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【小松泰信・地方の眼力】憲法第25条を蹂躙するなかれ2019年10月23日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

 日本国憲法第25条【生存権、国の社会的使命】①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

◆取り戻せ「水の自治」と「水の文化」

地方の眼力・本文用画像(小松泰信先生) 岡山県自治体問題研究所主催の市民公開講座(10月21日)は、武田英夫氏(元岡山県議、岡山県苫田ダムと広域水道企業団問題をライフワークとして活動)による「改悪水道法と岡山の現状~苫田ダムと岡山県広域水道企業団~」という講演。
 示唆を受けたのは次の二点。
 ひとつは、ダムの治水効果は極めて限定的で、ダムへの依存度を高めるような議論は危険である。
 もうひとつは、水は「生命」の中心を担うもの。その重要な水を供給する水道事業を「民営化」してはいけない。
 とくに後者は、憲法25条に記されている「公衆衛生」という国民の権利を保障することに立脚している。ゆえに、各自治体は「広域化・民営化」で「遠くの水」を求めるのではなく、「近くの水」すなわち自己水源を確保し、「水の自治」と「水の文化」を取り戻さねばならないとする。

◆進ませてはならぬ水道民営化

 期せずして、翌22日の西日本新聞は1面で水道民営化問題を取り上げている。
 改正水道法が10月1日に施行された。同法は、市町村を基本単位とする水道事業の運営権を、民間企業に委託する「コンセッション方式」の促進を盛り込んでいる。同紙は九州の政令市、県庁所在市、中核市の計10市に同方式の導入について調査した。全ての市が「導入予定はない」と回答したことから、「最も身近なインフラで命に直結する水の『民営化』への懸念の大きさを裏付けている」とする。
 各市の水道事業担当部局は、導入しない理由として次のように回答している。
 長崎市;コンセッションは官と民の役割やリスク分担の整理がいる。海外では再度公営化した事例もあり、安全安心な水を民間に委ねることには、市民の理解を見極める必要がある。
 佐賀市;水道事業にまったく知識がない事業者が災害が起きたときに責任を果たせるのか。
 北九州市;選択肢は広がったが、検討もしていない。現時点では広域連携を重視している。
 熊本市;地下水で全ての水源を賄っており、効果的に運用する独自のノウハウが求められる。
 福岡市;市民に無理な負担を求めることなく安定的に黒字を確保できる。
 大分市;現行の直営での安定経営。
 鹿児島市;当面検討もしないが、老朽化施設が増えるなどして経営状況が悪化するとなると、検討することもあり得る。
 また厚生労働省も、上水道でコンセッションの導入例はこれまでなく、民営化による水道料金の高騰や水の安全性の確保、災害時の対応を民間企業ができるかといった点で、市民にも不安の声は根強いことを認めていることが紹介されている。

◆またまた空から降ってきた

 東京新聞(10月22日付)によれば、沖縄県の米軍嘉手納飛行場で、MC130特殊作戦機の主脚の関連部品(トルク管)がなくなっていたことが、21日に明らかになった。18日午前5時40分ごろの点検では、分かっていたそうだ。政府関係者によると、当該部品は基地内で発見され、人的被害はないとのこと。
 「ただでさえ周辺住民は騒音に悩まされているのに、部品落下事故を何度も繰り返し言語道断だ」「軍事優先、人命軽視の表れとしか思えない」「一歩間違えれば私たちの頭上に落ち、死んでしまう」「『またか』と慣れてしまうぐらい、米軍機による事故が頻発している。沖縄の状況は異常だ。いつか大きい事故が起きて、犠牲者が出そうで本当に怖い」「日本政府は沖縄の危険な現状をしっかり見つめ、日米地位協定の改定も含め、より強い態度で米側と向き合ってほしい」「あきれて物が言えない」「部品が落ちることが日常化してしまっている。本来なら事件・事故は非日常のことなのに、逆転した状態になっている」「人的被害がなければ問題ないとなっている。米軍は安全管理に対する意識が薄いんじゃないか。日本政府は強く抗議すべきだ」等々は、同基地周辺の住民から上がる怒りや不安の声(沖縄タイムス、10月22日付)。

◆放射性物質の除染は被害者がすべきなの!? 

 東京新聞(10月22日付)は、台風19号の大雨の影響で21日までに、東京電力福島第一原発事故後の除染で出た廃棄物を入れた袋「フレコンバック」が、福島県内の仮置き場4カ所から計54袋も河川に流出したことを取り上げている。
 環境省は、いずれも回収地点周辺の水質や空間線量に影響は確認されていないとするが、「......それ以前の問題だ。(フレコンバッグを)流すこと自体がおかしいでしょ」と語気を強めるのは、震災前まで同県飯舘村で酪農を営んでいた長谷川健一氏(66)。
 さらに糸長浩司氏(日本大学特任教授、環境建築学)は「......フレコンバッグの流出は問題だが、原発事故で飛散した放射性物質が残る山の表土の方が遙かに大きな問題だ」と指摘する。糸長氏の試算によれば、飯舘村の山の表土を深さ5cmで削り取ると、約860万袋にもなるとのこと。
 さてここで問題です。原発事故で飛散した放射性物質は誰のものでしょう。
 答えは「被害者」であることを、NHKおはよう日本(10月17日)が放送した「原発事故"土から放射性物質 取り除いて"農家の訴え」が教えている。福島県の農家らが、原発事故前の農業を取り戻したいと、金銭的な補償は一切求めず、農地から事故で飛散した放射性物質を取り除いて欲しいという一点だけを求めて、2014年に東京電力を訴えた裁判で、10月15日裁判長は原告の訴えを退けた。
 「原発から飛散した放射性物質はすでに土と同化しているため、東京電力の管理下にはなく、むしろ、農家が所有しているといえる。故に、東京電力に放射性物質を取り除くよう請求することはできない」、というのが主な理由。
 この判断に従えば、放射性物質の除染は、望みもしない「所有者」となった無辜(むこ)の被害者がやらねばならない。目も耳も疑う判決と言わざるを得ない。国民の生存権を蔑ろにし、加害者そして国の責任すら言及しない、不当判決である。 
 改悪水道法、米軍機部品落下、そしてこの不当判決、これらに共通するのは憲法25条の蹂躙である。
 「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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