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処分資料から出て来た平成26年産米の業者間取引会売買控え【熊野孝文・米マーケット情報】2020年7月14日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

【熊野孝文・米マーケット情報】

パソコンの画面前に座ってリモート会議に参加することが当たり前のようになった。これもコロナ禍が与えた変化の一つだが、東京にいながら地方で開催される会議の模様をリアルタイムで取材できるというメリットもある。先方からも画面場でこちらの様子が分かるので、遮光性のあるカーテンを購入して部屋の中を掃除、山のようになった資料を片付けていたところ平成27年5月15日に開催された業者間席上取引会の売買控えが出て来た。

その控えには26年産の売りものとして、新潟コシヒカリ1等関東着1万4500円、茨城コシヒカリ1等1万1000円、千葉コシヒカリ1等1万700円、岩手あきたこまち1等1万150円、福島中通りひとめぼれ1等9500円などと記載してあった。

全農の資料には現在の状況について「元年産の端境期で市況が下落し、2年産の生産量が昨年を上回る現状は、価格が大幅に下落してスタートした26年産の状況と酷似しており、何の対策も打たなければ、2年産価格は前年を大きく下回ってスタートすることが懸念される」と記されている。コメ卸団体は現状をどう見ているかと言うと、
〇最近の家庭用、業務用販売動向は全体としてみれば、昨年出来秋から需要は停滞しており、新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛要請等により家庭用需要が一時的に高まったが、3月以降、外食向けを中心に業務用需要の減少が大きく、今後の回復も不透明。

〇需給見通しと民間在庫は、5月末の民間在庫量は前年より16万t多く、農水省の需給見通しでは6月末の在庫量は前年をわずかに下回る187万tとされているが、200万tを超える可能性。

〇令和元年産米の販売状況は、集荷団体等の販売数量は、3月、4月は前年を上回ったが5月は下回った。特に、東北等の業務用中心の産地銘柄の販売進度がよくない。

〇年産米の作付動向等は、主食用米作付面積は前年並みで、農水省の生産量見通し(709~717万t) を20万t程度オーバーする見込み(全中試算、732万t)。このため、営農計画書の締切りを8月末まで延長し、農水省と全中等は、主産県中心に飼料米等への転換を推進中。

〇価格動向は元年産米の相対取引価格は、出来秋から前年産をわずかに上回って推移。市中相場は、5月中旬から2000円近く急落。取引関係者は、今後、需給がさらに緩和し価格が下落すると判断。先物価格(新潟コシ)は、年初から6月まで2000円以上下がって底打ち?―と見ている。

新潟コシヒカリに限らずほとんどの産地品種銘柄が大きく値下がりしており、元年産が底打ちする価格水準がどこら辺にあるのかが目下の最大の焦点になっている。それを知る一つの手がかりになるのが、今週開催される日本コメ市場の2年度第一回目の取引会である。この取引会は当初、東京、大阪、福岡の3会場でリアルな取引会を開催する予定であったが、コロナ感染者数が増え始めたことからFAX取引会に切り替えられた。

この取引会でもう一つ手掛かりになるのが2年産早期米の価格水準である。おそらく売りメニューの中に7月中渡し条件で2年宮崎コシヒカリの売り物が出てくるはずである。豪雨に見舞われている九州では早期米の刈取り時期についても流動的な要素があり、7月中の受渡しに関しては条件が付帯されることになるが、8月から旬ごとに価格条件が示される。ただ、買い手の卸はかつてないほど早期米に関心が薄い。地元九州で行われた業者間の情報交換会でも早期米の価格についての話は一切出なかったという。卸側としては過剰在庫になってしまった元年産を今後いかにして捌いて行くのかで頭がいっぱいで、南九州の早期米まで頭が回らないというのが実情。なにせ大手卸でも元年産を消化するには来年の6月までかかると言うほどで、いかに在庫差損を少なくするのかの方策を模索している最中。

首都圏の卸は8月に入って出回る関東早期米が新米商戦の開幕になり、そのやり取りを産地側と行っている。卸側のスタンスは、外食・中食など業務用米の需要が回復するのは時間が掛かると見ており、巣ごもり需要が見込める家庭用精米に焦点を絞るしかない。その場合の売り方の基本は、元年産と2年産の併売で、店頭5キロの価格設定条件は2年産が1580円、元年産1480円で、新古格差100円で何とか元年産米の消化を促進しようという算段。では、2年産は5キロ1580円で売るための仕入れ価格が60キロ玄米の価格になるかと言うとそうではない。卸としては元年産の差損を少なくするためのプール財源が必要で、それを確保するために産地側に条件を突き付けてくるはずである。

  
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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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