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【小松泰信・地方の眼力】反社会的安倍政権を許さない2019年12月4日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

 石破茂17.8%、安倍晋三15.6%、小泉進次郎13.3%。これは、共同通信社が全国の有権者を対象に11月23、24日に行った世論調査(対象者1962人、回答率52.7%)でなされた、「次の首相にふさわしいのは誰」との質問に対する上位3人の回答率。対象者は8人で、「この中にはいない」が26.9%もあったが、石破氏が安倍氏、小泉氏を抑えて第一位になったことには注目しておかねばならない。

◆身内でも意見が違えば冷遇

地方の眼力・本文用画像(小松泰信先生) 石破氏の伸びに危機感を抱いた安倍氏の指示か、殿の胸中を察してのことか、石破つぶしの動きを毎日新聞(11月29日付)が伝えている。11月28日の衆院憲法審査会で国民民主党の玉木雄一郎代表に疑問を投げかけられた石破氏が、数度にわたって発言を希望したが、佐藤勉審査会長(自民党)から指名されないまま審査会は終了。石破氏は机をたたいて不満をあらわにし、周辺に「全然当たらない。民主主義国家としてどうなのか」と漏らしたそうだ。
 残念ながら、その指摘はまったく当たらない。お腹立ちはもっともだが、安倍族によってこの国の民主主義は破綻寸前。石破氏を含む自民、公明の議員たちも阻止する動きは見せなかった。彼らには、加害者であったことを反省し、民主主義国家再建に立ち上がれるかどうかが、問われている。

◆破綻する農業成長戦略

 破綻といえば、農林水産省が所管する官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)」が新規投資を停止する方向で調整に入ったことを毎日新聞(11月22日付)が伝えている。累積損失が100億円規模に膨らみ、2019年度に入っても投資額が伸びないため、農水省や財務省はこのままでは収支改善が困難と判断し、早ければ20年度末までに新規の投資業務を停止する可能性があるとのこと。「あり方を抜本的に見直したい」という江藤拓農水相の表明と、財政制度等審議会分科会で有識者から解散を求める意見が出たことも紹介している。
 同日の西日本新聞も、「安倍政権にとって農林水産業の成長産業化に向けた取り組みの一つが、つまずいた格好だ」「不振のまま事業を終えれば国が投じた資金を回収できず、国民につけが回る恐れがある」と、警告を発している。
 「これ以上傷口が広がらないよう廃止に向かうのは当然」とするのは、北海道新聞(11月28日付)の社説。14ある官民ファンドはアベノミクスの成長戦略の目玉に掲げられ、多くは第2次安倍政権発足後につくられたが、「一部で採算を軽視した投資が繰り返されてきた」とする。江藤氏が、後継組織を立ち上げる考えを示唆していることに対して、単なる「看板の掛け替え」に終わらせてはならないと、くぎを刺す。
 さらに、日本の文化を海外に売り込む「クールジャパン機構」など4つの官民ファンドの収益が低迷していることから、「官民ファンドが不振のまま事業を終えれば国の資金を回収できず、国民につけが回る恐れがある」とした上で、「関係者の責任が厳しく問われなければならない」とする。

 
◆主要農作物種子法の轍を踏むな

 日本農業新聞(11月29日付)によれば、自民党は11月28日の農林合同会議で、2020年の通常国会での種苗法改正に向けた政府への提言を決定した。新品種の流出を防ぐため、海外への持ち出しを規制し、品種登録した品種(登録品種)の増殖は、農家が次期作用に自家増殖するものも含めて許諾制とするのが柱、とのこと。
 とりまとめにあたった武部新氏(自民党野菜・果樹・畑作物等対策委員長)は「日本で開発した品種が流出して海外で栽培が広がり、日本からの輸出品と競合している。国内農業への影響が大変懸念される」と法改正の意義を強調している。
 また、「自家増殖の許諾制」については生産現場に懸念があるため、「在来種や、品種登録されていなかったり登録期間が切れたりした『一般品種』の増殖は、制限されないことの説明も促す。利用者が許諾を得やすくし、農家に過度な負担とならないことも求める」そうだ。しかし、簡単に信じることはできない。何せ自民党からの発言ですから。
 「消された『種子法』」(TPP交渉差止違憲訴訟の会・弁護団編、かもがわ出版、2019年)は、この改定案が大変な内容になることを見抜き、種々の反論を提供している。
 まず、自家増殖、自家採種が原則禁止になると、農業者に莫大なコストがかかることを例示したうえで、我が国も批准している「植物の新品種の保護に関する国際条約」(UPOV条約)の14条、15条で、「合理的な範囲内で育種権者の権利を制限できるとなっているため、現在の種苗法を改定する必要はありません」としている。
 また、我が国が開発した優良品種の海外流出を防ぐという法改正の意義については、「登録された育種権は現行の種苗法でも第三者への譲渡は禁止されているので、海外への流出を止めるには宮崎県が肉牛の種苗(精液)の流出を刑事告訴したように、現行法の範囲内でも十分に対応できます。海外の取り締まりをするには中国、韓国などで意匠登録などの商標登録、または育種登録をすれば足りる」ことから、法改正に意義は無いとしている。
 廃止された主要農作物種子法の轍を踏まぬために、種苗法改悪を阻止する運動が求められている。

◆散らぬなら散らせてみせよう安倍桜

 師走になっても満開の安倍桜。しんぶん赤旗(12月1日付)によれば、主要野党が参加する首相主催「桜を見る会」追及本部法務班は29日に郷原信郎弁護士の聞き取りを行った。
 郷原氏は、安倍政権が公選法違反の追及を逃れようと、前夜祭の収支に安倍後援会は無関係だったかのように説明したことを「致命的な悪手」とする。なぜなら、「ホテル側が会費を設定し、自ら参加者から会費を徴収するのであれば、安倍首相や後援会関係者らも会費を払う必要がある」「支払えば安倍後援会としての支出が発生、後援会の政治資金収支報告書に記載がなければ政治資金規正法違反。逆に支払っていなければ『無銭飲食』となり、ホテル側がこれを見過ごした場合は、ホテル側が安倍後援会に企業・団体献金を行ったことになる」ことで、安倍氏らは説明不能に陥るから。将棋になぞらえて、「完全に詰んだ」とのこと。
 東京新聞(12月2日付)によれば、2007年6月の犯罪対策閣僚会議の幹事会申し合わせで、反社会的勢力を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」と定義している。これに従えば、現政権は反社会的勢力そのもの。詰んではいても、逃げ切りをはかるはず。それで済ませば我が国は反社会的国家と化す。散らぬなら散らせてみせよう安倍桜。
 「地方の眼力」なめんなよ

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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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