3年先まで「輸出用米」を売買するという大阪堂島商品取引所【熊野孝文・米マーケット情報】2020年12月22日
大阪堂島商品取引所が12月17日に開催した理事会で新しい上場商品として「輸出用米」を来年3月から売買をスタートさせることを決めた。上場商品名は「新潟コシEXW」という。EXWとは貿易用語のExWork(工場渡し)の略で、新潟東港渡しの新潟県産コシヒカリが売買対象品目。3月のスタート時には令和3年11月限、令和4年11月限、令和5年11月限と3年先までの価格が形成される。
国が国家目標ともいうべき「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定、コメも重点品目に入り、2019年の輸出実績(コメ加工品も含む)52億円を2025年に125億円にする目標が掲げられた。その目標を達成するために輸出産地の育成・展開として(1)輸出産地数を30~40産地(先進的なJA等をモデル産地として、1000トン超の輸出用米の生産に取り組む産地を育成)、(2)国際競争力を有するコメの生産と農家手取りの確保の両立図ることで、大ロットで輸出用米を生産・供給、(3)輸出事業者と産地が連携して取り組む多収穫米の導入や作期分散等の生産・流通コスト低減の取組み支援を行う他、加工・流通施設の整備として、パックご飯や米粉・米粉製品メーカーが取り組んでいるが、輸出先国の規制等への対応が必要になるケースがあることから、当該規制等対応のための取組や輸出向け生産に必要な機械・設備の導入等を支援するとしている。また、輸出に際しては「マーケットイン」の発想で進めることにしており、各国のコメ・コメ加工食品のニーズを調査するなどの支援策が講じられる。
今年度の第3次補正予算で輸出用米についても新規需要米の括りで10アール当たり4万円の助成金が支給されることになったことからコメの産地や流通業者の間でも関心が高まっている。18日にWeb上で開催された米穀業者の情報交換会の席でも輸出用米について意見交換がなされた。参加者からは「中国はコメの価格が値上がりしており、グレードの高いコメはキロ500円から600円する。何とかして日本米を輸出したい」という意見が出た一方、実際にアメリカ向けに日本米を輸出しているコメ卸からは「現地ではコロナ禍で展示会やイベントも出来ない。外食向けも売り上げが落ちている。日本産米がカリフォルニアで生産されるジャポニカ米の10%~20%高ぐらいであればなんとかなりそうだが、実態は売り先が見当たらない輸出用米もたくさんある」、「産地でも輸出用米の手続きはかなり面倒で、精通していないと大変な作業になる。1000トンに伸ばすのは容易ではない」といった意見もあった。
輸出用米については日本国内のように年産表示が必要でないことから、3年産米を輸出すると申請して実際には2年産米を輸出するという年産差し替えもできるためその点では柔軟だが、やはり最大の課題は「価格」と相手先探し。価格については輸出用米に直接支払い分にプラスして産地交付金を厚めに助成すれば生産者手取りを下げずに輸出価格を下げる方法もある。実際、FOB価格を60キロ8000円から9000円台に抑えて輸出しているところもある。また、新潟県のように複数年契約であれば輸出用米に県独自に加算金を支給するところもあり、これが堂島取が3年先までの売買を行う大きな要因になったのだが、それは良いとしてこれをやるには制約が課せられる。
具体的には、(1)一番限の売建玉を有する者のうち、新規需要米を申請した者については、買戻しによる取引の結了を行ってはならない、(2)新規需要米の申請をしたものは、遅滞なく、本所に届け出なくてはならない、(3)新規需要米の認定を受けた者については、納会後、農水省の要領に沿って必要書類(需要者名含む)を提出しなければならない、(4)受渡品を受領した受け方は、受渡品を自ら輸出することについて、発注の都度誓約しなければならない、(5)受渡品を受領した受け方は、農水省の要領に沿って必要書類(生産者名含む)を提出しなければならないーとなっている。
「買戻しをしてはならない」先物市場とはいったい何なのか? 輸出用米の認定を受けたうえに先物市場で売買する際にさらに様々な書類を提出し承認を得なければならない取引とは何なのか? 世界の穀物取引業者や輸出入業者がこんな規制がかけられた先物市場があったと知ればビックリするどころかDOJIMAは世界の笑いものになってしまう。
コメを用途別に規制をかけていちいち書類を持ってこさせて生産者や流通業者にいつまで負担をかけさせるのか。農水省は「WTOに違反しないように一切の書類の手続きは我々が全部やります。皆さんは自由に輸出してください」と言うべきなのだ。
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