【原田 康・目明き千人】組合員訪問のマイナスを危惧2019年7月30日
農協の役・職員の皆さんが正組合員の農家を訪問することは大変結構なことであるが場合によっては農協の各事業にマイナスとなることがないか、が危惧される。
農家には、農協の事業のライバルである業者、商社、銀行、保険会社の営業担当がセールスに回っている。ベテランの社員は農家とは何を話せばよいかを事前に準備して行く。
農協からの訪問者は販売、購買、信用、共済のベテランとは限らない人達である。農家が農協の役職員が家まで来てくれた時に聴きたいのは協同組合とは何かではなく、栽培をしている野菜、果実、花卉や家畜についての現在の市況、見通し、栽培や飼育で困っていることではないか。農家は業者からも情報を得ており、インターネットでも調べている。農協の役職員は流石に農業や、農家の問題点をよく知っており、ライバルの各社の営業担当よりも頼りになる、やはり事業は農協と一緒にやろうとなれば大成功だ。
農協の訪問者が農家の質問や意見に適格に応えられないと農協は素人がやっているが大丈夫か となる。農家にとっては苦労をして育てた汗の結晶を販売する相手が信頼できるかが決め手となる。価格の安い、高いも大きな要素であるが長い付き合いとなるので農家の立場に立って事業をしているかどうか が判断の基準である。
肥料や農薬、家畜の餌をどこから買うか、販売はどこにするか、貯金や保険などの資産の運用は誰に頼むか、経験、実績に基づく信頼関係が決め手となる。
農協の職員の教育、研修は農家訪問ではなく業務を通じてライバルの営業担当に負けない実力を持ったベテランの職員に育てることである。これは経営者の役割である。農家訪問で改めて農協を勉強する人が役員では農業協同組合の経営は無理だ。
農協のどの事業もグローバルの事業環境下で国内だけではなく海外と厳しい競争をしている。役員は、非常勤理事であっても農協の経営に責任を持つ経営者の一員である。組合員は役員と話をするとなれば当然経営者としての見識を期待する。農協の役職員の訪問が却って農協の事業のマイナスとならないか が危惧される。
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