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【小松泰信・地方の眼力】当分幸せにはなれそうもない2019年3月27日

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【小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 イチロー選手が引退を発表した翌日(3月22日)、朝7時台のNHKニュース「おはよう日本」は冒頭から14分ほどこの話題を取り上げた。全国ニュース45分間の3分の1を費やすほどのことではない。視聴者に知らせるべきことは、山ほどある。いやいや、知らせてはいけないことが山ほどあるのだろう。公共ではなく、広狂放送ですか。

◆やるせなくて、情けなくて、許せない

小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授) 「すでに報道等で明らかなように、大学からも近い、住宅や学校が密集する新屋地区に常設型迎撃ミサイル基地の配備計画が持ち上がるなど、私たちの在学中に地域住民や大学関係者にとって重要な問題が起こったこともまた事実です。これから卒業する私たちを含め、新屋という場所に暮らし、学ぶ学生にとって、こうした問題は決して無視することは出来ません。私たち卒業生は、今後も秋田公立美大の学生および地域の皆様が平和な生活を過ごせるよう、心から願っています」とは、3月21日に行われた秋田公立美術大学の卒業式において、大学側の要請で卒業生代表が取りやめた謝辞の主な部分である。当該学生は「やるせない」と、偽らざる心境を吐露。
 秋田魁新報(3月22日付)によれば、謝辞の文章は担当教官のチェックを受けて作成。20日夜、原稿を見た学生課長から、イージスに触れた部分を削除して謝辞を印刷したいと言われたという。式典終了後、「最後は自分で(読まないことを)判断したが、『なぜこれがだめなの?』と思った。配備計画はこれからどうなるか分からないが、新屋で暮らし、学んだ者として無視できないと考えている。その思いを卒業生や後輩と共有したかった」と語っている。情けない大学、立派な学生。
 翌23日付の同紙によれば、大学理事でもある事務局長は事務局の対応としては「まずかったと思う。申し訳なかった」と述べた。
 「社会問題を題材とした芸術作品も数多くある。大学側が発言内容を制限するのはどうか。自由な考え方を否定する姿勢に見えてしまう」(卒業生)、「卒業生はこれから社会に出る立場。生活する地域の問題に関心を持つのは大事なこと」(在校生)、「偏った意見でもないし、どこが問題なのか。人の悪口や常識に欠ける発言を削るのなら理解できるが、ごく普通の意見を削るのはおかしい。大学側がどこかに忖度したとしか思えない」(地域住民)、等々のコメントも紹介されている。
 現政権が蔓延させた、忖度強要病がここにも及んでいる。将来ある若者にも伝染させようとする罪は許せない。

 
◆『ウイッシュ・リスト(願望の羅列)』をウォッチせよ
 高知新聞(3月26日付)の社説は、「政府が地方創生の一環に掲げる東京23区からの企業誘致について、全市町村の76%が成果はないと考えていることが共同通信のアンケートで分かった。成果が『あった』とする市町村は9%にとどまった」ことから、「安倍政権下ではこのところ、甘い見通しによる重要政策の『看板倒れ』が続いている」と、指摘する。
 さらに、「国と地方の基礎的財政収支の黒字化時期は、国際公約だった20年度から5年も先送りされた。『20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする』という女性活躍の目標も既に下方修正されている」ことなどをあげ、「実現の可能性や成果への緻密な工程に頓着せず、選挙向けの看板にすぎない『ウイッシュ・リスト(願望の羅列)』がまた大手を振っているとすれば、政治の後退である」として、政府目標や政党の選挙公約を検証する視点の必要性を訴える。

 
◆ゲノム編集食品は大丈夫ですか
 検証すべきことは他にもある。食品の安全性もそのひとつ。しかしそうはなっていないことを、ゲノム編集食品が教えている。
 ゲノム編集とは、「『生命の設計図』とされるDNAの狙った場所に切れ込みを入れ、特定の遺伝子を働かなくしたり、別の塩基配列で置き換えて新たな生命機能を持たせたりする技術」である。
 東京新聞(3月19日付)は、「厚生労働省の専門部会は18日、生物の遺伝子を効率的に改変するゲノム編集技術で品種改良した農水産物の多くに厳格な安全性の審査を求めず、国へ届け出れば販売してよいとする報告書をまとめた。今後は厚労省が詳細なルールを決めて通知を出し、消費者庁も表示の考え方を示す予定で、夏には食品として販売可能になる見通し」と、伝えている。
 「新たな安全神話の誕生」になることを危惧する同紙(3月22日付)は、「米農務省が一律の規制はしないとする一方で、欧州司法裁判所は、遺伝子組み換えと同様に規制すべきだとの判断を下している」ことを紹介し、「編集技術の精度が高まったとはいえ、......"想定外"の形質を与えてしまう『オフターゲット』という誤りが起きる恐れは残る。ことは食べ物、命の源だ。最先端の技術であっても、いや最先端であればこそ、慎重に扱うべきではないか」として、「最低限、届け出の義務化と、詳細な安全情報の開示が不可欠だ」とする。
 信濃毎日新聞(3月22日付)の社説も、「消費者の間には、生命の設計図である遺伝子を直接いじった食品が出回ることに、根強い不安がある。未知の部分が多い技術であり、予期せぬ影響が出てくる可能性は否定できない。このままでは......既成事実化が進む恐れがある。政府は......、消費者の目線でルールの在り方について検討を重ねるべきだ」と、消費者保護を強調する。
 故に、「環境省の検討会は1カ月ほど、厚労省は半年で結論を出している」ことに、「性急と言わざるを得ない」と苦言を呈する。さらに、パブリックコメント(意見公募)では、「『長期的に検証すべきだ』といった安全性に対する懸念が多数を占めた」ことを紹介し、「消費者が理解し、はっきりと区別して選ぶことができる環境づくりは最低限必要だ」と、注文をつける。
 秋田魁新報(3月24日)の社説は、「予防原則」に立った対応を求めるとともに、審査不要とした食品が健康に悪影響を及ぼさないことについての確認を開発者に委ねている点に、「受益者になり得る開発者に判断を委ねて、どうやって安全性を担保するつもりなのか」と、疑問を呈する。そして、安倍首相が参院予算委員会において当該食品の販売について「適切に対応することで食の安全に万全を期す」「安全性が確保された食品でなければ、流通が許されないのが行政上の大原則だ」と強調したことを取り上げ、「首相の言葉通り、政府は日程ありきではなく、食の安全を最優先に考え、厳格に対応する必要がある」と、安倍氏が言うから信用できないことを、百も承知の上で指摘する。

 
◆低下する幸福度ランキング
 3月20日、国連が「人口1人当たりのGDP」 「社会的支援」「健康寿命」「人生の選択の自由度」「寛容さ」「腐敗の認識」を数値化し、世界の国や地域の「幸福度」を順位付けた世界幸福度報告を公表した。わが国は156カ国・地域中58位で、昨年の54位から順位を下げた。主要7カ国の中で最も低く、台湾や韓国を下回っている。この国が、若者たちの平和への願いや、食の安全性を軽んじている限り、国民の幸福度は下がっても、上がることはない。
 「地方の眼力」なめんなよ

 

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