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民主主義をゆがませる男女「非」共同参画【小松泰信・地方の眼力】2021年2月3日

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自粛を求める側が自粛せずクラブ活動に精励した不祥事で、公明党・遠山清彦衆院議員が議員辞職。当初、党執行部は辞職にまでは及ばないと踏んでいた。しかし、支持母体の婦人部による強烈な反発があり、この結末となったようだ。毎日新聞(2月2日付)は、氏の政界引退も伝えている。この点に関する婦人部の感覚はまとも。

komatsu_honbun.jpg後退する男女共同参画

昨年12月25日政府は、新年度から5年間の女性政策をまとめた「第5次男女共同参画基本計画」を閣議決定した。2008年6月の男女共同参画推進本部で決定した、指導的地位に占める女性比率を「2020年までに少なくとも30%」という目標は達成できず、「20年代の可能な限り早期に30%程度」とトーンダウン。さらに「選択的夫婦別姓(別氏)制度」の文言は削除された。遅れが目立つ政治分野の女性参加についても、国政選挙と統一地方選挙で議員候補者に占める女性比率を「25年までに35%」とする目標設定。一定比率を女性に割り当てるクオータ制などの導入は、政党に「自主的な取り組みの実施を要請」との表記にとどめた。

民主主義がゆがんでいる

毎日新聞のニュースサイトにアップされた(2月3日8時00分、https://mainichi.jp/articles/20210202/k00/00m/010/120000c)、自民党衆院議員・稲田朋美氏と国民民主党衆院議員・山尾志桜里氏の対談が、政治分野における「男女『非』共同参画」の状況を教えている。

第5次男女共同参画基本計画の内容が後退したことについて?

山尾;制度の話と、永田町文化みたいな話と両方あると思います。制度の話で言うと、努力義務だけでは与党の歩みが遅いということなら、やっぱり法制度としてクオータ制(割り当て制)を強化してもいいんじゃないかというのが1つですね。

国民民主党の憲法調査会でも、アファーマティブ・アクション(少数・弱者集団の現状に対する積極的な差別是正措置)を肯定する憲法改正があっていいんじゃないのという議論がありました。ただ憲法改正の前に、フランスのように女性候補が50%いかないと政党交付金を減額する制度とかがある。イタリアや韓国、メキシコでは、比例部分でせめて女性を50%にするとか、名簿の順位で男女交互にするとか、法的に工夫している。そういう議論を本格的にしてもいいかなって。

今はむしろ能力のある女性が政治家になんかなりたがらないってところもあると思うんですよね。民間の方が場合によってはすごく働きやすくなっているのに、政治家になったら男性に囲まれて、会食もいっぱいあって、自分の時間も家族との時間もままならない、そういう中で働くことに対する抵抗感っていうか、そういう永田町文化も変えていく必要があるって思います。

稲田;日本のジェンダーギャップ指数がイスラム圏並みなのは、与党がアファーマティブ・アクション的なものを入れることに抵抗があるっていうことが大きい。だから男性を巻き込んで「民主主義がゆがんでいる」ってところからやっていかなきゃいけない。特に政権与党ですよね。政策を作る中枢のところに女性がいないから、とんちんかんなことをやっても平気だったりするんです。

例えば世帯主に30万円配るとか、「はあ?」みたいな。女性がいれば「それおかしい」ってなると思うんだけど、女性議員が登用されてもお飾りだったりとか、癒やし系がいいよねとか、そういう風土がまだ自民党政治にはある。スキャンダルがあった後には女性を候補にするけれど、落ち着いてくると男性が取って代わろうみたいな。こんな本音って言っていいんでしょうか(笑い)。

「共感力」に違いあり

メルケル首相(ドイツ)、アーダン首相(ニュージーランド)、蔡英文総統(台湾)、といった女性リーダーが注目されているが?

稲田;衆院には10%しかいないけれど、それだけじゃなくて、中枢にはもっと少ない。女性リーダーのところがなぜうまくいっているかというと、やっぱり「共感力」だと思います。しわ寄せを受けている女性とか貧困とかを、自分のことと思える気持ちはやっぱり女性の方が、これは申し訳ないけどまさっているんじゃないかと。あと、訴えかけるものっていうか、そういうものが男性はないって言ったら失礼ですけど、やっぱり女性のそういうところが浮き彫りになったんじゃないかと思いますね。

山尾;実際にこのコロナ禍で、本当に国民に効果的にメッセージを届けているリーダーって女性が多い。それは評価というよりも事実だと思います。女性として生まれたからっていうよりは、もしかしたら今の世代の女性は好むと好まざるとにかかわらず、家庭という部分を担ってきた。そういう生活観の延長で政治家になっているので、暮らしの問題を自分のこととして感じられる。ということは、やっぱり社会構造上、男性とは少し違うものを持っているんじゃないかなとは思いますよね。

地域おこし協力隊の女性隊員に期待

日本農業新聞(1月24日付)の論説も第5次男女参画基本計画を取り上げている。

「農業・農村の持続性の確保には、女性が暮らしやすく、働きやすく、活躍できる地域づくりが不可欠だ」としたうえで、地域おこし協力隊に期待を寄せ、政府が24年度までに8000人にする目標を設定し、21年度予算案にはインターン制度を新設する経費を盛り込んだことを紹介している。隊員の4割が女性で、「女性農業者と協力した特産品づくりなどが各地で見られる」ことから、移住や定住への「基盤はできつつある」と見ている。

西日本新聞(2020年12月31日付)には、「付き合ってもいないのに結婚できないのと一緒。マッチングは重要」と、インターン制度を歓迎する声を紹介している。声の主は、19年から大分県佐伯市で地域おこし協力隊員を務める平井佐季氏。

オンナ・コドモの出る幕ではない?!

西日本新聞(2月2日付)の「風向計」というコーナーで、核兵器禁止条約の賛否を国会議員に問い、見解を紹介するサイト「議員ウォッチ」(https://giinwatch.jp/)があることを知った。長崎市出身の大学生中村涼香氏も、同サイトを見て、長崎県選出の7議員のうち賛同は野党の1人だけで、後の与党議員が未回答であることを知り、「被爆地でたった1人?」と愕然としたそうだ。そして、昨年末、仲間を募って議員事務所に連絡を取り始めた。

ある議員は「電話で面会の趣旨を説明するや、頭ごなしに『20歳やそこいらで俺に意見を言うとは失礼だ』」と、叱ったそうだ。

中村氏は、20年2月にパリで開かれた「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に参加し、「世界を動かそうとする熱気」に直接触れ、「もう一度本腰を入れよう」と、議員ウォッチの運営に加わり、「議員任せではいけない」と衆院選もにらみ活動中。

誰だ、そんな思い上がった議員は。いずれにしましても、こんな連中ばっかし。もう、お前らの出る幕はないと覚悟しろ!

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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