【原田 康・目明き千人】「農家の知恵」が役に立つ時代となった2019年5月25日
農家はそれぞれの地域で農業を続ける上で必要なことは自分で学ぶ。
「お上の言うことの逆をやる」。「新しいことにはすぐに飛びつかずに、3年は様子を見る」
が農家の知恵である。農業は土地、気候という自然と家畜が相手であり理論が正しく計算は合っても相手がそのとおりには動いてくれない。気象の予報の精度もずいぶん上がったが雨を止めたり台風の進路を変えることはできない。事前の準備までだ。
また、高品質のものを大量に収穫をしてもそれらを販売して金に換えなければ実際の収入にはならない。コメ、野菜、果実、畜産物のどれをとっても買い手は大企業、チェーン組織で、しかも商品の仕入れはグローバル、輸入国の旗を立てたら万国旗となる。
例えば、国産の牛肉、豚肉、鶏肉も家畜の飼料の大豆、トウモロコシなどはほとんど輸入品である。日本は農地が狭い、収穫時の梅雨、台風などでコストが高くなってしまうので飼料の原料は輸入をせざるを得ない。アメリカやオーストラリアのような広大な農地と気候条件のよい国からの輸入であるが、これらの同じ国から安い肉類が大量に入ってきている。
多国間貿易交渉では農産物、畜産物の関税や輸入枠の拡大が取引材料となっている。
政府は日本の農業の振興策として小規模の家族農業から大規模の株式会社による近代経営にして、IT、ロボット、ドローンなど先端の技術を導入してスマート農業により農産物の輸出を拡大するが政策の柱だ。これらはどれも大変結構な提案であるが、地域全体を一つの農場にするような大規模で近代的手法を駆使する経営は多額の投資、コスト、リスクが伴う。お上の言うとおりにすれば本当に農家の実質的な収入が増えるのか、借金で身動きができなくなるのか、不動産屋が手ぐすねを引いて待っている。すぐには飛びつかずに3年くらいは様子を見る。農家の知恵が役に立つ時代となった。
(原田 康)
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日