「止まった時間」を取り戻せ 三瓶壮文 JAはだの改革推進室長兼組織部長【リレー談話室・JAの現場から】2021年2月1日
「活動できないから女性部を抜ける。趣味グループを解散する」。2020年は、このような声を何度も聞いた1年だった。いまだ終息の気配を感じられないコロナウイルス感染症の影響を受け、今まさに協同組合運動・事業活動が危機的状況に陥っている。
全国どこのJAでも同じような課題に直面しているだろう。特に、組織活動や組合員の意思反映に力を入れているJAはだのではこの間、大きな変化が起きている。
まず、組織活動においては、基礎組織である生産組合、青年部そして女性部の主な活動が中止または縮小となってしまった。活動だけでなく会議もできず、まさにお手上げ状態となっている。幸い多くの組合員はこの状況を理解していただき、大きな混乱を招いてはいないが、活動や行事を楽しみや生きがいとしている人からは再開を期待する声が寄せられている。
このような中で、女性部ではコロナ禍でもできる活動として、YouTubeやスマートフォンを使っての取り組みが始まった。ふるさとに伝わる料理レシピをホームページやクックパッドで紹介したり、女性部が創作した「ぴーなマン体操」をYouTubeでPRしたり幅広い世代に活動を広めるきっかけができた。また、「スマートフォン教室」を開き、新たな伝達方法や情報の共有の手段として活用していくこととした。
さらに、「おうちでできる活動」として全部員にオリジナルの手ぬぐいを配布し、手作り頭巾(さっとカブリーナ)の普及に努めるなど部員の結束力を高める機会となった。厳しい環境の中でもお互いに知恵を出し合い、前に進んでいこうという姿勢に頭が下がる思いだ。
また、組合員の意思反映の手段も大きな影響を受けた。JAはだのでは、組合員の意思反映の場として「総会」「座談会」「組合員訪問日」の3つを柱に長年取り組んできた。しかし、それぞれが例年と同じ対応ができなかった。
「総会」は創立以来、議決権を持つ全正組合員だけでなく、准組合員にも出席を呼び掛け、質問や意見を述べる機会を設けてきた。しかし、コロナの影響で、初めて議決権行使書の提出を求めての開催となった。正組合員の減少や高齢化などの要因も加わり、今年から総代会に移行することが決まった。
「座談会」は春と秋年2回、市内83会場で開催してきたが、今年度は開催することができなかった。毎回1000人を超える出席者から700~800の意見・望が寄せられ一つひとつに回答し、JA運営に反映する貴重な機会となっていた。中止するにあたり、機関紙「座談会特集号」は例年どおり全組合員に配布し、新たな試みとして意見要望を紙面で提出できるよう工夫した。さらに、FAXやEメールを使っての意見集約を始めた。結果的に寄せられた意見等の件数は少なかったが、チャネルを増やすことでより多くの声が届くよう引き続き活用していきたいと考えている。
「組合員訪問日」は53年間、毎月全組合員宅を訪問し、気軽に意見要望を寄せる場としてきたが、緊急事態宣言発令中は、感染防止策として接触を避け機関紙をポストに投函し、対話活動は自粛することとした。組合員や職員がこの対応に慣れ、本来の目的や意義を忘れて恒常化してしまうことを危惧している。対話活動が重要であることは、全国のどのJAより知っているつもりだ。先人たちの思いをしっかりと引き継がなければならない。
この未曾有の事態で、JAが今まで取り組んできた愚直な活動を組合員がどのように評価するか気になるところだ。組合員が地域とともに協同活動に携わる喜びや協同組合の役割や意義を再確認できる機会になる事を願っている。コロナ終息後は、今まで以上に組合員と役職員がJAに結集し協同組合運動を着実に実践し、必要とされるJAにならなければいけない。止まった時間を取り戻すために一人ひとりが力を発揮する場面がもうすぐそこまで来ている。
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