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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(137)「世帯」数の幅2019年6月28日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 国勢調査における「世帯」の分類は興味深い。世帯は「一般世帯」と「施設等の世帯」に分かれている。2015年の国勢調査によると、全国の世帯数は5333万世帯(2015年)であり、前者の「一般世帯」が全体の99.8%を占めている。これは容易に想像できる。

 余り気が付かないのは後者の「施設等の世帯」であり、約11万7000世帯がこれに相当する。さて、この内容に思いをめぐらす前に、総務省統計局の「世帯・家族の属性に関する用語」を見ると、これがなかなかマニアックで面白い。
 例えば、筆者の周りでも高齢で動けなくなった親を施設に入れるというような話があるが、こうした施設の入居者も統計上は「世帯」であり、分類は「社会施設の入所者」(世帯の単位:棟ごと)ということになる。
 また、「寮・寄宿舎の学生・生徒」、「病院・療養所の入院者」(以上は棟ごと)、「矯正施設の入所者」(建物ごと)なども「世帯」として分類される。「一般世帯」ではない、「施設等の世帯」の中で最も多いのは「社会施設の入所者」であり、過半数の6万1000世帯を構成している。
 興味深い「世帯」としては、「自衛隊営舎内居住者」であり、この単位は「中隊または艦船ごと」である。仮に約50人を小隊として4個小隊を1中隊とすれば、約200人が1世帯となる。護衛艦に至っては乗員数500人程度と考えれば、これも1世帯である。中隊の規模や艦船の規模を考慮すると様々な「世帯」があるものだと感心する。筆者の近くには某大学の留学生寮があるが、例えば、それも数百人が1つの建物に居住している場合、1世帯という扱いになるかと思うと何とも言えない。
 さらに、「施設等の世帯」の中の「その他」として3万6000世帯があるが、この内容については「定まった住居を持たない単身者や陸上に生活の本拠(住所)を有しない船舶乗組員など」(世帯の単位:一人一人)とされている。確かにこのような生活形態の人たちがいるのだろうとは思うが、先の数百人規模でも1世帯、1人でも1世帯と考えると、公式統計とはいえ、そのまま使うことには一定の解釈と配慮が必要であることがわかる。

 

※  ※  ※

 

 ところで「サザエさん」の家庭は、サザエさん夫婦とタラちゃん、サザエさんの両親とカツオ、ワカメの7人が同居している。磯野家とふぐ田家は同じ家に居住しているが、住民票登録はどうしているのだろう。現在の制度では1世帯として登録することも、2世帯として登録することも可能である。
 国勢調査の分類上、彼らは当然、「一般世帯」になる。ここで、磯野家とふぐ田家が別々に住民票登録をしていれば、両家はいずれも「夫婦と子供からなる世帯」(約1429万世帯)の中の1つになる。世帯割合で言うと全体の27%の中に含まれるということだ。
 一方、磯野家とふぐ田家を一緒に磯野家として住民登録していれば、昭和の家庭でもあることから恐らくは波平さんが世帯主となり、「夫婦、子供と他の親族(親を含まない)から成る世帯」(約8万6000世帯)となるが、こうした世帯は全世帯の0.1%しかない。非常に希少価値がある。
 一方、ふぐ田家として住民登録していれば、世帯主はマスオさんかサザエさんとなり、統計上は「夫婦、子供、親と他の親族からなる世帯」(約27万3000世帯)の1つとなる。こちらも全世帯の中では0.5%しかない希少パターンである。
 波平さんとマスオさんは2人とも会社員として働いているため、両家は別々の住民登録をしている可能性が極めて高いと推定されるが、それでも現在の日本の世帯の約4分の1のパターンに過ぎない。かつてある国の方から「日本の学校や日常生活モノのアニメはファンタジー!」と言われたことがあるが、「サザエさん」もとっくの昔にファンタジーになっているのかもしれない。
 2015年時点で、我が国の単独世帯は全世帯の3分の1を超え、世帯数の割合では別々の住民登録をした場合の「磯野家・ふぐ田」家のパターンを凌いでいる。2040年には単独世帯は約4割に達することが見込まれている中で、「サザエさん」的な風景は今後ますます現実感を喪失していくのではないだろうか。

 

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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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