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コメ余りにショックを受けたというネット通販の女性経営者【熊野孝文・米マーケット情報】2021年3月2日

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コロナ禍で講演会の取材もWebでパソコンの画面上で登壇者の話を聞くスタイルに変化した。そうした講演会のひとつに先週末に米穀業界団体青年部が主催した講演会があった。講演したのは通販サイトで農家直売をウリに急成長している「食べチョク」の秋元里奈社長。このサイトを立ち上げた動機は「こだわった農産物を作っている農家が廃業せざるを得なくなった現実を知り、涙が止まらなくなり『こだわりを持った生産者の農産物が正当に評価される世界を作る』」ことだったという。

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秋元社長は自身の経歴について実家は相模原市の農家で、元々養蚕農家であったが野菜農家に転換、そこで双子の姉として生まれた。幼いころは農作業の手伝いもしていたが、農業は廃業、畑は耕作放棄地となった。自身は慶応大学を卒業後(株)DNAに入社、そこでスマホゲームのマーケティングを担当していたが、ある日「なぜ農家の畑が放棄されたのか疑問を持ち、初めて農業に興味が涌いた」。そこで鎌倉の農家などを取材した際、こだわった農作物を作っていた農家が廃業せざるを得ないという現実を知った。冒頭のような感情が涌き、正当に評価される仕組みを具現化させるべくオンラインマルシェ(株)ビビッドガーデンを設立した。

驚くのは会社を設立してからの急成長ぶりで、直近1年で42倍になり、毎月100万人がサイトを訪問するまでになった。この結果、2020年には「利用率」「利用意向」「認知度」「SNSフォロワー数」「アクセス数」「生産者認知度」の6つの部門でナンバーワンになっている。

乱立と言えるほど多くある農産物や食品のECサイトの中でこれほどまで急成長している要因は、マーケットの分析とそれに対応するきめ細かな情報発信の構築。マーケット分析では共働き世帯が1188万世帯に急増、専業主婦世帯の641万世帯の倍近くなり「ニーズが多様化、消費が変化していることにより、生産規模が小さい農家でも農産物の商品化の追い風になる」。情報発信では、SNSにより低コストで発信できるようになったためLINE、Twitter、Instagramを機能によって使い分けることによって伝達力を強め、自身のブログにも3万6000ものフォロワーが来るほどになっている。

これに加え昨年7月からテレビCMを打った。そのCMもWeb上の動画で紹介した。購買者の8割は女性で「女性は自分の周りにいる家族の笑顔が見たくて商品を買う」とのことで、CMには家庭に届いた農産物・食品を見て笑顔になっているシニア層の男性と孫と思しき子供が登場する。箱詰めしている農家は実際の農家で、消費者購入者から届いたお礼の手紙が映し出され、生産者の喜びが字幕で流される。ストーリーとブランディングを兼ねたCMを15秒間で完成させている。

生産者別月間最高売上額は、野菜705万円、果物829万円、水産物1479万円、畜産物972万円で、コメは野菜と同じぐらいというのだから食べチョクに登録したい生産者が急増するのも頷ける。コロナ禍の影響で食材のEC化率が高まるとし、その要因として(1)安全・安心志向(健康・予防を意識した行動、安心安全への重要度増)、(2)節約志向(不況の長期化を見据え支出を切り詰める)、(3)本質志向(目的達成のためにより効率的な手段を選択する)、(4)イエナカ充実志向(在宅生活の多様化とそのために積極的な投資を行う)、(5)家族志向(家族のことを第一に考えた時間の使い方、消費行動をとる)、(6)社会協調志向(公共/社会貢献意識に則した行動をとる)とし、外食から中食・内食のウエイトが高まる。ECによる市場外流通は5兆円になり、コロナ禍でさらに市場規模が拡大している。

コメについては、実際に取り扱っている商品として佐賀県のさがびよりや大人気になっているポン菓子を紹介、月間最高売上は野菜と同程度だとした。

お米大好きを自認する秋元社長は、コメの消費が落ちてコメ余りが起きていることを信じられないという思いと同時にショックを受けたと述べ、コメの消費拡大については大手コメ卸と提携したこともあって「今年の大きなテーマ」で、現在検討中のプランとして銘柄ではない売り方と新しい加工食品としての食べ方の2つを紹介した。

講演会の冒頭、主催者の米穀業界団体青年部の会長が秋元社長のことを「いまや生産者の救世主」と紹介したが、救世主を求めているのはコメ業界も同じで、秋元社長にはジャンヌダルクになったつもりでコメの需要を掘り起こしてもらいたいものである。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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