【原田 康・目明き千人】農協の販売事業を黒字にする方法2019年8月19日
農協(単位農協))の販売事業が赤字なのは手数料が低いことにある。販売事業の平均手数料率は、米 4.4%、野菜・果実 3.0%、畜産物 1.1%(「JAグループ経済事業基礎統計」2017年 全農)で、この様な低い料率は多少の変化はあるが20年も前からこの水準である。
このような手数料では、例えば東北地方の農協の販売担当者が東京の取引先にエダマメ100万円の商談をまとめて、会食もせず新幹線で日帰りをしても足が出る。何故このような低い手数料のままであるか、それは農協全体の経営が黒字で配当も出しているので組合員の直接の負担増となる手数料の改定の提案が出来ないことによる。農協が健全な経営をするためには各部門の収支改善が必要であることを組合長は判っていても手数料を上げるという嫌われる提案は自分の任期中には出さず、先送りをしてきた結果である。
組合員は販売という仕事は難しく、集荷、選別、輸送、営業活動のコスト、価格変動や代金回収のリスクなどで経費がかかることは、自分で売ってみればすぐに判るので皆さんは理解をしている。このような手数料率のままで販売事業を拡大すると経費も増えるので赤字も増えることとなる。
農協は、組合員の皆さんと販売事業について、農協が責任をもって販売事業を行うために何をするか、共同販売の具体的な内容、農協だけでは出来ないことを経済連や全農などの連合会がどのようなサポートをしているか、農家の収入に直結をする販売事業を構築するための全体の構造を明らかにして、このような事業を行うためには手数料の改定が必要であることを話し合うことが必要である。農家の皆さんも必要であることは理解が出来る。販売手数料は隣の農協との横並びとはせずやっている仕事に見合った手数料とする。
販売事業の赤字をカバーしている信用事業が、ゼロ金利、マイナス金利により従来のような利益が出る構造が様変わりをしている。金融業界全体が合併を含めた再編、大幅な人員整理をしなければならないような崖っぷちにあることを組合員と話し合うことが必要な時代である。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(103) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(13)-2024年7月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(19)【防除学習帖】 第258回2024年7月20日
-
土壌診断の基礎知識(29)【今さら聞けない営農情報】第259回2024年7月20日
-
コメの先物取引は間違い【原田 康・目明き千人】2024年7月20日
-
(393)2100年の世界【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月19日
-
【'24新組合長に聞く】JA鹿児島きもつき(鹿児島) 中野正治組合長 「10年ビジョン」へ挑戦(5/30就任)2024年7月19日
-
冷蔵庫が故障で反省【消費者の目・花ちゃん】2024年7月19日
-
農業用ドローン「Nile-JZ」背の高いとうもろこしへの防除も可能に ナイルワークス2024年7月19日
-
全国道の駅グランプリ2024 1位は宮城県「あ・ら・伊達な道の駅」が獲得 じゃらん2024年7月19日
-
泉大津市と旭川市が農業連携 全国初「オーガニックビレッジ宣言」2024年7月19日
-
生産者と施工会社をつなぐプラットフォーム「MEGADERU」リリース タカミヤ2024年7月19日
-
水稲の葉が対象のDNA検査 期間限定特別価格で提供 ビジョンバイオ2024年7月19日
-
肩掛けせず押すだけで草刈り「キャリー式草刈機」販売開始 工進2024年7月19日
-
サラダクラブ三原工場 太陽光パネルの稼働を開始2024年7月19日
-
「産直アウル」旬の桃特集 生産者が丹精込めて育てた桃が勢揃い2024年7月19日
-
「国産ももフェア」直営飲食7店舗で25日から開催 JA全農2024年7月19日
-
「くまもと夏野菜フェア」熊本・博多の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年7月19日
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(1)地域住民とともに資源循環 生ごみで発電、液肥化2024年7月18日
-
【現地ルポ】福岡・JAみなみ筑後(2)大坪康志組合長に聞く 「農業元気に」モットー2024年7月18日
-
【注意報】野菜・花き類にオオタバコガ 栽培地域全域で多発のおそれ 既に食害被害の作物も 群馬県2024年7月18日