【熊野孝文・米マーケット情報】日本米輸出に役立つ穀粒判別器2018年6月19日
6月14日に開幕したワールドカップロシア大会。この大会から3つの新しいルールが加わった。その一つにVARと言うものがある。ビデオ・アシスタント・レフリーの略で、映像が主審の判定を補助する。その内容を報じたメディアは、このVARを導入することにより正しい判定がアップするということも報じていた。サッカーに限らずバレーボールでもアタックされたボールは100kmを超すスピードでライン際に落ちて来るのでインかアウトか人間の目視ではなかなか判定が難しい。
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先週開催された2018国際食品工業展(FOOMAJAPAN)に3社がコメの穀粒判別器を展示・紹介していた。その中の1社に判別する玄米の項目を細かく確認出来る判別器を展示していたところがあったのでサンプルの測定結果を印字してもらった。測定項目は30もあり、活き青の割合からねじれ粒の割合といったものまでデータとして出てくる。測定時間はわずか5秒で、文字通り瞬時に玄米の品位がデータとして読み取れる。
これを可能にしたのは画像解析の格段の進歩で、画素数をアップ、カラーCCDラインセンサーと高速画像処理エンジンを採用したことでこうしたことが可能になったとしている。この穀粒判別器は一般社団法人全国瑞穂食糧検査協会の認定を受けているが、あくまでも検査の補助器である。この穀粒判別器の測定結果でコメの等級印を打つことはできない。農産物検査法の検査項目には、重要な要素として"形質"が盛り込まれている。これは何かというと玄米の「見た目」である。
見た目はいかにも人間的な判断で、抽象的であるがゆえに画像解析技術がいかに発達しても機械では判定できない。ある大規模稲作生産者は以下のようなことを言っている。
「自社で生産している分では全然足りず、仕入れている分がある。原料にクレームをつけたいのだが、なかなか表現が難しい。最近、品質の良いコシヒカリを見たことがない。1等と2等の狭間が多い。検査が甘くなっている。穀粒判別機にかけると60%ぐらいでだいたい1等、それじゃまずい。画像取引が上手くできればそれを担保にして検査の等級を付ける。ロットの単位で流通させるのは難しいのかと思う。うちはQRコードで生産者ごとにロット管理している。ロット管理がうまくできれば農産物検査法の中で難しい部分があるがうまく抽出できれば良い。」
これは生産者の意見だが、流通業者はどう見ているのか? 全米販が平成29年産米の検査証明に関するアンケートの集計結果を公表している。
それによると「検査証明書について」(1)登録検査機関、検査年月日、検査員認印の漏れ27、(2)年産表示漏れ17、(3)種類表示漏れ15、(4)銘柄表示漏れ14、(5)等級印の漏れ25。
「銘柄検査について」(1)証明された品種と異なる品種の混入はなかった21、(2)異品種の混入があった4、「品位等検査の品位の検査について」(1)相対的にみて妥当14、(2)総体的にみて概ね妥当ではあるが、一部妥当ではないものがある27、(3)総体的にみて妥当ではない0、(4)どちらとも言えない1、「品位検査の格付結果が『妥当でない』理由について(1)整粒歩合が規格値を下回っている18、(2)着色粒が等級の規格値を上回って混入している9、(3)形質(充実度)が標準より劣る9、(4)心白・腹白の混入が多い12、(5)異物、異種穀粒(もみ等)が混入している8、などと言う回答がまとめられている。アンケート結果は産地銘柄別の結果もまとめられているが、上位銘柄ほど件数が多いためか妥当でないと評価されている件数も多い。
妥当でない評価をされれば、当然クレームの対象となり、そうしたクレーム申し立てに産地側が反論できる場もあるが、不思議なことに一回もクレーム審査委員会が開かれたことはない。これは人間的なと言うより日本人的な解決方法がとられているためなのだろう。農産物検査法は日本だけに通用するものであり、これほどまでに細かく検査項目を定めているところはない。
アメリカに日本米を輸出する場合、等級も銘柄も必要ないため未検で輸出して現地で精米、袋詰めして販売できる。しかし、輸出された日本米が本当に日本で生産されたコメなのかどうやって担保するか? 一番手っ取り早いのは穀粒判別器を検査の補助器としてではなく、検査格付けが出来る機器として農水省が認めれば良い。なぜなら穀粒判別器での測定で同じデータが出るコメは二つとないからである。つまり指紋と同じでトレサ機能としても役立つのである。
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