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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(157)「食べ合わせ」の悪さ2019年11月22日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 「食べ合わせ」の悪さというものがある。良く知られている例では、「天ぷらとスイカ」、「柿とカニ」などである。一つ一つは筆者も大好きだが、一緒に食べると大変なことになる。

 「天ぷらとスイカ」は非常に有名だ。天ぷらは油が多いし、スイカは水分の塊である。この両者を一緒に食べると胃液が薄まることにより消化不良を起こすことがあるため、胃腸の弱い人には厳禁とされている。筆者は天ぷらが大好きだし、スイカも大好きである。両方とも好きな食べ物であるにもかかわらず、それらを一緒に食べると全く異なる結果、というよりとんでもない結果を生じるため、昔から人々はこの組み合わせを避けてきた。

 「柿」と「カニ」などもそうだ。この2つは身体を冷やす食べ物と言われている。とくにカニはタンパク質やタウリンが多く好きな人が多い。それが同じように身体を冷やすとされている柿と一緒に食べると体調を崩すことになる。冷凍保存や冷凍輸送が現代ほど普及していなかった昔は、海の食べ物であるカニを山の奥まで輸送する過程で傷んだことも多く、それが原因で食べ合わせの悪さになったのかもしれない。いずれにせよ、この2つを一緒に食べることも要注意だとされている。
 これに対し、「ウナギと梅干」などは事情が異なるようだ。調べて頂ければわかるが実は相性が良い。恐らくは高級食材であるウナギを消費し過ぎること、つまり贅沢への戒めとして、あるいは希少品・高級品としてのブランド維持の意味があったのではないかと考えられている。
 寿司なども似たようなものかもしれない。かつての江戸前のファスト・フードが、ある時期には高級食材・御馳走となり、回転寿司の登場により再び大衆化し、最近では「回らないお寿司」と「回るお寿司」の差別化や棲み分けが行われてきている。
 筆者の体験的記憶でも小学生の頃(1960-70年代)には、何かお祝い事があった時には「お寿司」だったが、1980年代以降、回転寿司は安く手軽な「寿司」になってきた感が強い。最近は子供も「回らないお寿司!」とリクエストするという話を聞いたことがある。

 話を「食べ合わせ」に戻そう。
 独立したひとつひとつは良いもの、正しいものでも、それを組み合わせることにより意図せざる結果、あるいは真逆の効果が生じることは「食べ合わせ」に限らない。社会現象の中には似たようなことがいくつもある。
 最近の例で言えば、選択式と論述式の問題を組み合わせた試験の形式などがある。選択式にも論述式にも一長一短がある。試験や採用には、どのような方法にも完璧というものは無いにもかかわらず、人は「都合の良いところだけ」を活用しようとする。
 一度に大量の書類を正確・迅速・一律に処理するのであれば選択式にしてコンピュータ処理するのが一番である。一方、文章力や深い思考力、洞察力、人間性を見たいのであれば、論述式や面接をじっくりやる必要がある。これを全て同時に出来ると過信するから物事は破綻する。残念ながら情報技術の発展は、うまく活用されれば良いが、そもそもが悪い組み合わせの場合にはその本質を覆い隠すことになりかねない。

 どうも我々は、日常生活のあらゆる場面において、こうした当たり前のことがわからなくなってきているようだ。その結果、良かれと思って実施した改善策が、「天ぷらとスイカ」のようにおかしな結果をもたらすことがあちこちで生じつつあるのかもしれない。


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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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