栃木県がコロナの本格的な調査を始めた【森島 賢・正義派の農政論】2021年3月1日
栃木県が、先週の22日からコロナの本格的な疫学調査を始めた。
栃木県は、東京からやや離れてはいるものの、1月にコロナの大波が襲ってきた。そして、緊急事態が宣言された。その後、感染は、やや収まってきた。しかし、まだまだ安心できない。
こうした中で、県はつぎの大波の襲来を警戒している。それをできるだけ早く察知して抑えよう、という目的でこんどの疫学調査を始めた。
政府も、遅まきではあるが、支援している。
非専門家で、高校の知識しかない筆者ではあるが、近郊農村である栃木の、この調査について考えてみよう。
上の図は、栃木県のコロナの新規感染者数を、感染の当初から昨日まで、日ごとに示した図である。資料はNHKだが、原資料は厚労省傘下の機関のものなので、これが実態を忠実に示しているかどうか、その信憑性には重大な疑問がある。しかし、この図から推定できることがある。
それは、第3波が第1波や第2波と比べて格段に大きな波になっていることである。栃木県の危機感は、ここにあるのだろう。
いったい、この波は、いつ収まるのか、ワクチンが、いつ国民に行きわたるのか、変異種のコロナなどによる、つぎの第4波が襲ってくるのか、そういう危惧があるのだろう。
◇
この危機はどれ程のものか。そして、いつ来て、いつ終息するか。
それには、感染の実態を科学的に正確に知っておかねばならない。それに基づいて、科学に裏打ちされた対策を立て、実行しなければならない。
それは、本来は政府が行うべきことだ。しかし、行っていない。そこで、県が主導して行おうというのである。
そこで、まず初めに実態を正確に把握しようというのが、この疫学調査の目的である。そうして、なるべく早くコロナを終息させ、また、なるべく早く第4波の襲来を察知して、対策を立てようというのである。
◇
このように考えると、調査の具体的な目的は明らかである。それは、
第1に、現在、感染源になり得る人が、栃木に何人いるか。これを、こんどのPCR調査という抗原調査の主な目的にしている。抗原調査で抗原、つまりコロナウィルスを持っている人は、感染源になり得る。その人が何人いるか。
第2に、現在、被感染者になり得る人が、栃木に何人いるか。つまり、抗体調査を行って、コロナウィルスに抵抗できる抗体を持っていて、コロナに対する免疫力を持っている人が何人いるか、という調査である。抗体を持っていない人は、今後、被感染者になり得る。
◇
さて、この栃木の検査は、どのように行われているか。
対象は宇都宮市で、市内の学校で300人、市街地で300人である。22、24、25日の3日間に、唾液によるPCR検査のキットを渡し、郵送してもらって検査する、というものである。
このように小規模の検査ではあるが、対象を無症状の人を含め、無作為に選んだという点で、初めての検査である。無作為だから、全体像を描くことができる、という点を高く評価したい。
◇
改善すべき点がないわけではない。だからといって、評価を低めるつもりはない。
だが、今後のために指摘したいことがある。
1.今後、1週間ごとに検査を行い、感染拡大を早期に予知すること。そうすれば、同時に、感染の動態が明らかになる。
2.被験者抽出の無作為性を改良して、推計の精度を高めること。同時に、検査数を増やすこと。
3.抗体検査も、あわせて行い、自然感染を含めて、既に感染して抗体を持っている人が何人いるか、を調査すること。これは、近く行われる、身体内に抗体を作るためのワクチン接種の評価にもなる。つまり、ワクチンが目指す集団免疫の達成度が分かる。同時にゲノム解析を行えば、変異型のコロナかどうかも分かるし、感染経路も推定できるだろう。
◇
栃木のこの検査を、政府も無視できないようだ。
政府は、こうした検査を当初から行って、感染の実態を科学的に調査し、科学的な対策を作って実行すべきだった。しかし、それを徹底的に拒否して、非科学的で無責任な対策を行ってきた。その結果が、いまの惨憺としたコロナ禍である。
栃木は県民のため、全国に先がけて、そこに大きな穴を開けた。この先駆的な調査は、全国が注目している。そして、多くの国民が、詳細な調査結果の公表を待ち望んでいる。
(2021.03.01)
(前回 農村と都市のコロナ)
(前々回 医療体制の解体的再編を)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
旧暦・新暦の2回あった行事【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第334回2025年4月3日
-
宮崎都城市が5年連続1位 2023年市町村別農業産出額 農水省2025年4月3日
-
【現場で役立つ基礎知識】全農土づくりセミナー総合討論から 水稲の高温対策へ基本は根張り重視(1)2025年4月3日
-
【現場で役立つ基礎知識】全農土づくりセミナー総合討論から 水稲の高温対策へ基本は根張り重視(2)2025年4月3日
-
越後姫プレゼントキャンペーン開催中 応募は4月20日まで JA全農にいがた2025年4月3日
-
乳しぼり体験と牛乳の飲み比べ「AKASAKAあそび!学び!フェスタ」に初登場 JA全農2025年4月3日
-
JA全農「スキみる」マッチョによるスキムミルクレシピの料理動画を公開2025年4月3日
-
開発途上地域の農林水産業研究を紹介 一般公開イベント開催 国際農研2025年4月3日
-
「令和7年3月23日に発生した林野火災」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年4月3日
-
子どもの収穫米を子ども食堂に提供 新しいカタチのフードドライブ 相模原市2025年4月3日
-
「放牧をまんなかに。」 ファームエイジが新ロゴとタグライン 創業40周年記念ロゴも2025年4月3日
-
横浜ビジネスグランプリ2025で奨励賞受賞 YD-Plants2025年4月3日
-
AIとスマホで農作業を革新するFaaSサービスを開発 自社農場で実証実験開始 アグリスト2025年4月3日
-
亀田製菓とSustech PPAによる屋根上太陽光発電を開始2025年4月3日
-
遠隔操作で農業ハウスの作業効率を向上「e-minori plus」新登場 ディーピーティー2025年4月3日
-
【人事異動】全国酪農業協同組合連合会(4月1日付)2025年4月3日
-
【役員人事】 マルトモ(4月1日付)2025年4月3日
-
セール価格での販売も「春のキャンペーン」開催中 アサヒパック2025年4月3日
-
餃子に白ごはん 永瀬廉の食べっぷりに注目「AJINOMOTO BRANDギョーザ」新CM2025年4月3日
-
酪農・畜産業界データ統合プラットフォーム「BeecoProgram」コンセプト動画を公開 丸紅2025年4月3日