【熊野孝文・米マーケット情報】宮崎新米コシヒカリ第一便は1万6850円で成約2019年7月23日
7月18日に開催された日本コメ市場の全国取引会で令和元年産宮崎コシヒカリの第一便が東京着1万6850円(税別)で成約した。
少し詳しく取引結果を記すと、宮崎コシヒカリの新米の売り唱えは出回りから8月2日まで渡し条件で、1台110俵単位で3台。8月3日から8月8日まで渡し条件で110俵単位で10台。8月9日から8月21日まで渡し条件で、1台110俵単位で10台の売り物があった。
このうち、成約したものは8月2日まで渡し分が1台1万6850円。8月3日から8月8日まで渡し分は1万6200円で6台。8月9日から8月21日まで渡し分は1万5900円で1台成約した。この成約価格は関東着1等だが、名古屋着は1俵当たり150円安の運賃格差が設けられている。等級間格差は全農系統が元年産から格差を縮小したことから、それに倣って2等は300円安、3等は1300円安に設定されている。
この成約状況を見て気付かれたと思うが、最も成約数量が多かったのは8月3日から8月8日渡し分である。なぜ、この時期の成約数量が多かったのかは2つ理由がある。第一は天候不順で8月2日まで受渡しされる数量が見通せないという事情がある。例年のこととはいえ、このところの気象条件の変動の激しさは、まさに鎌が入ってみないと分からない状態で、特に速さが勝負になる早期米はそのリスクが高い。取引会会場で参加者に配布された資料にも「*悪天候(特に台風)により日程の遅れが生じる可能性があります。」という但し書きが入っている。
2つ目の理由は、ほぼ確実に入荷されるであろう新米を盆前にセールしたいという思惑がある。その場合、買い手の卸側としては量販店でのコメ売り場を活気づけるためにも「新米セール」で買いやすい5kg精米価格を演出しなければならない。卸の中には定価5kg1880円、特売で1780円を想定しているところもあるが、60kg玄米1万6200円では厳しいが、その後の入荷分でプールして仕入れコストを下げて盆休、盆明けまでセールするという算段。そのためには1万5900円以下で新米を拾わなくてはいけない。その際、最大の課題になるのが、南九州の早期米に続く関東早期米の状況で、首都圏の卸にとっては関東早期米にどう繋ぐかが最大の関心事である。ところがこれが南九州の早期米以上におかしなことになっている。
7月19日に都内で30社を超える米穀業者が集まって席上取引会が開催された。通常の席上取引会であれば、まだ収穫されていない新米より、すでにある30年産米の売り買いから始まるのが定番だが、この日は首都圏の卸から千葉、茨城の新米の買い声があがった。ふさこがねやあきたこまちと言った新米を置場価格で買い唱えた。しかし、売り物が出なかったことから買い唱えの価格を自ら競り上げたのだが、それでも売り物が出なかった。産地の集荷業者によると関東の早期米は日照不足と低温で生育が遅れていることに加え、いもち病が発生しているところもあるとし、下手に売り価格を提示できないという状況で、まさに鎌が入る直前まで売り買いが成約しそうになかった。
では、コメ先物市場はどういう値動きになっているのかというと、これがまた荒れている。
7月19日の新潟コシの引値は、期近の2019年8月限はストップ安で1万9500円、10月限1万6500円、12月限80円高の1万6740円、2020年2月限20円高の1万6600円、4月限160円安の1万6690円、6月限160円安の1万6720円といった具合である。2019年8月限は30年産米の最終受渡し限月で、10月からは元年産が標準品になる。その格差は3000円(1万9500円-1万6500円)もある。つまり先物市場では新古格差が3000円あると判断しているのだが、この格差は8月限が納会日を迎えるまでに必ず縮小する。その際、どのような値動きになるかの最大の要素は新穀の作柄による。
仮に新潟コシヒカリの元年産の作柄が良く、収穫時期が早まりそうだということになった場合、30年産を手持ちしているところは早めの換金に動くため下げ圧力になる。したがって8月限が値下がりして10月限との格差が縮小するという動きになる。国内で生産されるコメで検査したものであればどの産地、どの品種でも受渡が可能な東京コメは、新潟コシとは対照的に期先2限月が買われ、値上がりしている。値上がりしたと言っても1万3620円~1万3670円が19日の引値で、同限月の新潟コシと比較すると3000円もの値開きがある。この価格差をどう判断するのかが当業者にとって最も重い課題になる。
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