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【熊野孝文・米マーケット情報】用途が広がる有機米使用の未知の商品2019年8月6日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 先週末の8月2日、3日の2日間、新宿で日本最大級のオーガニックの祭典「第4回オーガニックライフスタイルEXPO」(一般社団法人オーガニックフォーラムジャパン主催、農水省・環境省・木更津市後援)が開催された。

 この催しは、オーガニックの裾野を広げ、生活に根付かせ、購入に繋げるためのBtoBtoCの展示・商談会で、会場には170社・団体が出展、種子の大切さを知るコーナーやアニマルウエルフェア、新規就農者のコーナーなどテーマごとにゾーンが組まれ、出展社が有機や自然栽培の農産物を紹介した他、オーガニック化粧品も展示・紹介され、女性の来場者が目立った。別会場では持続可能な開発目標SDGsの実現に向けたシンポジウム、オーガニックレストランJAS認証取得実践セミナーも開催された。
 コメ関連では、滋賀県が今年の秋にデビューする「オーガニック近江米」のポスターを掲げ、大きく紹介した。滋賀県は昨年「滋賀県環境こだわり農業推進基本計画」を改訂し、新たに環境こだわり農業の象徴的な取組みとしてオーガニック農業を推進することを決め、滋賀県産の「オーガニック近江米」を今秋から売り出す計画だ。米袋のデザインは黄金色で琵琶湖の周りを米粒で囲いOrganicと大書して表示している。
 滋賀県農政水産部食のブランド推進課によると滋賀県は有機米を生産支援策とした除草機導入の助成や認証費用の補助などを行っており、元年産オーガニック米の作付面積は250haに拡大、コシヒカリと滋賀県のオリジナル品種みずかがみの有機米を地元の他、東京のテナントショップでも9月に販売する予定。この他、山形県が山形eco農業で有機農業の匠(生産者)19人の顔写真入りパンフレットを配布、島根県のブースでは三和農産が有機栽培のもち米を使った切り餅を試食提供していた。
 生産者グループでは、岩手県陸前高田市で震災に遭い、生産拠点を大分県国東市に移し、自然農法で野菜やコメを生産している生産法人が出展した。同社代表によると移転後6年で自然農法の水田面積を11haに増やしており、30年産の反収は11俵穫れた水田もあったと、俄かには信じられないほど高い収量上げたという。栽培方法は「その水田に合った方法で、点でなく線で見る」と言っていたが、こうなって来ると哲学問答のようでそれ以上聞くのは止めてしまったが、さらに大規模に自然農法に取り組むために出資を募っているという話を聞いて逞しさを感じた。
 オーガニックについてはこの欄で何度か触れ、繰り返しになるが日本のマーケットは欧米に比べ極めて小さく10分1程度しかない。逆に見ればそれだけ伸びしろがあるとも言えるわけで、それを拡大する方法は、ひとつは女性の支持ともう一つはオーガニックの需要層を広く捉えることの2点。冒頭のオーガニックEXPOの展示会場のブース割もオーガニック農産物や食品のスペース以外では3分の1程度のスペースでオーガニック化粧品やオーガニックコットンを使用した衣類を展示していた。
 オーガニック化粧品の市場規模は農産物市場と変わらないぐらい拡大しており、有機米を原料にした石鹸や化粧品もある。さらに味噌メーカーが有機米を使った甘酒を市場に投入する計画で「美と健康」を切り口に市場を拡大しようとしている。この味噌メーカーの社長は、海外ではオーガニックとグルテンフリー、シュガーフリーはオーバーラップしているとしており、この言を借りれば来年開催される東京オリンピック・パラリンピックはオーガニック市場拡大のチャンスかもしれない。 一次産品の付加価値を上げる取組をしている研究所は玄米の機能性を解明、広く消費者に知ってもらう取組みとして「セブンドクター」によるコーホート研究を実施する計画を立てている。このプランの中には「コメ同心円戦略」というものがあり、小麦製品の外に飛び出すコメの付加価値商品として機能性栄養飲料ライスドリーム、機能性食品ライスグラノーラ、付加価値こめ油、籾殻を活用した珪素亜臨海水プランという構想まで描いている。乳酸菌を活用した製品を作っている企業の中には、有機米を搗精したぬかから新しい機能性を持ったサプリメントの開発を手掛け始めたところもある。
 こうした研究機関や企業の取組み計画やビッジョンを聞くと有機米の価値はこれまでに対象となっていない分野まで広がる可能性があると言える。

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