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【熊野孝文・米マーケット情報】元年産米の品質低下は全国的傾向2019年10月1日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 収穫が本格化している元年産新米は品質の低下が大きな問題になりつつある。生産者のみならず集荷業者や流通業者からも連日、品位低下の情報がもたらされている。中にはスマホで撮影した収穫直前のウンカ被害の水田画像を見せてくれる人もおり、その画像を見るだけで事態の深刻さが伝わって来る。

 新米の収穫作業が始まった直後からカメムシ害や高温障害による乳白米混入の情報が伝わって来たが、収穫作業が進むとともに品位の低下は全国的な傾向であることが分かってきた。以下は9月26日に開催された全米工(全国米穀工業協同組合)の情報交換会で全国各地から参加した組合員が提供した情報を取りまとめたものである。

 北海道=盆前は大豊作との見方もあったが、盆過ぎからの天候不順で収穫時期も遅くなり、平年並みかやや遅い9月20日頃からになった。品位はまだ分からないが検査を受けたものはほぼ2等、ライスセンターで調整しないと1等にはならない。登熟期に気温が急激に下がったので中米の品位に幅が出て来そうで値段の付け方が悩ましい。一般米は、昨年よりななつぼしは安くスタートしたがじり高傾向。ゆめぴりかはタンパク値が基準オーバーしているものが多い。

 青森=まっしぐら、青天の霹靂は品位が良い。つがるロマンは胴割れも見られる。

 宮城=県北も2、3日後に刈取りが本格化する。県南は乳白やカメムシ害が多い。県北も影響があるかもしれない。秋田は良いと思っていたが、乳白で格落ちするものもある。

 福島=会津の品質はあまり良くない。中通も乳白とカメムシで2等が多い。浜通りはくず米の発生が多いが、品位が落ちるので庭先価格はキロ50円程度。農協系統は1、2等格差を300円にしたが、品位が落ちるので割高になり困っている。商系は500円~600円格差を踏襲するところもある。飼料用米は基準反収に届かないので来年から作付が減るのではないか。

 茨城=7月の日照不足でカメムシの発生が多く2等落ち。くず米の発生も少なく、センターでキロ85円ぐらい。

 千葉=台風15号で古い建物が損壊したが、幸い停電・断水は免れた。ただ、漏電で精米機が稼働していない。シラタ、カメムシで2等に。とくにカメムシ害が非常に多い。くず米の発生も少ない。1.75で篩っても中米は4割ぐらい。

 新潟=早生は1等になるものが少なかったが、コシヒカリは1等がまったくないというほど品位が悪い。全体的にこれほど品位が落ちたというのは初めての経験。くず米はキロ80円だが、品位が落ちるのでこの価格が妥当なのか再検討する必要がある。比較的品位が良いと言われる佐渡も1等比率は47%。全農新潟も1等比率が低いことから1、2等格差について「総合的に検討する」と言っている。

 全米工の組合員企業は様々な品位のコメを搗精して商品に仕上げるので、コメの容積重はもちろん、被害粒の形状、未熟粒の度合いなどシビアーに見る。その目利きのレベルは、画像解析した品位のデータと実際に取り引きされ成約した価格をプロット図にすると見事にパラレルになっており、目視でコメの価値を判断させる競技があったら全米工の組合員が上位を独占するだろう。それだけの眼力をもった組合員がこれだけ品位が落ちるコメが発生したのは初めて見るというのだから事態は深刻だ。

 取引会の前日25日には東京農業大学で「気象変動下での稲作栽培と品種改良」と題するセミナーが開催された。セミナーでは農研機構の稲育種や栽培の専門研究員3氏が講演したが、地球温暖化が稲作に与える影響の大きさが伝わって来た。予測では2100年には4.8℃上昇、東京は44.2℃になるそうで、この温度を見るだけでめまいがしてくる。

 稲の高温障害は37℃を超えると雄蕊が死んでしまい花粉が出来ない。雌蕊は40℃まで耐えられるので、この差を利用して新品種の育種技術に使われているが、当たり前に40℃を超えるような日が開花期に続くようになったらどうなるのか? セミナーでは育種の専門家が高温耐性のあるインディカ種の遺伝子を組み込んだ冨冨冨を育種、さらに「にじのきらめき」という高温耐性のある新品種も誕生したことを紹介したが、そのなかで品位については「現在の農産物検査法による等級格付けは見直す必要がある」と言っていた。収量を確保するためには品位を犠牲にする必要があると受け取ったが、このことは今も言える。

 果たして良食味米のブランド基準としてタンパク値をどの県の銘柄米にも設けているが、このことが余計にシラタ多発の原因になっているように思えてならない。


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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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