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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(116) 取扱高で見た世界の協同組合2019年1月25日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 100万のことをミリオン(million)、10万はビリオン(billion)、そして1兆のことはトリリオン(trillion)と言う。数字で表せば、1 trillionは1,000,000,000,000である。さて、「フォーチュン」誌によれば2017年には世界の上位500社は収益で30 trillionドル、利益で1.9 trillionドルを上げたという。

 30 trillionドルは30兆ドルであり、仮に1ドル=100円とした場合、3000兆円となる。日本の国家予算は一般会計で約100兆円、特別会計で約200兆円の合計約300兆円とみれば、世界のトップ500社は日本の国家予算の約10倍の収益を上げていることになる。

 
 
  ※  ※  ※

 

 ところで、協同組合はどうか。
 最近は世界の企業ランキングの中に日本企業が入ってもトヨタ自動車くらいだが、協同組合の世界ではまだ日本の組織は頑張っている。
 ICAが出している世界の協同組合モニター(2018年版)という資料では、世界の2575の協同組合組織の内容が示されている。内訳は欧州が1855、米州が418、アジア太平洋地域が293、アフリカが9と、地域別にかなりウエイトが異なるが、それでも世界の協同組合の概要は理解できる。
 この調査の結果からは、協同組合組織が活動している分野は、農業・食品(33%)が一番多く、次いで金融(19%)、その他サービス(16%)、卸・小売り(15%)、産業・ユーティリティ(7%)、保険(6%)、健康・教育・社会ケア(4%)、その他(1%)であり、協同組合活動の対象となる分野が非常に多岐にわたっていることがわかる。

 

  ※  ※  ※

 

 さて、気になるランキングであるが、2016年の取引高(turnover)で見た場合、ベスト10は以下のとおりである。

1.Groupe Credit Agricole(仏)
 900億ドル 銀行・金融
2.Groupe BPCE(仏)
 678億ドル 銀行・金融
3.BVR(独)
 554億ドル 銀行・金融
4.JA共済連(日)
 546億ドル 保険
5.REWE Group(独)
 546億ドル 卸・小売り
6.日本生命(日)
 482億ドル 保険
7.ACDLEC-E.Leclerc (仏)
 481億ドル 卸・小売り
8.Groupe Credit Mutual(仏)
 464億ドル 銀行・金融
9.全農(日)
 441億ドル 農産物・食品
10.State Farm(米)
 408億ドル 保険

 

  ※  ※  ※

 

 こうして見ると、いろいろと興味深いことがわかる。
 第1に、この統計では日本生命(第6位)のような我が国における相互会社も協同組合の分類に含まれている点である。ちなみに50位以内には、住友生命(第15位)、明治安田生命(19位)、そしてホクレン(31位)、農林中央金庫(41位)が含まれている。日本では協同組合と保険会社はお互い商売敵かもしれないが、世界全体から見れば同じ範疇にあるようだ。こんなところにもうまくすると戦略的連携のヒントがあるかもしれない。
 第2に、上位は銀行・金融と保険が圧倒的である。上位10組織のうち、7組織までが銀行・金融と保険である。モノの売買に携わる組織は、仏、独、日から各1組織のみである。銀行・金融や保険はもちろん非常に重要な分野だが、実物を取り扱う世界で長く過ごしてきた身にはやはり複雑な気持ちになる。農産物の基本はモノを作り、それを売ってナンボの世界であるとは思うが、資金調達やリスク管理はやはり避けられない。
 第3に、上位10組織の取扱高を合計すると5500億ドル、つまり550 billionドルとなる。これは先ほどの「フォーチュン」誌の上位500で言えば、第1位のWal-Mart Stores Inc.の売上高500 billionドルと、偶然にも同じ規模である。何年も前からWal-Martは世界一の売上高を誇る企業であり続けているが、その経済活動の規模が協同組合組織の上位10社の合計と同じ規模かと考えるとこれもまた複雑な気分になる。学生向けに伝えるには覚えやすくて良いかもしれないが、いろいろと考えてしまう。
 ちなみに、第10位のState Farmは農場ではない。米国中西部イリノイ州に本拠を置く保険会社である。1922年設立の由緒ある保険会社であり、米国中西部を中心に極めて強い支持基盤を持っている。中西部に行き、State Farmのロゴや車、看板を見た段階で、これを農場と誤解するかどうかで一般人か業界人かは一発でわかる。

 

  ※  ※  ※

 

 いずれにせよ、こうしたランキングは一過性のものではあるが、年に一度くらいはレビューしておいた方が良い。フランス、ドイツ、日本は、協同組合の世界、特に農産物・食品を取り扱う分野において、いずれもベスト10に入っているということだ。

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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