コロナ撲滅国民会議を作れ【森島 賢・正義派の農政論】2021年1月18日
緊急事態宣言を出したのに、コロナ感染の勢いは止まらない。
だが政府の対策は、国民に行動の自粛を強く求めるだけだ。業を煮やした政府は、自粛をしない人に対して強権を振るい、罰則を加えようとしている。その一方で政府は、あいかわらず検査体制と隔離・治療体制を拡充しようとしない。そうして、医療崩壊を招いている。
こうなった責任は、政府にある。政府が対策を誤ったのである。そして、いまだに、その責任を自覚しないで、これまでの対策を続けている。
これを打開するには、政府とは関わりのない、在野の、コロナを撲滅するための組織を作り、識者や政治家の衆知を集めて、国民運動を展開するしかない。
初めに、上の図を紹介しよう。この図は、Google によるもので、コロナによる死亡者数の予測を、2月12日まで、1日ごとに示したものである。7日平均でみると、1月15日は55人だったが、2月12日には378人になる、という予測である。7倍に激増するという予測である。
このような危機のなかで、もう1つ紹介したいのは、菅義偉首相の発言である。菅首相は、先日のインタビューで「1カ月のなかで感染拡大を絶対阻止し...」と言った(朝日)。根拠も示さずに「絶対」と言ったのである。言葉が軽過ぎはしないか。こうした首相に、1億2600万人の国民が生命を預けていいものだろうか。
◇
さて、本題に戻ろう。
TVなどを見ていると、この非常事態のなかで、多くの識者や政治家は、危機感を露わにし、政府批判を強めている。それは、政府のこれまでの対策に対する、根本的な批判である。
では、批判すべき、これまでの対策の根本に何があったか。そこには、感染の実態を隠し、感染者を少なく見せかけようとする基本方針があった。そのために、検査を制限してきた。
検査を制限すれば、感染者を少なく見せかけることができる。そうすれば、隔離すべき人数も治療すべき人数も少なくできるので、検査体制も隔離・治療体制も現状のままでいい。つまり、財政負担を少なくできる、というわけである。このカネ惜しみこそ、隠された、そして恥ずべき第1の目的である。
しかしそれは、多くの国民の健康と生命を犠牲にするものである。
◇
これまで、政府は何をしてきたか。
昨年春までは、習近平主席の来日と五輪を間近にひかえて、感染者を少なく見せかけたかった。そのために、感染者を市中に隠して放置した。
夏になると、こんどは、経済回復との両立という旗を掲げだした。感染者を市中に放置したままで、「GOTO」に力を入れだした。
そしていまは、延期された五輪が半年後に迫ったので、さらに感染者を隠したくなった(最近の報道では、中止になるようだが)。それに加えて、ワクチンの接種まで、なんとか覆い隠したいという動機がある。
◇
だが、ワクチンの有効性と安全性に過度の期待はできないし、全国民にゆきわたるまでには長い期間がかかる。その長い期間、感染の激増による国民の未曽有の病苦に、手をこまねいている訳にはいかない。
ここから脱出するには、この基本方針を根本的に変更しなければならない。そうして、検査体制と隔離・治療体制を拡充し、国民の病苦を最小限におさえねばならぬ。
そのためには、新しい組織をつくらねばならない。新しい酒は、新しい革袋に盛らねばならぬ。
◇
新しい組織は、政府には作れないだろう。だから、在野の人たちが作るしかない。右顧左眄とは無縁の科学者を中心にして大勢の人たちを集め、コロナ撲滅を目的にした国民会議を作って、その最高責任者に、政治力が抜群の人が座ればいい。非常時には、そういう人が出てくるものだ。
それが出来なければ、国民は塗炭の苦しみの中で絶望するしかない。
(2021.01.18)
(前回 無責任な緊急事態宣言)
(前々回 夢のコロナ絶滅策)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日