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【熊野孝文・米マーケット情報】生産現場の構造改革が始まる令和元年産米2019年4月23日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 先週、千葉県で開催された米穀業者の総会。ここで令和元年産米の取引が始まる日取りが決まった。昨年、平成30年産米の新米取引会は8月17日であったが、令和元年産米の取引会はそれよりも大幅に早く8月9日に開催される。
 その令和元年産米は関東の早場地帯で田植えのピークを迎えている。早い人は3月の上旬に田植えをした人もいるが、3月中と4月上旬の低温で苗の穂先が黄色くなっているところもあり、心配していた生産者もいたが、その後急激に気温が上昇してほっと一息と言ったところ。どのような品種の作付が増えているのかというと、集荷・肥料業者等の情報によると茨城ではあきたこまちの作付が増えている。千葉ではふさこがね、ふさおとめ、五百川が増えているが、それらの品種が大幅に増えているとは見ていない。意外なことは、コシヒカリは横ばいか微増とのことで、新潟県の集荷業者もコシヒカリが大幅に増えるとは予測していない。これには理由があり、生産者の規模拡大が進み、100ha規模の生産者も珍しくなくなり、そうした大規模生産者は作期分散のために早生や晩生の品種も作付しなければならず、コシヒカリだけの作付を増やすわけにはいかないとのこと。
 茨城の大規模生産者に今年作付する品種構成を聞くと、コシヒカリ10%、ふくまる20%、ひとめぼれ20%、あさひの夢20%と言った具合でコシヒカリの作付けは少ないぐらいである。この生産者も作期分散のためにこうした品種構成にしているのだが、もうひとつ理由がある。それは短稈品種の作付けに力を入れていることで、この生産者は今年から「無代掻き湛水直播」にチャレンジする。
 この方法は圃場を代掻きせずに鎮圧、均平にして水張、そこにラジコンヘリで鉄コーティングした種子を散布するというもの。直播する品種はあさひの夢で、短稈で倒伏しないのでこの品種を選定した。ドローンは社員2名に飛行操縦資格を取得させ、農薬や肥料を散布することに使う。ドローンで直播しないのは飛行操縦資格の取得が間に合わなかったこともあるが、飛行能力の点から言うとラジコンヘリは1日で40ha散播することも可能で、その能力を優先した。
 この生産者はコメ以外にサツマイモも生産、干し芋まで作っているため人手不足を何とかしなくてはならないというのが喫緊の課題で、最も労力を削減する手法として無代掻き湛水直播という栽培手法を選んだ。この生産者のところへアメリカやウルグアイなど海外でのコメ作りの経験が豊富な人物が情報交換のために来訪した。この人物は海外でのコメ作りを活かし、日本で低コスト稲作の普及拡大を図るために今年日本で会社を立ち上げ、福島と富山で実証実験を行うことにしている。その方法とはドローンで直播する一方でAIを使って圃場診断まで行うというもので、その圃場が必要とする肥料や農薬の最適化を可能にするというものである。直播する品種はハイブリッド種で、この種子を鳩胸状に少し発芽させたものを播種する。
 この人物によるとカリフォルニアで飛行機で播種して平均単収700kgもの収量を上げるようになった最大の理由は、アメリカでは直播を前提に大学等研究機関で品種開発が進められたためで、それが可能になった。移植を前提に品種開発が行われた日本の品種を使っても高収量は得られないという。現在、日本にある品種を使い直播で収量を上げようとするならハイブリッド種を使い、芽立と根張りを良くするために鳩胸状にする必要があるという。こうした栽培手法で低コストで耕地面積の拡大が容易になるという。
 岐阜県のコメ作りを良く知らないまま、稲作経営者会議の総会に出向いた時、最も驚いたのはこの会の会長の稲作面積は350ha、副会長が220haだと言われたことで、認識不足を恥じ入るしかなかった。しかも350haを耕作するのに10人で行っているとのことで、特に重要な水利のことを説明してもらい、今後、人手と水利をいかに確保することがいかに重要になるのか認識させられた。 農研機構のホームページで都道府県別市町村別の2025年の一戸平均の面積が見れるようになっているが、このデータの基は2015年の農業センサスで、実態はその予測よりも早く規模拡大が進んでいるような気がしてならない。新しい時代はまさに生産現場の構造改革が始まる元年の年とも言えそうだ。

 

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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