【小松泰信・地方の眼力】アベメンバーの大罪2018年6月20日
18日朝7時58分頃、大阪府北部を震源とする地震が発生した。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、被災者の方々にはお見舞いを申し上げます。地震のたびに原子力規制庁は、原発への影響をアナウンスする。それは、地震列島に原発が存在することがいかに危険であるかを証明している。原発の存在そのものが一つの国難。
◆原発被災地における農業再生
原発被災地での農業再生を取り上げている福島民報・論説(16日)は、つぎのように要約される。
原発事故で避難区域が設定された市町村における、コメの作付面積の漸増や花きなど新作物への挑戦を紹介し、国や県に対して、農業の再生に取り組む生産者への丁寧な支援を求めている。例えば、南相馬市小高区では7つの営農組織が農業法人を設立し、人材や農機具の共有などで作業効率を上げ、県外の農業生産法人と組んで販路確保などを進めている。また、浪江町では新規就農者を含めた花き栽培に関する研究会が発足し、会員同士が情報交換を通して栽培技術や品質の向上を図っている。
このような現場における前向きな動きから、「被災地に広がる田植えを終えた水田や、多様な花が育つ園芸施設からは復興の息吹が伝わってくる。そうした景色を支えているのは強い意志を持ち、努力を続ける生産者だ。再生の芽をいかに育てるのか。復興政策が問われるのはこれからだ」と、力強く締めている。
◆環境に優しい農業の行方
河北新報・社説(17日)は、東北の有機農業が曲がり角にあるとして、その縮小化を防止するための対策を求めている。
昨年4月1日現在、東北において「有機JAS規格」の農産物を栽培する農地面積は、田畑合わせて1713ha。ピークだった2011年から25.1%減とのこと。
まず要因の一つとしてあげられるのが、福島で有機農業に積極的だった沿岸部が原発事故で被災したこと。
つぎに、手厚い交付金を背景に飼料用米生産が拡大してきたこと。このため、省力化が求められる飼料用や業務用へのシフトが、環境保全型農業の位置付け低下につながっていないかどうかの点検が必要、としている。
さらに、農薬や化学肥料の削減など持続性の高い農業生産方式を導入している「エコファーマー」の認定件数の減少。「東北各県による16年度の認定件数は計約2万9千件。6万件を超えた10年度以降は右肩下がりが続く。ピーク時と比較すると、岩手、秋田が8割前後、宮城も7割近くも減っている」とのこと。5年ごとの再認定申請時に新たな農法に挑むことが求められることや、価格を含めた取引段階での優位性の乏しさ、そして今年度から環境保全型農業に対する直接支払い交付金の要件が、「エコファーマー」ではなく「GAP」の実施に切り替わったことなどである。
環境に優しい農業の重要性を再確認し、担い手不足の中でどう拡大させるかについての検討と対策を求めている。
◆「海洋プラスチック憲章」に署名しない愚かな国ニッポン
被災地の農業再生や環境に優しい農業に対する支援を求める願いが叶うのか、きわめて悲観的にならざるを得ない。なぜなら、わが国が、先日開催されたG7サミットにおいて「海洋プラスチック憲章」に署名しなかったからだ。
中国新聞・社説(10日)は、「歯磨き粉や洗顔料に含まれる微粒子(マイクロビーズ)や、レジ袋の切れ端など微細なプラスチックごみが海の生態系に悪影響を及ぼしている。......私たちが豊かな恵みを受ける瀬戸内海でも、環境省の調査で海水1立方m当たり0.35個検出されている。北太平洋の平均と同じレベルの密度だ」と、ことの重大さを警告する。そして昨年開催されたG7環境相会合が、5ミリ以下のいわゆるマイクロプラスティック(MP)による海洋汚染を「地球規模の脅威」と断じたことを紹介し、「その対策・規制の先頭に立つべきは、四方を海に囲まれた海洋国家の日本ではないか」と、世界に範を示すことを迫っている。
その国が率先して署名を見送り、米国が追随した。
「国民生活や経済への影響を慎重に調査する必要があり、さまざまな方のご理解をいただき調整するプロセスを経ていない」と非承認理由を説明するのは中川環境相(東京新聞、20日)。ご都合主義の一語に尽きる。公的プロセスを無視、反故、ねつ造することを常套手段とする政府の一員からいわれても、信じるものは救われない。
「プラスチックごみが厄介なのは自然に分解せず、100年と半永久的に残ってしまう性質にある。今年の水産白書はこの問題を取り上げた。......有害な化学物質を吸着しやすく、食物連鎖を通して海洋生物に影響を与える懸念があると、白書は警告する」と、わが国の水産白書でも指摘されていることを日本農業新聞・論説(18日)が教えている。
と来れば、環境問題に不熱心なアメリカ、そしてトランプの顔色をうかがうポチの仕業で間違いない。
◆嘘の加計算、大罪犯す
18時17分 党本部。......44分 東京・赤坂の日本料理店「古母里」。岸田政調会長と会食。21時19分 私邸。これは日本経済新聞(19日)の"首相官邸"。記事を一つ挟んで、安倍と岸田の二人が「古母里」にこもりて北朝鮮、終盤国会、総裁選について意見交換をしたというベタ記事。その頃、被災地がいかなる状況であったか......。危機管理無能力者どもの馬鹿喰らい。
そして19日、危機管理学部を傘下に持つ学商加計孝太郎の緊急会見。当日の午前9時、岡山市内の記者クラブにファックスで通告。参加はクラブ加盟社だけ。地震取材に追われる在阪マスコミも駆けつけたが会見場から閉め出される。会見時間は、校務を理由に予定より約5分短く25分程度。会見内容は、噴飯物の嘘の上塗り、コメントに値しない代物。
ここまでくれば誰でも予想がつく。地震直後のどさくさと、ワールドカップの初戦当日。メディアや人々の関心はここにはない。やるなら今。会見対象は抑えが効く地元メディアに限定。まさにショックドクトリン(火事場泥棒)的手法。
安倍加計架空対談をでっち上げたとする渡辺事務局長の発言に関して、「虚偽の発言といえば虚偽の発言かと思うが、前に進めるためにあくまでもやったと聞いている」と、答えている。だとすれば、認可を取り消すべき事案。
日本経済新聞(20日)が伝える大学関係者の発言は重い。
「面会否定も証拠はなく、どこまで真実を言っているか分からない。説明責任をきちんと果たしているというより、逆効果になっている」「面会話を作り上げたなんて誰も信じない。改めて説明する場を設けるべきだ」
聞くところによれば、在校生や卒業生を含む学園関係者の中には、心を痛めている人が少なからずいるそうだ。痴れ者たちの悪巧みが犯した罪は計り知れない。アベメンバーが、被災者や被災地、そして環境問題などに心から向き合うことはない。
「地方の眼力」なめんなよ
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