【森島 賢・正義派の農政論】国民を犠牲にする安倍政権の危険な賭け2020年4月13日
安倍政権は、新型肺炎についての緊急事態宣言を、ようやく発令した。そうして国民に対して、ただちに外出の8割を自粛せよという。
しかし、それに伴う損失の補償は、緊急事態宣言の期限が終わる5月6日以後の5月末だという。しかも、補償の内容は、まだ決めていない。
これは、お上の言う事を聞けば、いいことがあるよ、という姿勢である。そして事態が悪化すれば、その責任を、お上の言う事を聞かなかった国民に押しつけよう、という魂胆がみえる。
政府は、国民が外出を自粛するだけで、事態を終息できる見通しがあるのか。ほとんどないだろう。外出の自粛は重要だが、政府は、それと同時に為すべきことがある。
政府が為すべきことは、科学に基づく検査と隔離の励行である。それを当初から軽視している。そうして、国民を犠牲にした、成功の可能性の低い危険な賭けを行っている。
いま必要なことは、検査体制の抜本的な改革による、今後の事態の推移の科学的な予測と、隔離施設の万全な整備による科学的な対策である。
事態は、自然の法則と、社会の法則に従って推移するのである。
上の表は、各国の新型肺炎の人口1000人当たり検査人数で、オックスフォード大学の研究者たちが整理したものである。(https://ourworldindata.org/covid-testing)
この表から分かることは、日本の検査数が桁外れに少ないことである。ドイツの30分の1である。韓国とくらべても16分の1で、極めて少ない。
全ての問題は、ここから発する。
◇
日本の検査数が少ないことは、安倍政権の意志である。そのことを隠そうとしている。そうして見苦しい言い訳をするばかりで、結果を出そうとしない。政治は結果だという。だから政権の意志と考えるしかない。まさか政権の無能が原因ではないだろう。
このような少ない検査からは、不確かな推論と、誤った対策しか出てこない。
たとえば、日本は新型肺炎による死亡率が少ない、といって政府は自慢したいようだ。しかし、これは不確かな推論である。
日本の新型肺炎による死亡率が少ない理由は、死亡者数が少ないからである。そして死亡者数が少ないのは、検査数が少ないからである。だから検査数を増やせば死亡者数も増える。割り算の分母の人口は同じだから死亡率も増える。
これは、政府にとって不都合である。だから、政府は検査数を増やさない。そうして死亡の原因が新型肺炎であることを隠蔽し、死亡者数を実際よりも少なく見せる。
◇
こんどの、国民に対する外出自粛の対策も、このような、実態を歪めた、しかも僅かな検査結果を基礎資料にしている。つまり、対策の科学的な根拠は薄弱である。だから、対策の結果、感染が終息に向かうとは思えない。それだけではない。対策が成功したか否かの評価さえもできない。
そして、ここには、隠蔽された感染者の病苦と死がある。それを賭けて、終息を早めるという、今度の対策の成功の可能性の低い、危険な賭博である。
◇
このような隠蔽の袋小路から抜け出すには、検査数をドイツや韓国のように、桁違いに増やすしかない。その提案は専門家の責務である。だが、そうした声は、なかなか聞こえてこない。本来は、野党の責務だが、そうした声も聞こえてこない。
こうした非科学的な対策は、日本を100年前のスペイン風邪の流行時の状態に向かわせるかもしれない。あのとき日本は、当時の人口5500万人のうち、約半分の2380万人が感染したという。いま日本は、こうした危機的な方向へ向かって、つき進んでいるのだろう。
方向を転換するために必要なことは、検査の充実と、万全な隔離のための、多くの科学者の叡智の結集である。そして、科学に基づく政治の決断である。一刻の猶予もない。
(2020.04.13)
(前回 新型肺炎患者の自宅療養は棄民だ)
(前々回 新型肺炎対策の非科学性)
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