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Web上の取引会で決まった関東新米価格【熊野孝文・米マーケット情報】2020年8月25日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

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千葉の早期米の収穫作業が始まったので、先週20日に大網方面に状況を確認しに行ってきた。猛暑の中、集荷作業に追われる地元の集荷業者に案内してもらったのは感謝の一語に尽きるが、車で圃場を見て回ると倒伏している稲が多いことで、集荷業者の経営者が言うには、倒伏しているのは全てコシヒカリだという。コケヒカリと揶揄されるそのままの姿になって田んぼに寝ている。今年はまだ台風も上陸しておらず、竜巻でもあったのか聞くとそうではなく、曇天が続き日照不足で稲体が軟弱徒長気味になり、長雨で中干が出来なかったことで根が張らず倒伏してしまったとのこと。記録的な長雨はこうした影響も稲に与えている。すでに刈り取りが始まったふさおとめ、あきたこまち、粒すけがこの集荷業者の倉庫に運ばれ、初検査が始まったばかりであった。収量については開花期の受粉が上手くいかず、籾嵩が足りず、昨年に比べ反収1俵減と言う見方であったが、品質については青未熟が若干多いが高温障害やカメムシ害は少なく問題ないとしていた。

この集荷業者は創業が明治25年と言う老舗で、千葉県内の生産者300軒ほどから直接コメを集荷しているのだが、年々離農する農家が増えていることを最も懸念している。このため少しでも地元のコメの付加価値を上げるため棚田地区を限定して、そこのコメをブランド化するという取組みを行っているほか千葉県が認証したエコ米を知ってもらうべくネットショップで認知度を高めるべくポイントセールなども行っている。

しかしながら今年の状況は例年にも増して厳しい状況で、地元農協が2年産早期米の買取価格を生産者に示したばかりであったが、その価格は昨年に比べ1000円以上安い価格であった。例年であれば農協の提示価格より上値を付けることがあるのだが、今年は同値で買い取るしかないと言っていた。なにせ千葉県は買取が基本で、出来秋に1年分のコメを集荷しなくてはならず、全面的に自社のリスクで在庫しなくてはならない。いかに金融機関の金利が安いからと言っても1年分のコメを在庫するのは大きなリスクを伴う。

翌、21日には関東の集荷業者や卸、大手小売店等が参加した新米取引会がWeb上で開催された。本来、この日は千葉市に全国から米穀業者が集まって新米取引会が行われる予定であったがコロナ禍で中止になったこともあって関東地区の米穀業者が参加してのWeb上での取引会になった。Web取引会では場立ちを一人立てる他、パソコンの画面上にエクセルで作成した売り買い一覧表が瞬時にアップされるようにするためデータ入力者を配置して行われた。一覧表には、売り人、買い人、産地銘柄、等級、持込か置場等の条件、数量、価格を声が上がり次第入力されるようになっており、売り買いの進行状態が参加者全員で共有される。取引最中は場立ちと売り声、買い声を上げる参加者以外は消音する取り決めになっている。こうしたWeb上での取引ルール決めたことでリアルな取引会以上にスムーズに取引が進行できるようになった。

最初に成約したのは茨城県産あきたこまち1等で、置場1万2400円で2車成約した。続いて千葉ふさおとめ1等が置場1万2200円、千葉コシヒカリ1等が9月中渡しで持込1万3000円で成約した。この他、千葉ヒメノモチ1等が置場1万4600円、茨城ミルキークイーン1等が持込1万5700円で成約した。また、くず米も無選別が持込キロ84円で成約した。ある程度うるち米の安値は予想されていたこととは言え、実際に成約した価格は昨年同時期の成約価格に比べ1400円から1900円安い価格になった。特にコシヒカリは安くても1万3500円までと見られていたが、それよりも500円安になった。

このWeb上での取引会の結果は瞬時に伝わり、情報を受け取った地元組織の中にはコシヒカリの安値にショックを受けたところもあった。ショックを受けるのは地元組織だけでなく他の産地も同様になるものと予想される。コシヒカリの本家新潟では系統が2年産生産者仮渡金を決め通知したが、その価格は前年産比900円安の1万4000円(税込み)である。新潟コシヒカリの元年産米は9か月連続して前年同月の販売実績を下回り、6月末の民間在庫は前年同月よりも3万7000t多く抱えている。2年産よりも元年産の消化を優先しなけばならない状況に置かれているのだが、新古逆ザヤスタートが確定したことで、集荷より販売に苦心しなければならなくなった。

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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