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【小松泰信・地方の眼力】「結論ありき」を支える「非科学的架空予測」2020年2月12日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

 「北村大臣が不憫だ。見てはいけないものを見てしまった気分に襲われる。この答弁不能はNHKもオンエアに二の足を踏むのではないかという悲惨な状態にあるからだ。誰かせめて大臣職を辞するよう勧めた方がいい。バレバレの被り物にしても思考がまともに機能しているとは思えず、晩節を汚すばかりだろう。」(立川談四楼氏のツイッター、2月11日付)

地方の眼力・本文用画像(小松泰信先生)◆究極の適材大臣

 東京新聞(2月11日付)によれば、公文書管理を担当する北村誠吾地方創生担当相の答弁があまりにも迷走しているため、野党共同会派の山井和則氏(無所属)が「一刻も早く代わっていただいたほうが国民のためになる」と辞任を求めたそうだ。
 しかし、国民のためになることは安倍政権のためにはならない。政治不信、政治家不信を増長させ、国民が政治や選挙に無関心、さらには虚無的になることを目指している政権にとっては、究極の適材大臣。安倍首相が辞めさせるはずがない。
 以心伝心というべきか、北村氏は記者会見で「引き続き真摯(しんし)に職責を果たしたい」と語っている。でも無理。


◆既成事実が積み上げられる石木ダム問題

 2019年9月18日の当コラムで取り上げたが、この北村氏は地元長崎県佐世保市における大臣就任凱旋記者会見において、「石木ダム」建設問題に言及。「みんなが困らないように生活していくには、誰かが犠牲、誰かが協力するという積極的なボランティア精神で世の中は成り立っている」と、古里であり日々の生活の場でもある所を、納得できない理由で追い払われようとしている人々に、ボランティア精神を説くほどの不見識をさらけ出した。公文書管理や地方創生などを所管できる人ではない。
 その石木ダム問題。
 長崎新聞(2月6日付)によれば、長崎県が新年度一般会計当初予算案に、基礎掘削工費や地質調査費など計約8億円を盛り込む見通しから、石木ダム本体建設予定地の掘削工事に着手する方針を固めたとする。もちろんこの本体工事費の予算計上で、「反対住民がさらに反発するのは必至」であることも伝えている。
 同紙26面と同日の西日本新聞佐世保版は、当該事業における行政代執行による土地の強制収用に反対している超党派の議員連盟(参加者は国会議員を含む13人)が、5日にダム建設に伴う県道付け替え道路の工事現場を視察したことを伝えるとともに、参加議員のコメントを紹介している。
 「県道は住民の生活道路で、使えなくなると影響が大きい。道路を使えなくすることで、反対住民を心理的に追い込み、立ち退きを迫るような状況にならないよう警戒したい」(長崎県議・堀江ひとみ氏)
 「住民の命や生活を最優先に考えてほしい」(東彼杵町議・林田二三氏)
 「強制収用は人権侵害だ」(衆院議員・初鹿明博氏)


◆本当に水源は不足しているのか

 長崎新聞(2月5日付)は、佐世保市水道局が利水面の事業再評価でまとめた水需要予測について、全国の研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授らが共同代表で賛同者は約120人)が4日に、「科学性が欠如している」として根元から見直すよう求める意見書を水道局に提出したことを伝えている。
 市水道局は1月、再評価の諮問委員会に対し、2038年度までの水需要予測を提示。全体の6割以上を占める生活用水について、人口が減る一方で、1人当たりの水使用量が全国の同規模都市の水準に近づき徐々に増えるため、横ばいで推移すると想定。確保が必要となる水量に対し、水源が足りないとしている。
 これに対して意見書は、給水量の実績値は減少傾向にあることを挙げ「非科学的な架空予測」と指摘。1人当たりの水使用量は「節水型機器の普及や開発が進み、増加傾向に転じることは考えられない」と強調。「現実性が疑わしい水需要増加要因を積み上げている」としている。
 意見書を市の担当課長に手渡したダム建設に反対する市民団体「石木川まもり隊」は、ダム建設を推進する立場の委員が含まれるなど「(諮問委)構成に問題がある」ことなどを問題視し、改善を申し入れたそうだ。
 ところが、2月7日付の同紙によれば、市水道局が進める利水面の事業再評価について第三者の意見を聴く、市上下水道事業経営検討委員会(武政剛弘委員長)の2回目の会合が6日開かれ、水道局はダム以外の代替案や費用対効果を検証した結果として「事業継続が妥当」とする方針案を示した。検討委はこれを了承し、次回以降の会合で結論をまとめ、答申する予定とのこと。
 同日の審議で市水道局は、石木ダムで賄う水源量(1日4万立方メートル)の代替となる可能性がある14の案を検証したことを報告。このうち、地下水を取水する案は「有力な地下水を発見できていない」、海水淡水化施設を整備する案も技術面などで課題が多く「立案困難」と分析するなど、いずれの案も実現性などで、「石木ダム以外に有効な方策がない」と結論づけた。
 費用対効果についても、石木ダムの建設費と50年間の維持管理などの総費用は約757億円と試算。ダム整備で得る便益額(渇水時の給水制限による被害額)は約4026億円と算定し、効果が大きいとした。
 検討委では、水道局の方針案に異論は出ず、「妥当」とする意見で一致したそうだ。
 もちろん、「石木川まもり隊」の松本美智恵代表は、「住民に丁寧に説明しようという姿勢を感じない。代替案も具体的な数字が示されず、形だけの審議だ」と批判している。


◆科学的反論なき答申は無効

 佐世保市水道局が、14にもおよぶ「石木ダムで賄う水源量(1日4万立方メートル)の代替案」を検証したことを知ると、いろいろな状況を勘案した結果として、納得する読者も少なくないだろう。しかし問題は、本当に1日4万立方メートルにもおよぶ水源量が必要なのかという点である。それも、住民を石もて追うような仕打ちをしてまでも。
 大本の所の科学的な検討がない限り、何十何百の代替案を検討しようが、「やってる感」を示すだけの無駄な努力。このような姿勢が続く限り、「結論ありき」という正当な批判を免れることはない。
 佐世保市上下水道事業経営検討委員会の武政委員長は長崎大学名誉教授とのこと。武政氏は研究者の名にかけて、市水道局が利水面の事業再評価でまとめた水需要予測を「科学性が欠如している」とする、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」の意見書を、科学的に反論すべきである。科学的反論なき答申は無効。
 「地方の眼力」なめんなよ



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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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