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【熊野孝文・米マーケット情報】「田植え」が社会課題の解決に活用される時代2018年6月26日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

東京郊外で行われた田植えイベント ある大手企業が先週末に東京の郊外で田植えを行った。この田植えイベントは、この企業が社会課題解決に取り組んでおり、その一環として行われた。社会課題解決の取組は、持続可能な社会への挑戦では、国立公園や世界遺産のカーボンオフセットの支援や生物多様性の保全など実に幅広い課題に取り組んでいる。しかし、なぜ田植えが社会課題解決になるのか分からなかったので、このイベントの旗振り役に聞いてみた。
 この人は、実家も農業を営んでいるわけではなく、農業には縁がなかったが、結婚して東京郊外に住居を構え、近所の農家と親しくなった。農家の話を聞くうちに農業にコミットしたくなり、江戸東京野菜の普及活動などを手伝うようになった。そうした活動をしていると否応なく、農業の課題を知ることになり、相続問題等都市農業の現状も分かってきた。
 そのころ東京にも休耕田があることを知り、知り合いの農家に頼んでその休耕田で田植えをするというイベントを思い付いた。地主も快く休耕地を貸してくれることになり、社内で田植えイベントに参加する人を募ったところ家族含め100人を超す人が集まった。
 イベントを行うには旗印がいるということで、「米1トン計画」と銘打った。これはこの企業の社員食堂では1週間にちょうど1㌧のコメを消費することから名付けたもので、収穫したコメは社員一同で味わうことにしている。集まった社員家族は文字通り手弁当で参加し、30aに田植えをした。
 企業の社員が田植えをするケースでは、社員教育の一環として行うケースもある。中部地区では様々な企業の参加を得て、田植えや収穫作業を行うビジネスを業として始めたところがあった。企業側にとっては社員教育で田植えをすると必ず一人ひとりの個性が出るので社員の適性を見ることができる。しかもその経費は福利厚生費で賄うので参加しやすい。参加した企業の中には量販店もあり、この量販店は田植えして収穫したコメを「私たち社員が作ったお米です」と店頭で販売したところもあった。もっとビジネスに田植えを活かした農業法人もいた。この農業法人は、耕作放棄地を開墾するのに大手不動産会社と組み、荒れ地になったところを水田として復活させ、そこに不動産会社が売り出したマンションの住民に田植えをしてもらい、なおかつできたコメを㌔600円で買ってもらった。それだけではなく、開墾して整備した農地には畑で作物作り、養鶏場も作り、傾斜地には太陽光発電のパネルも備え付けるなど多角的な営農ビジョンを具現化していた。
 一番驚いたのは障碍者用の田植え機を開発していたことで、障碍者に農業体験させるという受け皿も作っていたことである。田植えをする価値は他にもある。生き物調査を推進していた組織の理事長から密教の曼陀羅の図を見せてもらったことがあった。理事長曰く「まったく田んぼに足を入れたことが無い子供は、最初はぬるぬるしていて嫌がるが、慣れて来ると喜んで田んぼに入るようになる。田んぼが生き物の曼陀羅の世界であることを感じるんですね」とのこと。宮城県の鳴子プロジェクトでは、収穫を終えた田んぼに一株だけ稔った稲を残すことにしている。最後に残った稲株の前に子どもたちが集まってきて手を合わせるようになった。これは大人たちがそうしろと教えたものではなく自然にそうした行為みられるようになり、その写真も見せてもらった。
 今や田植えイベントは六本木ヒルズでも行っているのだから流行りと言ってもいいかもしれない。田楽や花田植えを持ち出すまでもなく、古来から田植えは重要な儀式で、桜の花見も田の神を招く儀式であったのが本来の意味で、そうした儀式が形を変えて田植えイベントの流行りになっているのかもしれない。これだけ流行っているのになぜ社会的課題になっているのか?
 冒頭に紹介した企業の田植えイベントで面白い光景を見た。手植えするためには植える場所を特定する田植え用の紐が必要になる。今時こうした田植え用の目印が付いた紐を持っている農家はいないだろうが、ネットで購入できる。それどころか手動式の脱穀機もネットで買えるのである。そうした準備をしながら、一方でドローンを飛ばして上空から田植えの模様を撮影した。この企業が考えている水田作の社会的課題の解決とはICTを活用した水田作のことではないのか? この会社のグループ会社は全国の農地マップデータを作ったのでふとそう思った次第。

 

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