【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(114)18時前の決意2019年1月11日
平成31年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
1960年代、日本のプロ野球に「8時半の男」と呼ばれた名投手がいた。リリーフ専門投手の草分けとして、毎晩午後8時半頃になるとマウンドに上がり、大活躍をした宮田征典投手である。現役引退後はコーチとして多くの名投手を育て上げた名指導者でもある。
さて、一般人にとって午後8時半は夜、それもほぼ一日が終わる時間である。しかし、どうも時間というものは相対的なものらしい。楽しいことや会いたい人といる時には数時間があっという間に過ぎるが、空腹時にはカップ麺を待つ3分間がとてつもなく長く感じる。徹底的な左脳人間である筆者にはいわゆる「霊感」のようなものはなく、何でも合理的かつ論理的に考えることが自然の習性だが、それでも時間の相対性について考える時がある。年末年始はとくにその傾向が強い。
仮に人間時間で1000年を生きるモノや存在がいた場合、一般人の100年(ほぼ一生)は全体の10分の1となる。因みに今から1000年前は西暦1019年(寛仁3年)、平安時代、藤原道長や紫式部の時代である。
1000年を生きる彼ら(と言ってよいかはわからないが)は、現代の我々50代以上の人間が昔を振り返り、「20代や30代の頃にはよく〇〇をしたものだ」と考えるのと同じ感覚で、一生の10分の1である100年を簡単に振り返り何かをしたという気になるかもしれない。その視点から見れば、人間時間での1年は彼らの一生の1000分の1である。1000年を36万5000日とすれば、36.5日、ひと月くらいの感覚になる。
※ ※ ※
何が言いたいか。今、筆者にはいくつか考えている仕事がある。それは今後10年くらいをかけて作り上げなければ出来ないものから、数年はかかりそうなもの、そして今月末の締切の原稿、さらには本稿のような毎週のコラム...まで様々だ。とりあえず、頭の中は今月末をどのように乗り切るかという短期的な課題ばかりだが、1000年を一生とするような存在から見れば、人間が年始に「今年1年間頑張る!」などと言っているのはせいぜい1か月頑張るくらいの努力の程度に過ぎないということになる。
※ ※ ※
実際には、女性の2人に1人、男性の4人に1人が90歳まで生きる時代とはいえ、まだまだ100歳まで健康でバリバリ動く人は非常に少ない。そう考えれば、心も身体も自由に動く時間は大きな時間の流れの中ではほんの一瞬に過ぎず、本人が考えているよりもはるかに短い。今年59歳になる筆者は仮に80歳まで生きるとしても、既に74%が使用済だ。実際の寿命はもっと長いかもしれないし短いかもしれない。
よく言われるように、1日24時間を一生(100%)と考えれば74%は夕方18:00前、この後は夕食をして風呂に入ればもう寝る時間だ。もはや本日はこれまで、これから何かをやろうとする時間ではない...のかもしれない。
ところが、幸いなことに身体はかなりガタが来ているが、頭はまだ動く。世の中も何となく、高齢化の美名の下、隠居を許してくれない雰囲気に満ち満ちている。
要は、残り時間が少ない以上、ぐだぐだ悩む前に動け、無駄なことに時間を使わず、すべきことをすぐにやれ!ということであろう。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(120) -改正食料・農業・農村基本法(6)-2024年11月30日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (37) 【防除学習帖】第276回2024年11月30日
-
農薬の正しい使い方(10)【今さら聞けない営農情報】第276回2024年11月30日
-
「自分」を失わない努力が必要な時代【原田 康・目明き千人】2024年11月30日
-
集落機能強化加算 「当分の間、継続」江藤農相 対象は現行555組織 経過措置導入へ2024年11月29日
-
「子どもの食事って大切」 心身育成にも一役 全国オーガニック給食フォーラム2024年11月29日
-
着実な担い手確保へ JAきたみらいなど先進3JAに学ぶ JA全中・次世代総点検セミナー2024年11月29日
-
宴会やパーティーで食品ロス削減「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン実施 農水省2024年11月29日
-
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」環境規制に関する事例紹介 農水省2024年11月29日
-
【農協研究会】たい肥センター核に 放棄地再生も JA佐久浅間で農業戦略探る2024年11月29日
-
日銀「地域金融強化のための特別当座預金制度」適用対象機関名を公表 農林中金2024年11月29日
-
【役員人事】JA全農くみあい飼料株式会社(11月19日付)2024年11月29日
-
内部統制と働きやすさは両論 コンプラでトップセミナー JA全中2024年11月29日
-
ノウフクレンケイってなんだ? 根本凪の「ネモト宅配便 特別編 」配信 JAタウン2024年11月29日
-
「冬の京野菜フェア」全農直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月29日
-
柑橘王国えひめ「紅コレクション」始動「愛媛県産紅まどんなフェア」開催 JA全農2024年11月29日
-
「ランピースキン病の発生」影響に関する相談窓口 福岡・熊本に設置 日本公庫2024年11月29日
-
シニアの外国語:その可能性【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月29日
-
東日本のカシノナガキクイムシの由来を遺伝情報により解明 森林総合研究所2024年11月29日
-
島根県大田市 三瓶山麓で有機米を初収穫 報告試食会を開催 三菱マヒンドラ農機2024年11月29日