夢のコロナ絶滅策【森島 賢・正義派の農政論】2021年1月4日
新年おめでとうございます。
正月だから、というわけではないが、夢のようなコロナ対策を考えてみた。とは言っても、荒唐無稽な夢ではない。政治が、その気なれば実現は充分に可能である。
その骨子は、グループ検査によって、市中にいる感染者の全てを見つけ出し、全ての感染者を、市中から隔離することである。
そうすれば、市中に感染者が1人もいなくなる。だから、コロナ以前の社会に戻れる。社会活動の自粛は不要になる。経済活動も以前に戻れる。感染拡大の阻止か、経済か、などという議論は無駄になる。
夢といったが、これは、WHOもいうように感染症対策の基本原則である。日本の政治は、この原則を無視しているから、夢のように聞こえるのだろう。
まことに、嘆かわしいことである。
上の表は、感染絶滅策に必要な費用である。やや詳しく説明しよう。
Aは、最近の人口である。
Bは、感染率である。政治は、これを把握していない。ここでは、東京都世田谷区の「社会的検査」の資料などを参考にして1%とした。
検査方法は、経費が安いグループ法とした。これが肝心である。
この方法は、全員を、ここでは全国民を、数人の、ここでは10人のグループに分け、第1段階としてグループごとに全員の唾液などの検体をかき混ぜて、1度で検査する。その結果、もしも陰性なら、このグループは全員が陰性なので、検査は終わる。
もしも陽性なら、そのグループに陽性者がいることになる。だから、第2段階の検査に進み、この陽性グループの全員10人を、個人ごとに検査する。こうして10人のなかの感染者を全て見つけ出す。
こうすれば、全国民のなかの全感染者を見つけ出せる。そうして、この全感染者を全て市中から隔離すれば、市中に感染者はいなくなる。
上の表には、そのための検査費用も書いてある。
検査回数は、グループごとの検査が1257万回、個人ごとの検査が1202万回で、合計2459万回になる。1回あたりの検査単価が1000円とすれば、合計で246億円である。1000円は、決して安くはない。1000円以下にできる、という専門家もいる。
◇
もしも仮に、政府がいまの方法で全国民を検査するとしたら費用はどれ程になるか。
政府はグループ検査を認めないから、検査数は人口と同じで1億2571万回になる。グループ法の約5倍である。また、検査費用をみると、いまの1回あたりの単価は1万8000円だから、掛け算して2.26兆円になる。
一方、グループ法なら、検査費用は0.0264兆円だから、約100分の1に安くなる。
だが、政府はグループ法を認めようとしないし、単価を下げようともしない。そうして全国民検査を拒否し、旧態依然とした体制を墨守している。だから、対策は国民に対する行動の自粛しかなくなる。その結果、市中の感染蔓延を放置している。
政府のコロナ対策は、このように拙劣なものである。
このことは、改善の余地が充分にある、ということでもある。上で示した対策は、夢のようなコロナ絶滅策の有力な1つである。
◇
以上は、検査体制だけを述べたが、隔離、治療体制の拡充も不可欠である。
いまは、感染者の大半の約70%(東京都資料)に隔離をさせず、市中に放置して、自宅療養を要求している。そうして、市中感染の拡大の大きな感染源にしている。これは、まさしく隔離、治療体制の崩壊である。
政府が早急に行うべきことは、国民に対して行動の自粛を要求することではない。その前に、政治の責任でコロナ絶滅のための体制の整備を行うことである。
そのためには、検査の根本的な改革とともに、隔離、治療体制の拡充に全力を投入することである。仮設の施設でもいい。そこで、隔離、治療を十全に行って、市中の感染者を減らし、感染者の重篤化を避けねばならない。
◇
暗黒のコロナの夜明けは近いという。だが、夜明け前が最も暗い。実際、昨年の大晦日には、史上最悪の感染状況になった。
夜明け前だからといって、いまの対策をこのまま続けていれば、夜明けには、医療が全面的に崩壊してしまうだろう。コロナは社会をも崩壊させるだろう。その前に対策を作り直して、コロナを絶滅させ、新しい日の出を迎えねばならない。
その主体は誰か。もちろん国民である。そして、国民の苦しみと怒りを結集し、それを政治の力にすべき政党である。だが、そうした政党がない。ここに、コロナ禍の真の原因がある。
(2021.01.04)
(前回 コロナ:あと半年の我慢か)
(前々回 コロナ感染者の選別が始まった)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日