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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(146)「既知」と「未知」2019年9月6日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 少し「アタマの体操」のような話をしてみたい。職場や教室で何か新しいことや面倒なことに出会うと、すぐに「わからない」という反応を聞くことが多い。
 一般に、既に知っていることや知られていることを「既知」と言い、まだ知らないことや知られていないことを「未知」という。こうした2つの異なる概念は組み合わせで考えると面白い。

 中学の数学で習った座標軸、あるいはビジネスでよく使用するマトリックスのようなもので良いので紙に書いてみると良い。縦軸の上が「未知」、下が「既知」、横軸の左が「既知」、右が「未知」にすれば簡単である。
 数学の言葉で言えば、第1象限(右上)が「未知・未知」、第2象限(左上)が「既知・未知」、第3象限(左下)が「既知・既知」、第4象限(右下)が「未知・既知」ということになる。

グローバルとローカル146

 さて、とりあえず最もわかりやすいのは、第3象限(左下)の「既知・既知」である。朝食とはどういうものであるか、我々は多くの場合、皆知っている。様々なバリエーションがあることは事実だが、それでも「概念」としての朝食と「実体」としての朝食はかなり近い。要は、何となくそして実体としても「知っている」ため、対策は明確である。

 第2象限(左上)の「既知・未知」はどうか。「知っている」と思ってはいるが、実は「本当はよくわからない」というものが当てはまる。例えば、「ビタミン」の種類などと言えば、多くの人はA、B、C、D、E、K、位までは何となく「知っている」。だが、B1、B2、B3の違いについて即座に言える人はこの分野をしっかり習得した人か、余程関心がある人以外にはいないであろう。歴史の例で言えば、「前九年の役・後三年の役」なども多くの人が中高の歴史で学び、名前は「知っている」が細かい内容については既に「未知」の可能性が高い。「承久の変」などもそうだ。人々の実生活はこれら「既知・未知」の事象については詳細を必要としないことが多い。
 台風や災害、あるいは交通事故などもどのようなものかは概ね「知っている」が、実際には発生してみないとどうなるか「わからない」という点で「既知・未知」になる。ただし、「既知・未知」の事象の多くは経験や現代科学に基づき、対策や予防が可能である。大事な点として、この領域は「知っている」と思い、油断することが多い点だ。

 第4象限の「未知・既知」は「知らない」と思っていたが、実は「知っている」ものが当てはまる。仕事や学問の世界ではこれも結構出会うことがある。例えば、用語が異なるだけで全く「未知」のものと思っていたところ、本質は同じことなどがある。筆者もかつて「キャッシュフロー経営」を集中して学んだことがあったが、学べば学ぶほど、本質は中小企業の資金管理や日銭管理と同じであり、それらしいカタカナの用語を駆使しなくても、その本質は大昔からの商売の基本ということを再認識したことがある。米国まで行って学んだことは実家で両親が何十年も実践していたことと本質的に同じだったという訳だ。それを体感として理解してからは、机上の経営理論と実践との間の距離が一気に縮小した気がしている。農業にしても経営にしても、実践を積み重ねてきている人は、その点では専門家の「華麗な言葉」に惑わされないでほしい。実は既に「知っている」ことが違う表現で言われているだけのことも多い。対策は、落ち着くこと、本質をしっかり見極めることだ。その上で、専門家の意見は客観視して聞くことだ。そうすれば自分にとって「未知」と思えたことが「既知」になる。そうなれば対策はより簡単になる。

 最後に、第1象限の「未知・未知」、これは難しい。本当の意味での「想定外」の事象である。まさにこんなことが起こり得るとは夢にも思わなかったような事象であり、率直なところ、対策らしい対策は不可能ではないかと思う。あえて言えば、臨機応変に対応するしかない。いくら厚いマニュアルなどを作っても、「既知・未知」の事象くらいにしか役立たないし、そもそもマニュアルなどを読む時間も無いであろう。
 注意すべきは、臨機応変とは「いい加減」ということではない点だ。最終的な目的は何かを常に意識した上で、状況の変化に応じて事前の計画を修正し、場合によっては全面破棄なども含め、状況に応じた最適の選択肢を柔軟に取っていくことである。その結果がどうなるか、「未知・未知」の環境下では本当にわからず、結果は本人次第としか言いようがない。


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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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