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医療体制の解体的再編を【森島 賢・正義派の農政論】2021年2月15日

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コロナのワクチンが、12日になって、ようやく日本へ来た。だが、わずか36万5000回分だという。これでは、370万人の医療従事者のうちの、ごく一部しか接種できない。国産ワクチンの開発を怠ってきた報いである。当面は、国立病院などの医療従事者に先行して接種するようだ。

これでコロナ災禍も一段落を迎えるだろう。だが、終息するまでには、まだまだ長い月日がかかるだろう。いまの緊急事態を乗り切るのは、いつの日になるのだろうか。

緊急事態宣言は、いまだに解除できないでいる。その理由は、医療が逼迫しているからだという。国民の外出の自粛と営業の自粛が不充分だからだという。だから、新規の感染者数が減らず、だから医療が逼迫するのだという。

医療が逼迫するなら、医療の供給体制を拡充すればいいのだ。だが、政治はそれをしない。医療の逼迫は当初からいわれてきたことだ。あれから1年間、政治はなにをしてきたのか。

これは、医療体制の問題である。つまり、政治の問題である。医師や看護師など医療関係者の問題ではない。

ヒポクラテスの誓い

上の言葉は、「ヒポクラテスの誓い」である。医師を志した若者が、大学の医学概論の講義などのときに、生涯の決意を込めて誓う言葉である。

ナイチンゲールの誓詞

上の言葉は、「ナイチンゲールの誓詞」である。看護師が初めて純白のナースキャップを戴く戴帽式のときに、我が身をこの聖職に捧げることを、厳かに誓う言葉である。

彼ら、彼女らは、コロナ禍のさなかにあって、このような初心を貫きながら、日夜を問わず病者に向かい、社会に尊い貢献をしている。まことに、頭が下がるばかりである。

しかしいま、コロナ禍のさなかにあって、社会は、そして政治は、彼ら、彼女らに対して心からの敬意を払っているか。熱い感謝の気持ちを伝えているか。

政治は、コロナが終息しない原因は、医療の逼迫だという。国民の医療に社会的責任を負っている医療関係者がこれを聞けば、不快な思いをもつだろう。

原因は医療関係者にあるのではない。そうではなくて、原因は、医療の逼迫を放置している政治にある。医療が逼迫しているのなら、医療の供給体制を拡充すればいい。そうして、彼ら、彼女らの尊い初心を貫いてもらえばいい。それは、政治の責任である。

しかし政治は、その責任を果たしていない。

政治は、コロナが発生して以後1年以上も経つが、既存の医療体制を墨守するばかりだった。それを金科玉条にしてきた。そして、非常事態のなかにあっても、医療体制の拡充を行わなかった。
当初は、検査体制がないといって、検査を帰国者と発熱のある濃厚接触者に限定していた。そうして、感染者を市中に放置し、感染を蔓延させてきた。

最近は、医療体制が逼迫しているからといって、感染者に対して隔離も入院も拒否し、自宅療養を強いている。そしてその結果、家庭内感染を感染拡大の最大の原因にしている。治療を拒否されたまま、死を迎える感染者も多くなった。

この状態を、放置しているわけにはいかない。

ワクチンが来たからといって、すぐにコロナが終息するわけではない。まだまだコロナは猛威をふるうだろう。医療体制の整備を怠っているわけにはいかない。

そのためには、非常時のなかで、1年間もの長い間、不充分にしか機能せず、多くの国民に苦痛を強制し続けてきたのだから、医療体制を、いったん解体し、非常時のもとでの再編を早急に行わねばならない。

それは、検査方法の刷新による検査体制の抜本的な再編であり、国立コロナ専門病院の新設などによる隔離、治療体制の根本的な充実だろう。

(2021.02.15)

(前回  「ゼロコロナ」を具体化せよ

(前々回 コロナが暴いた社会の崩壊と人心の荒廃


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