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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(112)「失敗から学ぶ」ことは何か2018年12月21日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 先日、勤務先の大学1年生向けにリレー講義(15分を5名)形式で「失敗から学ぶ」ことを話す機会を与えられた。様々な点で興味深いテーマである。

 1年生向けのアカデミック・セミナーという科目の1コマである。筆者は1番最初に話した直後に教室を出たため、その後どのような話が出たのかはわからない。ここでは「失敗から学ぶ」というテーマで筆者が何を話したかを簡単に紹介しておきたい。結論は、「小さな失敗を何度も繰り返し、取り返しのつかない大失敗にしないこと」である。
 依頼をした方は、国内外での様々な場所での勤務経験がある人間に対し、グローバルとローカルの視点を含め「失敗から何を学んだか」を話してほしいということであった。引き受けた際、最初に考えたことは、「ところで最近の自分の失敗は何か」である。記憶を手繰り寄せただけで、次から次へと際限がない。

 例えば、先週は新幹線の待合室で実家への土産袋(冬至用のカボチャと南蛮漬け、小さなモナカなど)をそのまま忘れた。幸い駅構内の遺失物センターに届けられていたので、翌日受け取りに行った。日本はまだまだ捨てたものではない。カボチャと南蛮漬けはいまだに自宅にあり実家に届けられていないが、モナカはゼミ生のおやつとなった。
 これ以外にも、財布や身分証明書入りのパス入れを忘れる。腕時計を忘れる。今でも週に2回くらいは朝の出勤で自宅を出た2分後には「ただいま~」と戻り、何かしらの忘れ物を取りに行くことを繰り返している。私が出勤後、10分くらいは常に戻ることを想定して次の仕事を考えるのが妻の行動パターンだと最近理解した。すぐに自分の仕事にとりかかると途中で分断される確率が相当高くストレスがたまるそうだ。これは私ではなく妻が私の失敗から学んだ教訓である。
 携帯用読書端末を忘れる。折り畳み式の傘をバスや電車の中に忘れる。東北新幹線で携帯電話のみが何度か仙台から秋田まで旅行した。そういえば、東京駅で購入したお土産のケーキを新幹線の網棚に置いたまま帰宅した時にはかなり険悪なムードになった。実はこれも1回ではない。忘れないように脇に置けと言われたが、それでも忘れたことがある。
 医者や整体の予約を忘れる。予約行為を忘れるのはまだ良いが、予約したことを忘れるのは相手にも迷惑をかけてしまう。そのため、夫婦で一緒にお世話になっている先生は、最近「次のご主人の予約は〇〇日です」と妻にリマインドしてくれるようになった。先日もそれで助かった。

 振り返ってみれば大学を卒業して社会人になり35年、そのうち最初の22年間で9回の引越し(ほぼ転勤による)を経験している。実際、国内外を1~3年で動く生活をしていると、良くも悪くも「失敗」や「忘れ物」に対する耐性のようなものが付くのかもしれない。大概のことは何とかなる、失敗を避けるより失敗してから修正する...という気持ちが正直なところだが、妻はこれを「自己正当化」と言う。

 さて、大学1年生へのメッセージとしては何か。教訓は、「必死に修正すれば何とかなる失敗を可能な限り何度も繰り返し、決して大きな失敗にしないこと」、くらいではないかと考える。そもそも何もしなければ修正が必要な失敗など生じない。何かに取り組んだからこそ失敗したのであり、それは勲章と言えよう。
 学生のレポートや卒論を見たり、調査報告を聞く立場になり初めてわかることは、多くの学生が最初から完璧なものを作り上げようとし、結局時間を浪費したり悩み続けていることが余りにも多い。変なものを提出したら怒られる、あるいはバカにされる、といった感情があるのかもしれない。それはまさに本人だけの脳内感覚にすぎない。
 まずは、どのような立派なものでも最初から完成している訳ではないことを十分に理解し、最初の一歩を踏み出してみることだ。そこで躓(つまず)いたら、即座に修正してやり直す。再度、躓いたらまた修正してやり直す。これを最後まで、無限に繰り返す。
 結局のところ、人は皆、数多くの失敗を積み重ねて生きているのであろう。1つの完成品の裏にはその何倍もの失敗作があるという、当たり前の事実を可能な限り早い段階で自覚することが失敗で折れない秘訣である。世の中では「失敗を避ける」より、「軽い失敗を繰り返し、修正する」ことの方がはるかに多いのではないか。

 

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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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