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【近藤康男・TPPから見える風景】日・米・EUの貿易交渉、3ヶ国・地域の立ち位置は?2019年2月15日

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【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

 12月21日に米国は22項目の「対日交渉目的」を、1月11日には24項目の「対EU交渉目的」を連邦議会に送付した。EUは1月18日直ちに“交渉指令案”とも言える4つの文書を公表した。そして日本政府は9月26日の日米首脳会談・共同声明以降、未だに相も変わらず、“物品貿易”などと、誰もが“そんなことはあり得ないだろう”と思うような脳天気な念仏を唱えているだけだ。

◆米国の「対日交渉目的」の眼目

 米国が主眼とするところは、1)対日貿易赤字の削減、2)米国内の製造業の回復と雇用の回復、3)TPP離脱で劣後した農産品の対日輸出拡大にある。
 更に加えるとすれば、知財など米国が強い分野での権益拡大と、TPPに並行して作成された日米交換文書に込められたものへの固執だろう。
 そして実質的にはTPPの30の章とほぼ同じ分野が挙げられている。その中にはTPPを超える内容もいくつか含まれているが、本稿では、一般規定と為替条項を挙げると共に、下記表で分野の呼称を紹介するに止め、分野ごとの内容については次の機会に触れることとたい。

22分野の「対日交渉目的」 日・米・EUの貿易交渉、3ヶ国・地域の立ち位置は? 近藤康男・TPPから見える風景

 

Summary of Specific Negotiating Objectives for the US-Japan Trade Agreement(USJTA)
Negotiations 原文へのリンク⇒
https://ustr.gov/sites/default/files/2018.12.21_Summary_of_U.S.-Japan_Negotiating_Objectives.pdf

 

◆"法治(民主主義)"のEU/米国と"人治(閣僚の発言だけ)?"の日本

 曲がりなりにもEU(EU条約など)と米国(TPA法)は法に基づく手続きにより貿易交渉に臨むと共に、それに関わる政府文書を公表し、それに先立って公聴会・意見書公募・(EUでは)市民団体との対話などにより透明性を確保したうえで交渉方針・目的を策定している。
 しかし、日本の場合は貿易交渉を規定する法的担保措置も無く、国会答弁以外には日米首脳共同声明が政府ホームペ-ジに掲載されているだけである。そして国会答弁では「関税譲許については過去の経済連携協定が最大」と繰り返えすだけだ。物品貿易協定TAGなる交渉の枠組みへの疑念についても「経済連携協定ではない」、「日米の担当閣僚同士の電話協議で、共同声明が全てと確認している」とのコメントがされているだけである。

 

◆戦略も節度も無い日本政府に比べEUは?

 その一方で米国USTRの「対日交渉目的」ではTAGならぬ日米貿易協定交渉US-JAPAN Trade Agreementという呼称が使われ、日米共同声明やTAGへの言及は勿論なく、TPPをも超える要求を「対日交渉目的」に織り込んでいる。
 米国はEUに対しても18年7月の米EU首脳共同声明には言及しないまま「対日交渉目的」とほぼ同じような内容の要求を明らかにしている。しかし、EUは、その交渉指令案で明確に、1)交渉範囲を双方の首脳会談の共同声明の範囲に限定し、2)共同声明を尊重せず、日本・EUを含め全世界に追加関税を課した通商拡大法232条と対中国に発動した通商法301条をEUに発動した場合には、交渉からの離脱をする、とうたっている。
 日本政府の姿勢とは全く異なり、しかし国(地域)として極めて当然の対応だと言える。

 

◆TPPに無くて、「対日(対EUも)交渉目的」に追加された"中国"と"為替"

 やはり、と言えるのは、対日・対EUとも投資家対国家間紛争処理ISDSが挙げられていないことだ。
 そして重要なのは、TPPには無い"一般規定"と"為替"だろう。
 「一般規定」には4項目あるが、注目すべきは「日本が非市場国(※筆者注:中国など)と自由貿易協定交渉に入る場合の透明性確保・適切な対応をとるための仕組み」を要求している点だ。これは再交渉後のNAFTAにも追加されたもので、中国と協定交渉をする場合は、"米国にも充分相談をしろ"、ということと理解すべきだろう。
 「為替条項」も再交渉後の韓米FTA、新NAFTAに追加されたものだが、これは、文字通りの内容であればほぼ実効性は無いととみてよいだろう。TPPにおいても、当初米国内では、経常黒字の対GDP比など定量的要素を"為替操作国"の要件とし、制裁関税などの強制力を持たせる、という議論があった。しかし、最終的には各国の財務・金融担当相による"宣言"として扱われることとなった。そしてその内容はIMFやG20における内容とほぼ同じ、一般的なものに落ち着いた。
 「対EU交渉目的」の為替条項もほぼ上記と同じ内容だ。英文ではEU/日本という呼称以外は全く同文で、「有効とされる国際収支の調整を妨げ、あるいは不公平な競争優位を得るために、日本が為替操作をすることがないよう確保する。」(全文訳)となっている。
 ※以下は2015年アトランタでの大筋合意後に発表された"宣言"へのリンク⇒
https://www.treasury.gov/initiatives/Documents/TPP_Currency_November%202015.pdf

 
 次回は、「対日交渉目的」について、TPPとの比較を中心に少し詳しく検討したい。

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人のコラム【TPPから見える風景】

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