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【熊野孝文・米マーケット情報】自動給水機を共同開発した大規模稲作農家の思い2020年3月24日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

【熊野孝文・米マーケット情報】
 茨城県で大規模稲作経営を行っているYさんと会うといつも同じことばかり聞いている。それは「コンバインは1台なんですか?」ということ。数年前、Yさんの水田面積が100haに達したときも聞き、その前も同じことを聞いた。そして今回150haになるというのでまた同じことを聞いた。答えは今回も「1台」だという。

 30数年前、初めて秋田県大潟村に取材に出向いた際、あまりにも広大な農地で、かつ整然と整備してあったのでここが本当に日本の農村の風景だとは思えなかった。農機具を入れる倉庫に入り、コンバインを見て、大きさもさることながら価格の高さにも驚いた。運転席に上がり操作盤を見て思わず笑ってしまった。

 速度をコントロールするギアの箇所にウサギさんと亀さんの絵が描かれていたからだ。高額な機械のわりにそんな絵が描かれているギャップがおかしかった。当時、大潟村には550戸の農家がおり、1戸平均15haであったが、現在483戸になり1戸平均18haになった。しかし、かつてのモデル農村も経営面積だけを見るといまや中模農家の集落といえるほど全国的に稲作の生産構造が大きく変化し始めている。そのスピードは加速し始めており、新潟県で70haを耕作している経営者も、もはやこの面積では大規模とは言えず、何百ha、何千haと言う規模を経営する組織が現れるだろうと言っていた。

 Yさんもその変化のスピードを実感している一人である。面積が150haに拡大したとはいえ、相変わらず分散錯圃の状態は変わっていないが、水田の所有者が世代交代したこともあり、以前に比べ農地を集約する作業が容易になってきているという。畔を取り払う作業にしても以前は必ず所有者が現場で立ち会ったものだが、今では見に来ることもないという。こうした光景が全国各地で並行的に見られるようになると予想される。

 Yさんを訪ねたのは拡大する面積をどうこなしているのかを聞きたいためでもあったが、もう一つは大学と共同で研究開発していた「自動給水機」が完成、今月から販売することになったという情報が届いたからである。開発途中の自動給水機を一度見たことがあるが、それから1年以上経ており、どんなものが出来上がったのか見て、それをどう活用するのか直接本人に聞いてみたいと思った。開発に着手してから3年を経ているが、その間に機械の製造を手掛けていた会社が火災にあったというアクシデントにも見舞われるなどで、完成までに時間を要したが、Yさんが何よりもこだわったのが「農家目線」の機械にすることで、コストはもちろん、農家が使いやすい機械にする必要があった。

 そのことをわかりやすく商品案内に記してあるので、そのまま記すと(1)ゴミや砂・石などの詰まりが生じにくいホース上下方式(開水路から導入するホースを上下させることで止水・給水を行う。この機構によりゴミや砂・石などの詰まりが生じにくい工夫をしている。開水路でも完全な止水が出来、自動給水機の維持も容易になる。これまでの主流であったシャッター式では、ゴミや砂・石などを噛み込み、水漏れが発生し完全な止水が出来ない場合があるなど課題もあった)(2)設置が簡単なホース収納部一体型(水口の土をホース収納部に合わせて掘った溝に給水機を入れ、ホースを水口パイプ等に固定するだけの簡単な作業で設置できる。これまでの主流のシャッター式では本体を設置する土台をコンクリートで固める等の工事が必要であった)(3)水位の上限・下限の設定が簡単な自動給水機能(水位センサー部にある水位設定レバーを上下するだけで管理したい水位の上限と下限を設定でき、自動的に給水と止水が行われる。「農家目線」の直感的な手動操作で、水位設定が容易に出来る。水位センサー部の設置方式を工夫することで、湛水管理、間断灌水、中干、飽水管理など栽培期間中のあらゆる水管理の自動化に活用できる)。

 日本で使用される水のうち最も多いのが農業用水で年間500億tもの水を使用、多くが稲作に使われている。Yさんは稲作農家が水管理に要する労力は全作業のうち3割から4割を占めており、この機械を導入することによって水管理はゼロにはならないが、労力の省力化と併せて、圃場で自動的に最適な水位を保つことにより水稲の収量アップと品質向上につなげ、稲作農家の収益が上がることが出来ると確信しており、この機械が広く普及することを願っている。

 
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