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二階俊博幹事長が主導する政治とは何か【森田実の政治評論】2020年11月21日

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【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

「満を持す」(『史記』)

2020年9月の二階俊博幹事長の5期目就任は、私には二階の満を持しての登場のようにみえる。二階俊博にとって、県議会議員8年、衆議院議員37年、計45年の議員生活を通じて磨き上げてきた高い見識と卓越した政治技能を、今こそ生かす時が到来したのである。

自民党幹事長は総理総裁につぐナンバー2のポストである。二階俊博はナンバー2でありながら、今やナンバー1以上の実力者になった。

歴史を振り返ると、ナンバー2でありながらナンバー1以上の活躍をした政治家はいる。代表的なのは幕末の勝海舟、1945年の終戦時の鈴木貫太郎、1955年保守合同時の三木武吉である。この三人はナンバー2のまま政治家人生を終えた。二階俊博はこの三人、とくに勝海舟に似ている。

二階俊博は平成後期から令和の時代にかけての最高実力者のナンバー2である。
二階俊博はナンバー1をめざそうとせず、ナンバー2に徹してきたが、2012年から2020年にかけてナンバー2として、ナンバー1以上の仕事をしてきた。業績の一部を列記する。

津波対策推進法、「世界津波の日(11月5日)」の制定、防災減災国土強靭化基本法制定、日中・日韓関係の改善、日本ベトナム友好関係の促進、「部落差別の解消の推進に関する法律」の制定、安倍内閣時代の国政選挙における勝利、「コロナ対策としての一律10万円支給」の実現、菅政権の生みの親となったこと等々、二階俊博幹事長の業績は多く、他の政治家の追随を許さない。ナンバー1の実績よりもはるかに多くの実績を上げている。

2020年9月の自民党総裁選で菅義偉を勝利に導いたのは二階俊博幹事長だった。二階俊博幹事長はキングメーカーとなり、菅義偉総理の後見人となり、実力ナンバー1になった。
菅政権のもとで幹事長をつづけることになった二階俊博はこれまで以上に積極的に動き出した。

二階俊博幹事長の目ざすもの

二階俊博という政治家は無口で控えめで謙虚である。自分から出しゃばるようなことは好きではない。しかし最近は、重い口を開き始めている。

二階俊博は去る11月13日(金)のBSフジの「プライムニュース」に一時間出演し、一人でキャスターの質問に答えつづけた。キャスターは反中国主義者であり、反韓国主義者のようである。キャスターが二階俊博に中国、韓国批判を言わせようと執拗に迫っても挑発に乗ることなく、平和を解きつづけ、こう言った。
「隣国とは仲良くしなければならない。引越すことなどできない。世界中が日本は隣国と仲良くやれる国かそうでないかをみている。日本は隣国と仲良くやれる国であることを証明しなければならない」
 
二階俊博は、自民党の多数派が反中国・反韓国の姿勢を強めているなかで、対立・紛争を止めようとしているのだ。日本は平和国家である。隣国と対立し戦争するようなことは絶対にしてはならないと強く主張している、これは正しい。さらに、二階俊博は自民党政治の魂をしっかりしたものにするため、田中角栄の再評価に取り組んでいるようにみえる。これは自民党における思想的再構築を意味している。二階がめざしているのは田中角栄的「優しさ」のある政治である。

2020年11月号の『月間日本』のインタビュー(「いま角栄先生ならどう考えるか」)でこう語っている。
≪田中先生は非常に心根の優しい立派な政治家でした。田中先生は人々に対して、特に恵まれない立場の人々に対して愛情をもっておりました。それは素晴らしいことだと思います。我々は尊敬をもって「この人にならついていける」、こういう気持ちで田中先生にお仕えしてまいりました。いまもその気持ちは変わっていません。何かあったとき、「田中先生ならどう考えるだろうか」と立ち止まって考えることが私の習わしになっています≫

私も田中角栄総理とは何回か会ったことがある。非常に魅力的な政治家だった田中角栄についての評論も何十本も書いた。二階俊博の田中角栄に対する見方は正しい。
自民党は1970年に田中角栄を否定した。否定したまま四十数年過ぎたが、今こそ、自民党は田中角栄政治の精神を取り戻すべき時だと思う。二階俊博は全党員に向かって自民党の魂を入れかえようと訴えている。

もう一つ二階俊博幹事長がはじめたことで重要なことがある。政府与党連絡会議の進め方を修正したことだ。今までは総理と公明党代表の二人だけの発言をプレスに公開していたが、11月16日の会議から自民党幹事長を加え、総理、公明党代表、自民党幹事長三人の発言を公開することにしたのである。

これを報道したのは「読売」と「毎日」の二紙だけだったが、二階幹事長の真の狙いは伝えていない。二階幹事長は国会の比重をもう少し高めようとしているのである。今は政府主導が行き過ぎていて国会が軽視されている。政府は国会の多数党である自民党すら軽視している。二階幹事長はこれではいけないとの考えから、政府与党連絡会議の運営の修正を求めたのである。二階幹事長の主張は正しい。これは政府と国会の関係改善の第一歩である。

二階政治が動き出した。自民党は変化をはじめた。日本の政治が変革期を迎えている。注目していきたい。


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