはならない。そんなことを言っているから、モリトモ問題などで政府を追及しても、保守どうしの醜い争いのように見えて、支持率が上がらない。
 もしも保守を名乗るのなら、弱者の支持は期待できないことを覚悟すべきである。そうして、「自民」と争うしかない。保守の宮廷内で、老練な「自民」を相手にして、権謀術策を駆使して争うしかない。しかし、それが出来るほどの百戦錬磨の策士が、両野党のなかにいるとは思えない。
 つまり、両野党が保守を名乗っていたのでは、弱者から見放されるし、保守宮廷内の宮廷革命で「自民」に負けて、片隅でいじけているしかない。そうした、哀れな未来しかない。そんな惨めな野党は見たくもない。

 「立憲」や「国民」が弱者に支持を求めるのなら、保守を名乗るのをやめて、保守の「自民」と対峙する政党だ、と言わねばならない。それが初心ではないのか。
 両野党の立党の精神は、保守の自民政権を倒して、弱者の側に立つ政治を行うことではないのか。それが初心ではないのか。そうだとすれば、保守の看板は捨てねばならない。
 そうして初心に帰り、いまの保守政治の土台になっている市場原理主義の政治を転換しなければならない。

 いま、農業者は、市場原理主義農政に基づく、減反の廃止、TPP問題などで、苦悩のどん底にある。農業者を市場原理主義農政から守る砦である農協は、激しい攻撃にさらされている。
 農業者だけではない。多くの国民が、市場原理主義政治による格差の拡大、つまり貧困化に喘いでいる。
 両野党は、こうした弱者の側に立って、市場原理主義政治の転換を目指さねばならない。
 こうした旗幟を鮮明にすれば、弱者の支持が一気に両野党へ集まるだろう。支持率は急上昇するだろう。
 そうなれば、衆議院の解散は受けて立つ、などと弱音を吐くのではなく、解散に追い込む、という強気の姿勢で、モリトモ問題などの追及ができるだろう。弱者は拍手喝采するだろう。
(2018.05.14)

(前回 国民民主党は第2保守党か

(前々回 政府攻撃の戦略目的は弱者にとって何か

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