孫正義さんの快挙【森島 賢・正義派の農政論】2020年9月28日
ソフトバンクの孫正義社長が、先週24日にPCR検査の事業に乗り出したことを発表した。政府だけでなく、多くの政治家は真っ青だろう。
検査を希望する人は、この検査会社に申し込めば、誰でも、何回でも、1回2000円でPCR検査を受けられるという。検査の結果は2時間後に分かり、感染していれば、その人は公的機関に紹介されて、隔離と治療を受けることになるだろう。
経費は、1回2000円で充分まかなえる、という。もしも利益が出れば、その全額を医療機関などに寄付する、という。
だから、これは全く社会貢献のための事業で、感染がおさまれば、会社はただちに解散するようだ。
筆者は医療の専門家ではないが、患者を重篤化させないためには、そして死に至らせないためには、何よりも早期発見と早期治療が肝心だという。
CIVID‐19のような感染症のばあい、それは個々人の患者のためばかりではない。社会への感染拡大を防ぐためにも、早期発見は重要だろう。そうして、早期に隔離し、早期に治療する。
CIVID‐19のばあい、それに加えて面倒なことは、無症状の感染者がいて、強い感染力を持っていることである。
◇
いまは、無症状の人たちが、検査を受け、陰性であることを確認し、安心して社会活動をしたくても、医療行為ではない、といわれて保険を使えない。だから、3‐4万円ほどの高い料金を払って検査してもらうしかない。
それが孫さんの新会社では2000円でできるという。安くできる理由は、唾液を使って検査キットで検査するので、医師などの高度な技術者でなくてもできるからだという。まさにメガトン級の衝撃力をもつ価格破壊である。やれば出来るのだ。
素人考えだが、武漢のように、プール方式で、数人分を一度に検査すれば、料金は、さらに下げられるのではないか。
こうしたことが、孫さんに出来て、なぜ政府に出来ないのか。なぜ野党は孫さんを応援しないのか。
◇
さて、CIVID‐19問題は戦後最大の危機といわれている。その中で、菅 義偉政権は、前政権の対策を引き継ぐといって、検査を怠っている。
そうして、検査がきわめて不十分にしかできない理由を、周囲にいる、いわゆる専門家の理屈を借りて、つまり、医療が崩壊する、といって国民を脅し、検査体制の整備を怠っている。
いわゆる専門家は、人どうしが接近し、接触しないことが感染を防ぐ唯一つの対策だ、などとまことしやかに言って、国民を騙そうとしている。ウィルスが勝手に動き回っているわけではない、などと付け加えている。そうした理屈で、感染者を早期に発見して、早期に隔離し、治療するという感染対策の王道をひたすら隠そうとしている。
そして政府は、この欺瞞を利用して、感染の蔓延を放置し、国民に犠牲を強いている。
◇
いま政府が行うべきことは、医療が崩壊する、などといって国民を脅し、国民に行動の制限を強制することではない。そうではなくて、医療の崩壊を防ぐために、医療体制を拡大し、整備すべきである。だが、それをしない。そうして、国民を苦しめている。
ここには、医療界の旧き悪しき規制がある。この悪しき規制を守ることが好都合だとする古い官僚組織がある。そして、それにもたれ掛かって恥じない無責任で無能な政治がある。
◇
菅政権は成立した直後から、最重要課題はCIVID‐19の蔓延を阻止することだという。また、規制改革も重要課題の1つだという。それなら、CIVID‐19問題の解決にかかわる規制を根本的に改革しなければならない。
そのためには、旧来の体制を、いったん破壊するしかない。CIVID‐19が発生してから8か月も経っているのに、旧態依然とした体制のままで、改革をしていないのだから、根本から跡形もなくなるまでに破壊し尽くすしかない。そして、危機にふさわしい体制を新しく作るしかない。
それは、首相直轄の中央司令部を新しく作り、そこに権限を集中して、検査体制と隔離、治療体制を拡大し、整備することである。
孫さんが作った新会社は、こうした医療体制の抜本的な改革を、避けて通れないものにするだろう。孫さんが感染者を次々と見つけ出すだろう。そして彼らは、隔離体制と治療体制の拡大と整備を要求するだろう。
◇
政治は、これにどう対応するのか。ことに野党は、どうするのか。
近いうちに行われる総選挙での主要な対立点をここに据えたらどうか。国民の最大の関心事は、CIVID‐19問題なのだ。
与党は現在の医療体制に固執して、検査を怠り、市中感染の拡大を放置するのか。そうして、国民に対して社会行動の自粛を要求し続けるのか。
最近、政府は無症状と軽症の感染者に対して、隔離でなく自宅で療養せよ、とまで言い出した。これは、市中感染を加速させるもので、まさに医療放棄である。
◇
もしも政府がこうした政策を続けるなら、野党はいまのように傍観していてはだめだ。野党が立ち上がって、いまの政策に真っ向から反対し、検査体制と隔離、治療体制の拡大、整備を、最重要な公約にし、それを対立点にして、総選挙に臨んだらどうか。
そうすれば野党は、国民の多数の支持を得て、政権を奪回できるだろう。
いまは非常時なのだ。特措法の改正などは平時に戻った後で、法学者に任せればいい。モリ・カケ・サクラ問題の追及も後でいい。
いまは、COVID‐19災害の終息に向けて、全国民が心を合わせ、総力を傾けねばならない。それを妨げる全ての規制は、根こそぎ排除すべきである。
(2020.09.28)
(前回 国民の側に立つCOVID‐19対策)
(前々回 国民の命を賭けるCOVID‐19対策)
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