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ウンカ、渡り鳥、ウィルス【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第130回2020年12月24日

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稲の大敵だったウンカは中国南部やベトナムから飛んでくる、前回こんな話を書いた後ふと思い出した。先日から新聞テレビで流されている鳥インフルエンザが発生したというニュースである。そしてそのウイルスは大陸から日本に飛来した渡り鳥が持ち込んだ可能性があるとのことである。いま大問題になっているコロナウィルスも中国大陸が発祥の地だ。
そこからさらに次のことを思い出した。

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もう30年も前になるが、モンゴルの国費派遣留学生の教員を10月から半年間受け入れた。日本語が非常に上手な中年の女性だったが、日本は初めてとのこと、まず日本の農村を直接見たほうがいいだろうと私たちの農村調査に同行させた。山形県庄内地方のある農村だったが、もう冬支度、国道など主要な道路にはずらっと防雪柵が張り巡らされていた。

ふと思い付いて彼女に聞いてみた、これが何なのかわかるかと。さっきから不思議に思って見ていたのだがわからないと答える。
そこで私はわざと深刻そうな顔をして言った、「これはあなたの国からの侵略を防ぐためのものだ」と。彼女はギョッとして私を見る。そこで続ける、「冬になるとあなたの国のあたりから日本に吹いてくる季節風と雪を防ぐための柵だ、こういう国際交流=雪と風も必要なんだけれども問題も引き起こす、困ったもんだ」と。彼女は大笑い、面白い話を聞いた、国に帰ったらこの話をしたいと。

もう一つ思い出したは、正月の七草粥をつくっているときに家内が包丁で七草を叩きながら歌う唄である。
1月7日、宮城県南生まれの家内は必ず七草がゆをつくる。ただし、七草は自分が摘むのではなくて生協から購入したもの、作り方もかなり省略している(と思う、記憶をたどってやっているだけだ、と家内は言うが)。
家内の祖母はいつも次のようにしてやっていたという。まず6日の夜、次の唄を4回唱えながら七草を刻む。

  「ななくさたたき なにたたく
   とうどのとりの わたらぬうちに」(註1)

翌7日の朝、さらに3回この唄を唱えて刻み、こうしてみじん切りにした七草をおかゆに入れ、塩で味をつける。
私は初めて聞いた、見た、食べた。私の生家では七草がゆをつくらなかったからである。もしかするとやっていたのかもしれないが、ともかく記憶がない。前にも述べたが、山形の正月はもう雪の中、大根を除いて七草の材料の青物がない、それでしないのだろうと私は考えている。
なお、山形では七草のかわりに納豆汁(これについては後で何かのおりに紹介したいと思っている)を食べる、こういう説もあるらしいが、よくわからない。たしかに正月に納豆汁を食べるが、必ず7日に食べたのかどうか私の記憶にない。
こんなことで、七草の名前や七草叩きという行事があることは本などで読んで知っていたが、実際に見たのは、唄を聞き、食べたのは家内といっしょになってからのことだった。あまりおいしいものではないが、ともかく今も毎年食べている。

それはそれとして、この歌の意味がさっぱりわからない。家内もよくわからない、幼ないころ毎年祖母が唄いながらやっていたので覚えているだけだと言う。
かなり以前の日本農業新聞にこんな記事が出ていた。のこ唄の「とうどのとり」は「唐土の鳥」のこと、唐=異国から飛んでくる渡り鳥のこと、渡り鳥がさまざまな病害をもってくることを昔から日本人は知っていたのではないか、だから「渡らぬうちに」七草がゆをつくってビタミンをとって備えようとしたのではないかと。
なるほど、そうかもしれない、もしかすると先祖は渡り鳥が鳥インフルエンザなどの病気をもってくるのを知っていたのかもしれない。季節風、黄砂、ウンカ、さらにその昔は中国がユーラシア大陸の文化を流してくれた、まさに世界のなかの日本、それをこの唄は意識していたのかもしれない。

この唄のいうように、唐渡(からわた)りものはもちろんあらゆる舶来品・輸入ものに気をつけよう、国産を基本にしようと言いたいのだが、マスクでさえ中国製品とのこと、まあどうしようもない。
東北へ来るウンカは少なくなったが渡り鳥は来る、そして今まで通り来てもらいたい、来てもらわなければ困る、できればウィルスつきではなくだが。
ウンカや渡り鳥と一緒に中国軍艦が日本領海や南沙諸島に入って来る、これはお断りだ、国際ルールがあるのだ。正常な(清浄な)国際関係をあらゆる面から築いてもらいたいものだ。

東京に住む孫が子どものころ、クリスマス前にわが家に来て正月を過ごし、七草粥を食べてから帰るというのが習慣だったのだが、大人になったら仕事でそういうわけには行かず、今年などはましてやコロナで来られないよう、寂しい正月になりそうだ。

それでも、いつものように私の生まれた山形の風習を中心に家内の宮城の風習を加えた正月行事はきちんとやろうと思っている(といっても餅つきは臼杵ではなく電気餅つき機でだが)、もうボケも始まり、体力も衰えているので、省略せざるを得ないところが多々出て来るだろうが。
ともかく来年はなるべく早くコロナ騒ぎがおさまって欲しいものだ。もう一つ、政治がよくなる年にもしたい、「来年のことを言えば鬼が笑う」か。
また鬼を笑わせことになろうが、来年は引き続きイネの病害虫の話から再開させていただきたい。
いいお正月を。

酒井惇一(東北大学名誉教授)のコラム【昔の農村・今の世の中】

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