【JCA週報】コミュニティ協同組合の可能性と課題2019年4月15日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
第3回目は、「コミュニティ協同組合の可能性と課題」です。
協同組合研究誌「にじ」2019年春号で特集した意図について、日本協同組合学会の田中夏子会長に解題をお願いしました。その抜粋です。
協同組合研究誌「にじ」2019年春号「コミュニティ協同組合の可能性と課題」 特集解題
田中夏子 日本協同組合学会会長
◆コミュニティ協同組合への着目の背景
近年、協同組合やそれを取り巻く社会連帯経済の実践・研究に関わる者の中で、「コミュニティ協同組合」への関心が高まっている。
本特集では、まず本解題において、どのような社会的背景および運動的課題のもとで、そうした関心が醸成されてきたのか、その経過をたどるとともに、特集本編の論考編、実践編では、持続可能な暮らしと地域にとって、また住民自治の拡充にとって、コミュニティ協同組合という発想や手法がどう寄与し得るのか、またそのための課題は何かを検討する。
そもそも(略)コミュニティを射程に入れない協同組合は、協同組合としての要件を欠くともいえる。しかしそれならば、なぜあえて「コミュニティ協同組合」という枠組みが必要とされるのか。屋上屋ではないかとの疑問も呈されよう。
コミュニティ協同組合の意義があらためて主張される背景として、第一に、急速な変化にさらされる「周辺化された地域」(農山村)や、「インナーシティ」(地方都市)における「社会的排除」が深刻化していること、第二に、そうした「社会的排除との闘い」を、市民のイニシアティブで深める際の具体的な場や方法が必要とされていること、第三に、個々の必然性に突き動かされて蓄積されてきた各種のとりくみが、相互に学びあうことを通じて、守備範囲をじわじわと拡大しつつあることが挙げられよう。
(略)
◆コミュニティ協同組合という発想を豊かにしていくための、考え方、諸実践
(略)本号は、先に仮説的に提起したコミュニティ協同組合というカテゴリーに収まり切れない理論的・実践的到達点と問題提起がなされている点が、何よりの読みどころである。そのことは同時に、コミュニティ協同組合という考え方が有している困難や課題を乗り越えていく道を見いだすことにもつながる。
本号は、論考編として2本の論文、そして実践編として6本の論文から構成される。
(略)
◆ディーセント(=尊厳ある)な暮らしと仕事をつくる拠点としてのコミュニティ協同組合と、それを協同組合間協同で支える仕組み
(略)コミュニティという足元の課題に取り組みながらも、グローバルに展開する今日の事態に、協同組合等、非営利事業陣営はどう対峙するのか。本特集では、その課題も念頭に置いている。
第一の課題として地域における市民主導の様々な取り組みは、ときにその内部において、また相互の関係において、直近の足場を重視するがゆえに、対立や葛藤を呈することが少なくない。(略)
また第二の課題として、市場主義貫徹型のグローバリゼーションによる生活破壊は、なにも私たちにのみ向けられたものではない。他国、とりわけ発展途上国における収奪は一層深刻なものであり、そこに先進国生活者が意識する、しないに関わりなく加担しているのは明らかだ。(略)
だが、本特集の論文でも指摘された、都市・農村間、あるいは産直・産消連携における葛藤含みの相互理解の手法が、この見えにくい収奪の構造をクリアなものとして認識させる力を備えているのではないか。
【ご購読のご案内】
○お問い合わせ先:日本協同組合連携機構(JCA)基礎研究部
○TEL:03-6280-7252
○FAX:03-3268-8761
○E-Mail:kenkyu@japan.coop
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
コラム一覧【JCA週報】
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日